ハーレイ・クイン ガールズ・レボリューションと休む
既に安定した幅広い固定ファンと長い歴史があるヒーローもののアメコミは基本的にここでは紹介しない。そういう意味で映画等でもお馴染み、日本のハロウィンでも人気者のハーレイ・クインを取り上げるのはある意味例外だ。ここで本作品を取り上げるのは、ストーリーをあの、マリコ・タマキが書いているからだ。
マリコ・タマキについては、以下でも取り上げたので是非チェックしてほしい。
本作品については、以下、本作品に付属の解説に依拠する。まず、本作品は、DCインクというDCのレーベールから発表された作品らしい。そして、このDCインクというレーベルは正史(アメコミヒーローものにはそういうものがあるらしい)とは異なるオリジナル設定で、テーマ性を重視した作品が特徴らしい。
確かに本作品では、主人公のハーレイ・クインが身を寄せるのは、「ママ」と呼ばれるゲイのドラグゥクイーンの家である。多様性だ。
そして、本作品では上記のコマの赤い四角で囲われた主人公ハーレイ・クインの独白を交えながらストーリーが進行していく。この主人公の独白も、映画のようなセリフ回しだったりしてとてもカッコいい。そういえば本作品全体の色合いもカラーフィルムで撮影したかのような映画っぽい、MVっぽい雰囲気がとても良い。そして要所、要所で出てくる赤い空・赤い風景がとてもドラマチックに本作品を演出しているように感じる。なお、本作品の作画はスティーブ・ビューというアメコミにおいてはベテランの作画者が描いているためか、コマごとの作画に非常に安定感がある。
特にこのコマが気に入っている。高さが出ている点、道路の炎やパトカーの赤灯の赤さが印象的である点、夜の光が作る陰影が深さを出している点が主な理由だ。
ところで、マリコ・タマキによる本作品は、他のマリコ・タマキの作品同様、女の子のティーンを描いている点、女の子が何かに悩んでいる点が似ている。他方で、他の作品と異なると感じるのは、ハーレイ・クインというキャラクターを使用している結果か、女の子がスプーンを使って脱獄したりするお転婆さがある点だろうか。そういう意味では、マリコ・タマキの描くティーンの鬱屈とした感じと、ヒーローものがもつ世間離れした爽快感がうまく一致した良い作品なのではないだろうか。
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