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第30話 都市伝説『日本のUFO伝説』(BJ・お題 『UFO』)

日本にもUFOと思われる伝説が古くからあります。

虚舟(うつろ舟)として知られているものが、日本各地に伝えられています。いちばん有名なのは享和3年(1803年)常陸国のものですが、それ以外にもあり、最も古い伝説は17世紀までさかのぼります。

UFOの形をした舟が海に現れるのですが、そこから女性が箱を持って出てくるのが特徴です。


でも、もっとも有名なUFOの話は浦嶋伝説だと思われます。そのお話をしましょう。


浦嶋太郎というのは、元々は浦嶋子(うらのしまこ)という名前でした。小野妹子などと、男でも昔は「子」がつく名前で表されますよね。だから今風に言えば「浦嶋太郎」ということになります。室町時代からその名前になりました。

浦嶋子の記録は『日本書紀』の雄略天皇22年(478年)秋7月の条にあります。日本書紀は日本国の歴史書ですから、浦嶋子は歴史上の人物として扱われているということになります。つまり、浦嶋伝説は「史実」であるということです。

また、詳しい物語は、丹後風土記というものに書かれていたらしいのですが、これは現在見つかっておらず、丹後風土記逸文というものにその内容が書かれています。8世紀頃に書かれたものということになっています。

また『古事談』という書物には、

淳和天皇御宇天長二年(825年)乙巳。丹後国与佐郡人水江浦島子。此年乗松船。到故郷

と、嶋子(島子)が帰ってきたときの記載があります。825年に帰ってきて、日本書紀では478年に京都の丹後半島から出発したということになっていますから、347年経っているということになります。


ここで丹後風土記逸文の記載を見てみましょう。

長谷の朝倉宮に御宇しめしし天皇の御世、島子、独り小船に乗りて海中に汎かび出でて釣りするに、三日三夜を経るも、一つの魚だに得ず、乃ち五色の亀を得たり。

「五色」は「ごしき」と読むのか「いついろ」と読むのか、いずれにせよピカピカと光っているということを意味します。光る亀型のもの。これって、UFO(「未確認」飛行物体ではもはやないので、正確には宇宙人の乗り物、エイリアン・クラフト)ではないでしょうか?

その亀は姫に変身します。乙姫ではなく、亀姫なのです。亀姫のセリフが興味深いのですが

・・女娘答へけらく、「天上の仙の家の人なり。請ふらくは、君、な疑ひそ。相談らひて愛しみたまへ」といひき。

亀姫は自分は天の人だと名乗っているのです。


二人は竜宮城ではなく、蓬莱山(とこよのくに=常世の国)に着きます。これは、時間が過ぎない国という意味です。

其の地は玉を敷けるが如し。瞭映え楼堂は玲朧けり。目に見ず,耳に聞かず。

地面は宝石を敷いたようであったとか、高いまばゆい塔があった、といった表現が、どうにも近代的な都市を思わせます。見たことも聞いたこともないような場所である、という説明がのちに歌で「絵にも描けない美しさ」という部分に相当します。

二人は屋敷の前に着きますが

女娘、「君、且し此処に立ちませ」と曰ひて、門を開きて内に入りき。即ち七たりの竪子来て、相語りて「是は亀比売の夫なり」と曰ひき。亦、八たりの竪子来て、相語りて「是は亀比売の夫なり」と曰ひき。茲に、女娘が名の亀比売なることを知りき。乃ち女娘出で来ければ、島子、竪子等が事を語るに、女娘の曰ひけらく、「其の七たりの竪子は昴星なり。其の八たりの竪子は畢星なり。君、な恠しみそ」といひて、即ち前立ちて引導き、内に進み入りき。

ここが訳のわからない箇所です。突然七人の子が現れ「うわー、亀姫のお婿さんだー」、また八人の子が現れ「わー、亀姫のお婿さんだー」と言います。それについて亀姫が「七人の子は昴星(すばる)で、八人の子は畢星(あめふり)ですよ」と言います。

物語としてはまったくいらないくだりです。なんなのでしょう?

実は、昴星とはプレアデス星団のこと、畢星というのはヒアデス星団のことで、 いずれもおうし座にあります。

ということは、子供たちはそこから来た宇宙人だということになりませんか?


宴となります。

時に、島子、旧俗を遺れて仙都に遊ぶこと、既に三歳に逕りぬ。

三年も暮らし、帰りたいということになります

 女娘、玉匣を取りて島子に授けて謂ひけらく、「君、終に賎妾を遺れずして、眷み尋ねむとならば、堅く匣を握りて、慎、な開き見たまひそ」といひき。即て相分かれて船に乗る。仍ち教へて目を眠らしめき。

玉手箱は玉匣(たまくしげ)と言います。それを渡され、船に乗せられ、眠らされます。コールドスリープではないでしょうか?

帰ると村は変わり果てています。

・・郷人に問ひけらく、「水の江の浦島子の家人は、今何処にかある」ととふに、郷人答へけらく、「君は何処の人なればか、旧遠の人を問ふぞ。吾が聞きつらくは、古老等の相伝へて曰へらく、先世に水の江の浦島子といふものありき。独り蒼海に遊びて、復還り来ず。今、三百余歳を経つといへり。何ぞ忽ちに此を問ふや」といひき。

三年だと思っていたら三百年たっていました。

玉手箱のことを思い出し、開けてしまいます。

その後に気になる一文があります。

 神女、遥かに芳しき音を飛ばして、哥ひしく・・

どうも通信しあっているようなのです。玉手箱は通信機だったのでは?

また、虚舟に乗っていた女性も箱を持っていたのとちょっと共通していますね。


さあ、どうみてもこれはSFのような話で、昔話としては少し毛色が違います。そもそも歴史書に載ってしまっています。


ここで、ウラシマ効果というものを考えましょう。浦嶋太郎の話からつけられたウラシマ効果。これは、アインシュタインの相対性理論に基づき起こる現象です。

光速に近い速さで動く宇宙船に乗っていると、竜宮城のように、時間の進みが遅くなるのです。これは、相対性理論による、光の速さはどこでも一定である、という前提から導かれます。光の速度で動くものは時間が止まってしまうのです。


動画では、エクセルでそのウラシマ効果を計算した解説をしています。するとウラシマが行った場所は?

(ただ、動画の解説には、実は致命的な欠陥があります。でもまあうるさいことは言わず、楽しんでいただければと思います)


日本古来のUFO伝説でした。

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