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私は一人っ子だけどさぁ、最高だぜお兄ちゃん5

…兄ちゃんのこと慕いながら、俺の行動の根本は、兄ちゃんみたいになりたくなかったから‥?‥いや‥違う…

 …俺は、兄ちゃんが何で嫌われてるのか、理由がわからなくて、ただただ怖かった…


 …「湊はさ、自分がどう思うかは言わないで、空気を読むタイプだもんな。言いたいことも、思ってることも、ぜーんぶ内側に溜め込むの。昔からずっと。」…


 …場の空気を読もうとするのも、あの時感じたモヤモヤも‥知りもせずにレッテルを貼られることや、同調圧力に対しての反抗心や正義感なんかじゃなくて、嫌悪の理由がわからなかったから…

 …そんなことで?‥というか、理由なんかどうでもいいのか…


 …刺される人・刺す人・今は刺されてない自分…

 …その差は、ものすごく曖昧で、人(みんな)が向けている悪意が、対象(そのひと)にだけ向くものとは思えなかったから。何かを間違えると、いつも自分に向く日が来ると思ったから…


 …もし俺が、今の俺じゃなくなったら?兄ちゃん、俺‥兄ちゃんが思うような優しい人間じゃない。人の為に気を使っていたんじゃない。人の為の優しさじゃない…

 …調和を取りたがるのは、自分が空気に耐えられないから。手を差し伸べていたのは、いつか自分がそうなった時、誰も助けてくれないことが怖いから。好意を拒絶できないのは、自分が反対の立場だったらを想像してしまうから…


 …全部優しさなんかじゃなくて、ただ自分が孤独になりたくないから‥弱さだ。俺は、昔からずっと、家族も、友達も、誰のことも、完全に心を開くほど、信じることが出来ない…

 『氷の城壁』湊の脳内言葉です。


 
 カウンセラーとして、仕事をしている中で、仕事・恋愛・お金・子育て等、相談を受ける話の内容は多岐に渡ります。

 その中でも、圧倒的に多いのは、家族・上司・部下等といった、身近な人間関係にまつわる問題です。


 心理学やカウンセリングの知識のある方であれば、そうした問題の原因の多くが「親」との関係に行きつく事は、よく御存知でしょう。

 子どもは、世界観や考え方、さらには、感情の受け止め方まで「親」の姿を、真似して成長していきます。


 「思春期の頃の人間関係」も、無視出来ません。

 思春期は、意識が、親(家庭)を離れて、社会に向き始める時期です。

 そこで、自立した人間になる為に、主に、学校で他者との関わり方を学んでいきます。

 この時期の友達関係は、その後の人生における人間関係に、大きな影響を与えます。


 私自身、カウンセリングをしていく中で、まずは「親」との関係に着目し、次に「思春期の頃の人間関係」に着目します。

 ところが、稀に、上記の2つだけでは、説明しきれない問題に遭遇する事があります。



 それが「兄弟姉妹」の関係です。


 「親子の関係」が「上下関係」の基礎であるなら「兄弟姉妹の関係」は「横の繋がり」の基礎となります。


 小中高生時代の、クラスを思い出してみて下さい。

 学級委員を務めたり、学校行事等でリーダー役を買って出たり、部活等のキャプテンをやる「頼れる同級生」は、第一子(兄・姉)が、多かったのではないでしょうか?

 また、クラスの人気者やムードメーカー等で、皆に笑顔を提供していた同級生は、末っ子(弟・妹)である事が、多かったのではないでしょうか?


 さらに、その後の人生を追いかけてみれば、リーダー役を務めていた第一子(兄・姉)は、家庭や仕事でも、リーダー役を担っている事が多いです。

 皆に可愛がられていた末っ子(弟・妹)は、職場でも、場の空気を和ませる「いじられ役」を続けているのではないでしょうか?




 第二子(弟・妹)が生まれた場合、第一子は、大きなハートブレイクを経験します。

 このハートブレイクは、後の人格形成に大きく影響をし、その人の世界観を決定づける場合も多々あります。


 第二子が生まれた場合、第一子にとって、これまで100%自分だけに向けられていた両親の目が、一気に第二子に向いてしまいます。

 小さい子の方が手が掛かるのだから仕方がないと理解出来るのは、ある程度年齢を重ねてからです。

 第一子と第二子との年齢差が5歳以上離れている場合には、このダメージは大きくありませんが、年齢差が小さい程、両親の愛情が100から0になってしまったように感じて、大きなショックを受けます。


 そこで、第一子は、第二子に奪われた両親の愛情を取り戻そうとして頑張ります。

 まず、第一子は「手の掛からない子になって、お母さんに褒められる」という戦略を取ります。

 お手伝いをしたり、自分の事は自分でやったりと、お母さんが喜びそうな事を、先読みして行動します。


 しかし、この行動は、本心からの行動ではありません。

 ただでさえ、弟妹に、両親の愛情が向いている為「良い子」になって注目を浴びたいのです。

 このハートブレイクは「初めての大失恋」と言える程の痛手を、第一子に与えます。



 両親としては、上の子も、下の子も、平等に愛情を掛けようと思いますが、実際に手が掛かるのは、幼い下の子です。

 その為、つい上の子には、甘えてしまう事も、多いのではないでしょうか?


  「お兄ちゃんなんだから、自分でやって。」

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