そして、誰もケアマネをやらなくなった4
「非術師は嫌いかい?夏油君。」
「分からないんです。呪術は、非術師を守るためにあると考えていました。でも最近、私の中で非術師の‥価値のようなものが揺らいでいます。弱者故の尊さ。弱者故の醜さ。その分別と受容ができなくなってしまっている。非術師を見下す自分、それを否定する自分。術師というマラソンゲーム。その果ての映像(ビジョン)があまりに曖昧で、何が本音か分からない。」
「どちらも、本音じゃないよ。まだ、その段階じゃない。非術師を見下す君。それを否定する君。これらはただの思考された可能性だ。どちらを本音にするのかは、君がこれから選択するんだよ。」
『呪術廻戦』九十九と夏油の会話です。
「兄に電話して、もうこんな自分なんて死んだ方がいいと言ったら、死んでくれって言われましたよ。こんな事ありますか?実の兄弟にですよ。もう訴えてやりますよ。障害者虐待の団体から、どこにでも。あの嫁に言わされているのかもしれません。あの鬼嫁ならやりかねません。」
私がケアマネジャー(ケアマネ)として、担当をしている高齢者(利用者)の息子からの電話です。
この息子は、統合失調症を抱え、1度離婚をし、2度自己破産をしています。
家は、ゴミ屋敷で、歩く事もままなりません。
それでも、毎日の様に、聞きもしないレコードを注文し、廊下や階段に積み重ねられていきます。
1ケ月に1回程度、上記の様な状態となり、私を始め、区役所や障害者支援センター、地域包括支援センターに、怒りながら、泣きながら、電話をしてきます。
先週の金曜日は、弊社に、12回電話がありました。
百歩譲って、自分の辛い気持ちを聞いてほしくて電話をしてくるのなら、良いのですが、必ず、誰かを悪者にしてくる所が、この人と関わり続ける中で「しんどい」と感じる所です。
私には、兄を悪者にした電話を掛け、区役所には私を悪者にした電話を掛け、障害者支援センターには区役所を悪者にした電話を掛けるのです。
私は、2013年から高齢者を対象にしたケアマネジャー、2015年から障害者を対象にした相談支援専門員を、仕事の1つとしてやってきました。
その過程で「介護福祉士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」「公認心理士」等の試験に合格し「主任ケアマネ」「主任相談支援専門員」の資格も取得してきました。
しかし、レベル上げをしていく度に、この仕事のネガティブな面ばかりが浮彫りとなり、この仕事は、若くて能力のある人がやる仕事ではないという結論に、現在は至っています。
高齢者だから、その家族だから、障害者だから、人を傷つけても良いのでしょうか?
高齢者や、その家族、障害者であれば、何を言っても、しても許されるのでしょうか?
先週、介護保険の認定調査で伺った高齢者の夫が「日本は、我々下々に厳しい国だ。」等という主張を私に、ぶつけてきました。
流石に頭にきてしまい「日本程、下々に優しい国はありませんよ。」と私の主張をぶつけてしまいました。
4,04倍。
この数字は、2022年12月におけるケアマネジャー(ケアマネ)の有効求人倍率です。
2023年における有効求人倍率の平均は、1,29倍である為、ケアマネになろうとする人がいかに少ないかが理解出来ると思います。
53歳。
2022年におけるケアマネの平均年齢です。
さらに、4人に1人のケアマネが60歳以上というです。私の肌感では、これらの数字よりも、実態は上であるように感じています。
私は、仕事の1つとして、ケアマネをやっています。
25歳からケアマネの仕事をし、27歳で独立をし、主任ケアマネの資格取得や更新もしております。
①求められる仕事に対して、給料が安い
②精神的に疲弊する
③資格の維持が大変
ケアマネがケアマネを辞める要因を分析すると、上記の3つに分類する事が出来ます。
冒頭の話が②精神的に疲弊する事の1つの例です。
精神疾患を持つ人と接する機会が多い医療・介護で働く人(精神科の病院や精神疾患を持つ人の家を訪問するヘルパー等)は、他の科や精神疾患を持つ人との関わりが少ない介護の仕事をする人と比較し、精神疾患になる確率が、5倍になります。
2018年に厚労省が実施した調査によると、過去1年間において「利用者・家族からハラスメントを受けた事があるか?」という質問に対し、60%のケアマネが「ある。」と答えました。
また、2019年労災請求数の1位の業界は、社会福祉・介護事業でした。
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