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能力開発の結果は効いている?

 人材開発、能力開発を考えるとき、具体的に何が問題なのかと考えると「これだ」という明確なものが指摘できません。
 報道などによる「今の日本の状況はうまくいっていない」という指摘には、そうかもしれないと思うこともありますが、肌感覚として「ホントに?」と思うことが多々あります。      
 教育行為はプロセス評価が難しい、ゆえに結果でしかその効果を検証できないという言い方があります。我が国の結果系を探してみましょう。
 まずGDP。2020年12月のランキングでは名目GDPは世界第3位。額で538.6兆円。人口当たりのGDPでは33位、額にして40,063.5ドル。だから生産性が低いんだよという声が聞こえてきそうですが、そもそも世界最速で高齢化が進んでいることや産業構造の違いなどを考慮した場合、別の議論が出てくるのではないでしょうか。
 続いて「国際競争力」というもの。正直なところ、違和感を感じる指標の代表格ですが、IMD(世界競争力年鑑)によれば、日本の競争力は2020年度34位ということになっています。
 少し詳細を見てみると、34位だという根拠は4つのカテゴリー評価によるとのことで「経済状況、政府効率性、ビジネス効率性、インフラ」の4つがそれ。それぞれの評価項目は、さらに細分化されていて、その細目ごとに順位が定められている、と、もっともらしい構造になっています。
 たとえば「ビジネス効率性」の中には「取り組み・価値観」という項目があって、これには56位という順位が付けられています。「価値観?どうやって客観評価するんだよ。評価者のスタンスによっても違うだろ」と思ってしまいます。
 3つ目は企業ランキング。毎年、アメリカのフォーブスが発表する「グローバル2000」という売上高による世界企業ランキングでは、上位2000社のうちアメリカ企業は588社、次いで中国324社、日本は217社で3番目となっています。ちなみに日本のトップ企業はトヨタ自動車で総合11位だそうです。
 アメリカの強さは言わずもがなですが、中国はもはや共産主義国家というより新たな統制型の経済体制国家、資本の集中配分による結果。超巨大国家アメリカと国策を背景とする中国の2つの国に次いで第3位につけている状況は「よく健闘している」と言ってもいいのではないでしょうか。
 ならば、それは日本の能力開発、人材開発の結果なのか?と問われると途端にその因果関係に自信が持てなくなってしまいます。
 本当に我が国の能力開発は効いているのでしょうか?

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