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成功デイサービスが実践する営業戦略

デイサービスの営業は、他の業界と営業とは性質が異なります。特にサービスを提供する利用者ではなく、介護サービスを管理するケアマネージャーに間接的に営業することが、営業をややこしくしています。

今回はその営業について、成功しているデイサービスが実践していることを、他の施設がマネできるよう、細かく解説いたします。

デイサービスの販促活動おいて、改善しなければいけないことは大きく分けて3つあります。1.居宅訪問 2.販促ツール 3.見学から契約まで

私がコンサルティングしている施設では、”どれかができていない”というより、”全てに課題がある”ということがほとんどです。これから記載する3つの改善ポイントについて、読み飛ばすことなくしっかりと確認していただければと思います。

1.居宅訪問(ケアマネ訪問)

 1-1 まず改善しなければいけないのは、訪問量です。

課題のある施設では必ずと言っていいほど、販促活動の量が足りていません。具体的に言えば、1ヶ月に会ったケアマネの数が少ないです。

多くのエリアでデイサービスは飽和しており、サービスが似た事業所がたくさんあります。

その中で、ケアマネは「少しでも利用者に合っているデイサービスを紹介しよう」と努力していますが、ケアマネも人間なので、仲の良い事業所に紹介したり、これまでも付き合いのある事業所に紹介しやすくなります。

ケアマネの立場になって考えてみると、ご無沙汰な施設(会っていない施設)には紹介する気になりません。そういった意味で、頻回な訪問が必要になるのです。

 1-2 どれくらいの頻度でケアマネに会う必要があるのか?

答えは、月に2回です。2回というのは、「既に紹介をもらったことがあるケアマネ(既存ケアマネ)」も、「紹介が過去にないケアマネ(新規ケアマネ)」も同様です。

 1-3 既存ケアマネへの営業

月初に実績を渡すときにケアマネに会っているかと思います。それに加えて、月中にケアマネに会う必要があります。

月初は忙しいため、なかなか話をすることができず、最低限の利用者の情報共有しかできません。比較的ケアマネが忙しくない月中に訪問することで、デイサービスの情報や、地域の情報をやり取りできるようになります。

※実績渡しをFAXや郵送で済ませてしまっているデイサービスは、営業面において、他のデイサービスに大きく後れを取っている可能性がありますので、早急に見直すことをオススメいたします。

 1-4 新規ケアマネの場合

これまで紹介がないところから、新たに紹介をもらうためには、他のデイサービスより優れたサービスを提供するか、人として気に入ってもらうか、どちらかしかありません。

優れたサービスの提供については、また別の記事で解説します。人として気に入ってもらうために、最も有効な方法が頻度高く接点を持つことです。

【ザイオンス効果 (単純接触効果)】
同じ人や物に接触すればするほど、好印象をもってもらえる。
接触時間よりも接触回数の方が、好印象との相関関係がある、
※ロバート・ボレスワフ・ザイアンスが論文で発表した心理学の理論

毎週会ってしっかり話すことができるのであれば、それがベストですが、なかなかやり切れないというのを何度も目にしていますので、皆さんには月に2回会うことを実施していただければと思います。

 1-5 高頻度でケアマネに会うコツ

上記の話をしたときによくでる悩みが、「そんなに何度も同じケアマネに会っても話すことがない・・・」「何を話したらよいかわからない・・・」です。
そんなときは、次の順番で販促物を持ってケアマネに会いに行きましょう。

1回目:名刺交換
2回目:ニュースレター①
3回目:基本情報パンフレット
4回目:ニュースレター②
5回目:営業チラシ
6回目:ニュースレター③
※上記の販促物の詳細については、次の章で解説いたします。

順番が前後すると営業に行きづらくなるので、必ず順番を守ってください。
上記の順番で販促物を渡すという名目でケアマネに会うことで、同じケアマネに何度も会うというハードルをクリアできます。

2.販促ツール

 2-0 販促物の作成ポイント

みなさまに最低限用意していただきたいのは次の3つです。
①基本情報パンフレット
②営業チラシ
③ニュースレター

それぞれの販促物は、使い方が異なります。使い方に合わせて正しく作らなければ、期待した効果を得ることはできません。
また、どれか一つでも欠けていると満足に営業できませんので、3つとも揃えることをオススメいたします。

販促物を作成する際に、意識していただきたいこと
〇 誰を対象としているのか?
〇 どの様な目的で使用するのか?
〇 何を伝えたいのか?

上記の3点を踏まえて、各販促物のポイントをお伝えします。

 2-1 基本情報パンフレット

基本情報パンフレットは、”利用者・家族向け”に作ります。デイサービスのことを良く知らない一般の方ですので、専門用語を使わずに分かりやすい表現で記載する必要があります。
また、サービスをイメージできるように写真やイラストを多めに用いて表現すると良いです。

目的は、うちのデイサービスについて知ってもらうこと
伝えたいことは、デイサービスに通うことで、暮らしにおける課題が解決すること です。

 2-2 営業チラシ

営業チラシは、”ケアマネに向け”に作ります。そのため、専門用語を使ってもかまいません。逆に、余計な情報が多いと、伝えたいことがぼやけてしまうので、伝えたい内容に絞って、記載するのが良いです。

目的は、自社のデイサービスの良さを伝え、利用者の紹介をもらうこと
伝えたいことは、自社のデイサービスのウリ です。

 2-3 ニュースレター

ニュースレターは、”ケアマネに向け”に作ります。
目的は、営業時の話のきっかけをつくること
伝えたいことは、最近のデイサービスの様子(何でも良い) です。

”1-5”でもお伝えしましたが、営業時にケアマネに渡すものがないと、営業しづらいと感じている管理者はとても多いです。ニュースレターがあると、それを渡すことを目的に居宅を訪問することができるので、営業のハードルが一気に下がります。

ニュースレターは営業のきっかけづくりとして作成するので、余り時間をかけて作る必要はありません。毎月新しいものを作成することの方が重要になってきます。

作成する時間がないという施設は、毎月「写真」と「空き情報」だけ差し替えて、ケアマネに渡すと良いでしょう。

3.見学から契約まで

せかく紹介をもらったのに、契約に繋げられていない。取りこぼしているというケースが散見されます。改善ポイントは次の3つです。
①見学・体験日の決定フロー
②見学・体験対応
③フォロー

 3-1 見学・体験日の決定フロー

みなさんの施設では、ケアマネから最初に電話が来てから見学日の決定まで、どれくらいの時間がかかっていますか?

【NGケースの例を紹介】
・ケアマネからの電話を現場職員が取る。その際に管理者や相談員が不在のため折り返すと伝えるが、最終的に折り返して電話がつながるのが翌日以降になっている。
・ケアマネからの電話を管理者が受けたが、その場で日時を決められず、翌日以降に日時の相談をしている

ベストな対応は、
”ケアマネから連絡があったら、その場で見学・体験の日時を決める”です。
そのために、スタッフが見学日時を決定できる仕組みを整えてください。

具体的には、電話の近くに施設共有のカレンダを置き、その中に見学受け入れ可能な日時を明記しておくこと。そして、見学の申し込みを受けたら、それをカレンダーに書き込めるようにしておくことです。

こうすることで、誰が電話を受けても見学日をその場で決定できるようになります。

また、スマートフォンで使っているような、クラウド型のカレンダー(インターネット上にデータが保存されるカレンダー)を活用すれば、外出中の人も施設に戻らずにスケジュールが確認できるようになります。

この見学日の決定スピードが遅いと、最終的に見学が流れることに繋がりますし、対応が遅いことを理由に、紹介が減ってしまいます。

利用者を目の前にして、その場で連絡をしているケアマネもいますので、即時決定の仕組は是非整えてください。

 3-2 見学・体験対応

「見学・体験対応の改善に向けて、やっていただきたいのは練習をすること」です。
誰かスタッフを利用者に見立てて、ロープレをするだけでも、見学・体験対応のレベルは格段にあがります。

下手な施設は、利用者や家族目線で説明ができておらず、自分本位の説明になっています。
具体的には「専門用語を使う」「利用者がが興味ないことについて長時間説明する」などです。

施設内の職員同士で、ロープレするだけでも効果がありますが、可能であれば別の事業所や他部門(介護外)の社員に協力してもらってロープレを実施すると、より良い見学対応にレベルアップします。

 3-3 フォロー

私はコンサルティングの中で。「この間のケアマネから紹介してもらったあの方は、結局どうなりましたか?」こんな質問を施設長や相談員に投げかけることが、よくあります。

集客に苦戦している施設は、共通してこの質問にハッキリと答えることができません。

契約になったのか?、検討中なのか?、NG(失注)だったのか?
検討中なら、次にフォローするタイミングはいつのなのか?
契約・NGの理由は何か?

特に検討中の方の管理をしっかりしていない施設は、見えないところで相当数の取りこぼしが発生しています。とりこぼすだけなら、まだ良いですが、ケアマネから不信感を持たれ、その後の紹介が少なくなるケースもあります。

ケアマネからすれば、せっかく紹介した自分の大切な利用者(お客様)です。それなのに、紹介後の状況を正しく把握できていない、報告が来ないというのでは、信頼が揺らいでしまいます。

このようなことにならないように、皆様の施設では”案件管理”を確実に行ってください。
案件管理表には、基本情報の他に次の項目を入れていただくと良いです。
案件発生日、見学日、体験日、契約日、理由

それぞれの日付を着実に入れること。保留ならば、次にいつ相手に連絡するかをその表に書くことで、忘れることなく管理をできるようになります。

また、一人で管理すると絶対に抜け漏れが出ますので、管理者と相談員で毎週月曜日に確認しあうことをオススメいたします。

まとめ

施設によって細かな部分の課題は異なり、それに適した、解決策も様々です。今回は集客に苦戦している施設に共通する課題と、その解決策をお伝えいたしました。記載したものはどれも必ず実践していただきたいものばかりですので、是非積極的に取り組んでいただけると幸いです。

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