見出し画像

甲斐くん、社長は文鎮やで

20代の頃は、京都リサーチパークのベンチャー企業向けのスタジオ棟という建物に入居してました。
スタジオ棟には、先輩経営者のベンチャー企業もいくつか入ってまして、社会人経験もない僕にとっては、先輩経営者との立ち話は、経営を学ぶ大変貴重な機会でした。

ある日、ひと回りぐらい年上の先輩経営者との立ち話の最後に一言いただきました。

「甲斐くん、社長は文鎮やで。頑張りなぁ。」

この一言は今でも心に深く残ってます。書道をするとき、文鎮がないと字は書けないですよね。文鎮があってもグラグラしてたら困りますよね。

社長は会社の文鎮で、社長が文鎮の役割をしっかり果たせば、組織のみんなは安定した半紙に筆で字を書くように、スラスラと動きやすく、働きやすいわけです。
なるほど。ありがたい言葉です。

ところが、実は社長が文鎮の役割を果たすというのは簡単ではないのです。本社の自分のデスクでじっとしてればいいというような話では決してない。
物理的な話ではなくて、どちらかというと自分の内の問題で当時の僕は、Aさんの話を聞けば、Aさんの意見に傾き、Bさんの話を聞けば、Bさんの意見に傾く。CさんとDさんの話を聞けば、CさんとDさんの話の間を取ろうとしたり、そこには自分の軸がほとんどない。グラグラグラグラ、文鎮が揺れるわけです。
これじゃ一緒に働くメンバーたちは不安になります。
当時の僕が文鎮では働きにくくて仕方ない。苦笑


20年以上、経営をしてきて、近頃はやっと文鎮になれてきたかなぁ、と自分では感じてます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?