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親が子を思うより、子が親を思うほうが上

独身時代、母親になったらわが子にどんな感情を抱くのだろうと、私はワクワクしていた。「今まで感じたことがないような愛しい気持ち」だの、「これが愛というものなのか!」だの、世の中の人達が愛を実感できる素晴らしい感情が芽生えたと、熱く語っていたからだ。

娘達が産まれて、最初に感じたのは、「あ、かわいい」であった。それは、小さな動物を見るのと、ほぼ同じ感情。一瞬で別世界に誘われるのかと思いきや、割と普通の世界のままだったので、がっかりした。それからは、「怪我させないように」とか、「事故に遭わないように」と気を張って育てることが最優先。「かわいい」と思っていたことも忘れがちになった。

でも、誕生日や母の日などにくれる手紙の「ママ、大好き」の一言に、心を撃ち抜かれる。始終小言を言っていても、嫌いなネギを食卓に出し続けても、子どもは親の欠点は大目に見てくれるのだ。こんな母でもいいのかと愛しい気持ちが込み上げる。親が子を思うより、子が親を思う気持ちの方がはるかに大きい。

私も小さな頃は、母が大好きだった。でも、「ママ、大好き」とは言わなかったかも。だから、私のことはかわいくなかったのかな。それでも、好きだったんだよね。これは子が親に持つ感情ならではと思う。

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