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版画の魅力、知っていますか?

どうも貝Pです。今回は私の宝物である版画について書かせていただきます。なぜ版画かと申しますと、私が購入している版画はお世辞にも安いものではなく、高いものでも新車が買えるほどのお値段がします。私は何故そんな高いものを購入したのかということで、版画の魅力を知ってほしく、今回筆を握りました。(ボートを叩いているのですけどね)

私が版画と出会うまで

皆さんは版画と言えば何を最初に思いつきますか?私の周りは版画と言えば小さいころに絵を描いて板に掘り、ローラー的なものでごろごろ墨を敷きその上に紙を置いて完成。というイメージを持つ人がほどんどでした。
 今回紹介する版画はこんな感じです。




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 もうね、言葉が出ない程美しいのです。え?これ版画なのと思われるかもしれませんが、これは版画です。
 もともと私はアニメが大好きなので、イラストレーターさんも何名か知って(ファン)はいましたが、その人たちの絵も版画であるんだと初めて知ったのは2017年の5月でした。
 その時は世界で有名なあのネズミの王国に遊ぶために関東に行っておりました。最終日に秋葉原により、そこで軸中心派さんの広告カーが走っていて気になったので、そのお店に入り、会場にある作品を見させていただきました。初めてこういう版画を観た私はただただ感動でした。特に一番私がその時に気に入って見たのはてぃんくる先生の「BIANCO MADREPERLA」でした。下の絵です。

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このイラストの版画でした。その時に初めて版画を作るときの技法などを簡単に説明して頂きました。飛行機の時間があったのでその日はそこで話は終わりました。

 その後、地元の福岡に帰って東京でお邪魔したお店の福岡支店があり、たまたま版画のイベントをしていたので、閉店時間直前にお店に入り、東京であったことをその時にいた店員さんに話しました。その時にまたイラストレーターが携わる版画につていの説明をうけ、東京で見た版画はもう完売したことも聞きました。ただ、私が東京で見た絵のバージョンと対になるイラストの版画が新作であると聞き、裏に遭った作品を見させていただきました。それが「PINOT NOIR MADREPERLA 」です。


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これを見させていただいて、言葉を失い即決での購入でした。これが私が版画を始めて出会った時でした。

版画ができるまでの工程

 さて、こんなに美しい版画をどのようにして作られているのかここからご説明させていただきます。ここからは版画を取り扱っているアールジュネス様のHPにあったものと、私の担当の方から聞かせていただきました内容を書かせていただきます。

 作家が自分の原画と同じように、自分の作品を世の中に美術品・芸術品として発表するという意思があり、そのうえで1枚1枚作家自身の監修のもと限定番号と直筆のサインを入れた作品のことを「オリジナル版画」といいます。
 そもそも版画は1枚1枚掘って絵を完成させるので大量生産ということができません。なので、版画の中には40枚限定というものもあり、これは世界でその枚数しかないということになります。完成したら作家さんの作品であるという証明で直筆のサインも入ります。他にもアールジュネスさんが取り扱う版画としてエディションナンバーもあり、この世にふたつとないオリジナル版画の完成となります。
 また、作る工程では一つの工程が終わり、それを作家さんに見てもらい、GOサインが出ないと次の工程に進めません。そして、また次の工程に入り、また見てもら、GOを頂く、と一つ一つ確認しながらの作成になりますので、莫大な時間がかかります。なので、作家さんが思っている色が出なかったら作り直しともなります。(下の写真はアールジュネス様のHPにあった実際の版画制作風景を使用しております。)

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シルク版の焼き付けの準備(上段左)
正確に焼き付けられた遮光紙はシルクの版の焼き付けに使用します。
実際のシルクの版(下段左)
レーザー光で切った遮光紙をプリンターでシルクの枠に焼き付け、水洗いします。光の当たらない部分が水に溶け、インクを通すシルクの版ができます。
特殊刷り(上段中)
柔らかに発色するパールの効果を高めるためにジクレーの前段階として特殊な刷りを行っています。
インク調合(下段中)
ラメやパール粉を透明インクに混ぜてシルク用のインクに調合します。
版とは紙の位置合わせ(上段右)
版をシルクの刷り台にセットして位置を確認します。
インクを定着させる工程(下段右)
ヘラに似た道具を一気に引くことでインクを定着させます。

 以上が版画が出来上がるまでの工程となります。他にも版画によっては違う手法を取り入れたりしている作品もあります。この後は厳しい検品作業を3つおこない、合格したモノが私たち購入者の元へ保証書と一緒に届きます。
 額縁にも拘っており、版画に合うようには勿論のこと、紫外線による変色・退色を防ぐアクリルガラス、黄変を防ぐ酸化防止シートなど細かな配慮も施して一生モノになるように丁寧に仕上げております。

私が持っている版画の紹介

 さて、ここで現在私が持っている版画を紹介します。現在わたくしが持っている作品は3作品です。

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1つ目はてぃんくる先生の「PINOT NOIR MADREPERLA」です。この版画の板は特殊で5円玉と同じモノとなります。また、これは写真では全く分からないのですが、絵が浮いているように見えます。これはアクリル板と挟むことで浮いているように見える技法です。2枚目の写真でなんとなくわかるかなと思いますがどうでしょうか・・・

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 2つ目は私が一番好きなイラストレーターの藤真拓哉先生の「SAKURA PRISM」となります。この版画は他にもPRISMシリーズで前2作ありますが、私が版画と出会ったときにはその2枚は既に在庫がない状態でした。この版画の発表後、先生が地元に来て座談会がありましたので、この版画についての特徴をたくさんお聞き出来ました。お話しを聞くとまたこの絵の魅力が増しました。あと、色紙にサイン頂いたり、短時間ですが会話もでき、夢のような時間を過ごしました。

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3枚目がてぃんくる先生の「雪月華舞~夢現 漆版」となります。こちらは漆を使っており、より色の深みがでております。この作品は2019年の12月末に届いたばっかりです。

版画の魅了とは

 さて、ここからが私が伝えたい部分になります。(何を書いているか分からず怪奇文章になりそうですがご了承ください)版画の何が凄いのかを徹底的に伝えてようかなと思います。
 まず色と光について。まず版画をただ見るだけでもその美しさに圧倒されます。しかし、版画は見ておしまい、だけではないのです。光を当てると作品が変わると言っても過言ではない程更に魅力が変わります。下の画像で違いを見ていただきたいと思います。

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 このように全体的に肌の質感や花のピンク色も変わっているのはわかります。光を当てた瞬間世界が一風します。今回は光を当てる前と当てた後をあげましたが、版画の面白いところはライトをゆっくり版画の外から移動させると、色が変わる瞬間(境界)がみれることができるのです。これが非常に興味深く楽しいです。見る人によってはここにライトを当てたところが好きと個人差も出てくるので、人の数だけ見る視点が変わるのも凄いことだと思います。版画ですので、色もかなりの種類が複雑に絡み合っていますので、光を当てると同じ色なのに違うように見えます。
 ライトを当てる場所によって印象も変わります。

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1枚目の写真が光のポジションを下に当ててます。2枚目の写真が光のポジションを上に当てています。そして3枚目が全体的に光を当てた写真となります。印象ががらりと変わっているのがわかります。(あまりにもきれいすぎていろいろ反射しているのはご了承ください)また、このライトを当てた状態で、近くから見たり、遠くから見たりすると、これもまた印象が変わります。写真では伝わらないので比較できませんでした。
 今しがた光を当てるポジションで印象が変わると言いましたが、光の色でも印象が変わってきます。それがこれらです。

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 上の3枚はカントク先生の「おりひめ」という作品。下の3枚が藤真拓哉先生の「マカロンパーク」という作品になります。これらの版画は版画仲間の友人宅で撮影会したときに撮影したものです。許可は頂いております。
 これらはライトを2つ用意し、薄い白色を当てながら「おりひめ」には上から白・赤・青のライトを当てており、「マカロンパーク」は白・青・緑のライトをあてております。それぞれ他の色も試していて、凄くいい奴もあるのですが、写真だとなんともいえない感じになりました。ライトの色でもこんなに世界観が変わるというのか伝わりますかね。更に写真では分かりにくいですが、数秒間隔でライトの色を変えると背景の模様が変わりこれまた世界が一瞬で変わるのがみえます。映っている女の子の印象もそうですが、背景もがらりと変わるのもこの時初めて気づいた瞬間でした。

 続いては工程でもありましたラメについてです。ラメを簡単に言うとキラキラ光る粒と言ったらいいのでしょうかね。これがあることで、絵にキラキラ感が増し、まるで絵を祝福するように映えます。そのキラキラ感がでることにより、背景、人物、それぞれにまた味が出るという変化を感じます。下の写真の玉の中に綺麗な反射している粒があるかと思いますが、これがラメです。(私の姿が反射していますのはご了承ください)

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 ラメは作品ごとに施されていて、ただただ正面から見るだけではわかりません。光を当てても版画に施されているラメ全てが見えてくるわけではないのです。これも撮影会の時に気付きまいたが、ラメは明るさ、光の角度、そして見る位置によってラメが見えてくる数が違ってきます。「私が持っている作品紹介」で上の写真と同じ作品の画像もあるかと思いますが、それではラメが確認しにくいと思います。ラメを見つけるということは、要は宝物探しみたいなものです。友人宅での撮影会の時は光を当てながら、どの角度から見たらラメが多く見えるのか探しながらやっていました。その時に気付きましたが、版画のラメを完全に把握するには一人では限界があるということです。最低でも2人以上いないと、版画のラメを完全に確認できないと感じました。一人が光をいろんな角度で当て、もう一人がいろんな角度から見て、ラメを多く感じたところを探しだすということをしておりました。
 上のこの写真も一人で収めようとしているので相当苦労して収めることができました。(写真でラメをわかるようにしないといけないので)

追記

この記事をあげた数週間後に、版画仲間の友人宅にお邪魔しました。その人もてぃんくる先生の「雪月華舞~夢現 漆版」を購入されていたので、その人と今まで書いていたように光の当たるポジション・光の遠近・角度を試すことができました。

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 上が黄色の光を当てました。(下が通常色の光)すると髪の色が少し金髪になっているのがわかりますかね。写真では分かりにくいですが、肉眼だとはっきり変わっているのが確認できております。これは友人から教えていただきました。感動し拍手させていただきました。他にも、ライトが多いとこのような幻想な表現も作り出すことが出来ます。

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 上が青のライト、下が赤のライトを当て、その後一つのライトこ固定しもう一つのライトを動かすと3枚目・4枚目の写真のように色のライトが良いグラデーションを作り、圧倒されます。おかげで私の携帯のフォルダは潤いました。他にも白ライトを下に固定し、色付きライトをつけた状態で下から当たるライトを手で遮断するとこれまた素晴らしい表情を見せてくれます。動画も取ったのですが、どうしてもその変わりようが凄すぎて喋れないで動画を取ることができなく、あげることができないのをご了承ください(笑)
 このように遊んでいたらいつの間にか90分経っており、今回はここで一旦辞めました。まだまだ試していない色の組み合わせもそうですし、ライトも3つあるのに2つしか試していないのでもっともっと楽しめる余地がある作品でした。

最後に

 いかかでしたでしょうか。版画はただ見るだけではなく、明るさ、見る角度、遠近、ラメと楽しめる要素が詰まっております。なので、少しでも版画の魅力が伝われば幸いです。版画を見る時に例えば3人、4人となり、ライトの数も増えればまだ私も知らないことに気付くかもしれません。
 また、版画の魅力についてお伝えしましたが、それでも版画の魅力の多く見積もっても50%しか伝えていないと思います。少しでも版画に興味を持っていただいたら、軸中心派に足を運んでみてはいかかでしょうか。そこで是非とも生で版画を見て、版画の凄さを体験してほしいです。別に買えと言っているわけではないです。店員さんも優しく愉快な方たちばかりで、何よりプロですので、版画の良い所、そしてもし購入を考えることになった際は悪い所も全部説明してもらえます。私も悪い所を全部聞きそのうえで購入しております。
 それではこのような長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。

新たに魅力を伝えるために第二弾も書いておりますので、こちらも是非ご覧ください。

版画が好きすぎて版画を楽しむ部屋も作りました。

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