#2020年映画ベスト10 のタグを観ながら振り返った今年の話。
Twitterで #2020年映画ベスト10 のタグを眺めながら振り返っていた。
今年の新作では「はちどり」と「ジョジョ・ラビット」が心に深く突き刺さり、忘れられない。
いずれの映画も、苦境や逆境におかれてもなお人間の可能性を肯定する作品だった。
「はちどり」は1990年代の男性優位で女性が抑圧される韓国を舞台に、「ジョジョ・ラビット」は第2次世界大戦下のドイツを舞台に、不条理な弾圧や不遇を子供の視点を通して描かれる。
少年少女を主人公とすることで「私の世界」と「本当の世界」が別々に立ち上がる。
人間は成長過程で「自分」と「世界」の関係性を理解していく。幼少期には「自分の世界」と感じていたものが「自分と世界」へと変化していくのだ。知れば知るほど、実世界には救いのない厳しい現実が理不尽に広がっていることを理解する。
いつか彼らは知るだろう。
それでも、生きていかなければいけない。と。
そんなときに彼らを後押しするのは、ユーモアだったり表現の力だったりする。「私」が「世界」に対抗するための武器は、それしかない。人が人らしく生きることだけは、絶対に誰にも奪わせはしないという強い意志が2作品には込められている。
描き、踊る。少年少女の行動が、彼ら自身を救済し、やがて世界をも変えていく。
異なる時代、異なる土地の話を自分ごと化できることは、フィクション・映画が最も得意とすることだ。耐え難いほど歪んでしまった世界の中でさえも、人間の可能性を美しく肯定することによって、どちらも時代を超えた普遍性のある青春映画になっている。
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"20年代的"なるものの気配を感じた。
2020年は歴史の教科書に載るような特別な年だったからこそ、人間讃歌を必要とした人は多かったはずだ。今年の春先に初めて知った「不要不急」という言葉を早く捉え直したら良い。人は現実を見据えるときに「不要不急」な力にこそ勇気をもらうんだ。
「佐々木、イン、マイマイン」という映画を2020年に公開した。待つという選択肢もあった中で、公開した。この映画を届けるのは今が一番良いと思ったからだ。今年を改めて振り返ったときに、判断は間違ってなかった。「佐々木、イン、マイマイン」もまた、厳しい現実と人間の可能性に誠実に向き合った作品だ。苦しんだ僕たち自身に寄り添ってくれた肯定感のある作品である。
20年代が始まっている今、僕たちは「人の力」について改めて語らなければいけない。
これからの10年、間違いなくすごいスピードで世界は変わっていく。
恐れるわけにいかない僕たちを鼓舞してくれるのは、ユーモアだったり表現の力だったりする。
だって、僕たちは知っているだろう。
それでも、生きていかなければいけない。と。
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