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そして、誰もケアマネをやらなくなった6

「非術師は嫌いかい?夏油君。」

 「分からないんです。呪術は、非術師を守るためにあると考えていました。でも最近、私の中で非術師の‥価値のようなものが揺らいでいます。弱者故の尊さ。弱者故の醜さ。その分別と受容ができなくなってしまっている。非術師を見下す自分、それを否定する自分。術師というマラソンゲーム。その果ての映像(ビジョン)があまりに曖昧で、何が本音か分からない。」


 「どちらも、本音じゃないよ。まだ、その段階じゃない。非術師を見下す君。それを否定する君。これらはただの思考された可能性だ。どちらを本音にするのかは、君がこれから選択するんだよ。」

 『呪術廻戦』九十九と夏油の会話です。





 私は、2013年から高齢者を対象にしたケアマネジャー、2015年から障害者を対象にした相談支援専門員を、仕事の1つとしてやってきました。

 その過程で「介護福祉士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」「公認心理士」「保育士」等の試験に合格し「主任ケアマネ」「主任相談支援専門員」の資格も取得してきました。

 しかし、レベル上げをしていく度に、この仕事のネガティブな面ばかりが浮彫りとなり、この仕事は、若くて能力のある人がやる仕事ではないという結論に、現在は至っています。



 「わかんない。」「やって貰っている。」

 高齢者が介護保険を利用して、訪問介護(ヘルパー)やデイサービス等を利用する為には、私達、ケアマネジャーが作るケアプランが必要となります。

 ケアプランには、訪問介護やデイサービス等を利用する目的(ニーズ)が、必要となります。

 その目的に沿って、ケアマネジャーが目標を考え、その目標達成に向けて、訪問介護やデイサービス等の各介護保険サービスがサービスを提供していくという仕組みになっています。


 しかし、その目的を高齢者に聞いても「わかんない。」「やって貰っている。」等の返答しか返ってこない人が一定数存在します。

 「わかんない。」「やって貰っている。」等のニーズを起点とし、目標を立てる事自体が、そもそも無理ゲーです。


 「ダメだ‥考えることを放棄している。」

 『進撃の巨人』アルミンの言葉です。

 

 日本は、考える事を放棄していても、世界最強の社会保険システムにより、支援を受ける事が出来、何となく生きていく事が出来る社会です。

 率直に申し上げると、そのような人達の人生の後処理をするという事が、ケアマネの仕事の1つとなっています。


 上記のような高齢者に対し、区役所の方と情報共有させて貰った事があった時に、私が上記のような話をした時、区役所の方から「そういう人達を支援するのが介護保険の理念ですから。」と言われた時には、流石に私自身、殺気を出してしまいました。

 まあ、区役所で働くような公務員の中には、考える事を放棄している人が多いのですが‥。




  ①求められる仕事に対して、給料が安い

  ②精神的に疲弊する

  ③資格の維持が大変


 ケアマネがケアマネを辞める要因を分析すると、上記の3つに分類する事が出来ます。


 ハラスメントのようなわかりやすい迷惑高齢者に加え、上記のような考える事を放棄している高齢者も、②精神的に疲弊する事の1つの例です。

 考える事を放棄している人は、自分では何の行動も努力もせずに、他者が自分達の生活を何とかしてくれると思っています。



 トラブルが生じる「人間関係」や、面倒な「人間関係」は、皆、同じパターンで成り立っています。

 どの場合も①犠牲者②迫害者③救済者の3者が登場人物です。

 1人1人が悪いという事もありますが、それ以上に、関係性が悪いのです。

 

 「自分の所に受診に来る人は、大体人間関係に困っていて、全員がこのトライアングルにあてはまっている。」

 1968年アメリカの精神科医であるカープマンは、この悪い人間関係を「DDT(恐怖のドラマトライアングル)」と名付けました。



 考える事を放棄している人は自分の事を①犠牲者であると感じています。

 そして、このような人の場合、生活能力が低い事を多い為、訪問介護が1日複数回入る等する事が多いです。

 訪問介護を提供する人の中には「助けてあげたい」「放っておけない」という気持ちを持っている③救済者のマインドを持っている人が多いです。


 ③救済者マインドを持つ事は、悪い事ではありませんが、それが強過ぎると、問題は複雑化していきます。

 実は、③救済者がいる事で、①犠牲者の能力が、さらに低下していくのです。

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