背伸びをしてもハチミツの瓶には届かない
いつまで経っても成長しない自分に、いい加減嫌気がさします。
なんでおれはいつもこうなんだ。頭で考えてばかりで、完成させられない。本当におれに面白い作品が作れるようになるのか。
そんなことを延々と考えていました。
面白い漫画を描こうとして、思いついた話を何度も何度も直していました。テキストに書き出した設定やあらすじを眺めて、「これじゃつまらない」「もっとこうした方が面白い」なんて思いながら、何度も直していました。
「あ、おれまた描かない漫画家になってる」
そう思ったのは、最初に作品に着手してから1ヶ月ほどたった頃です。
以前からそうでした。『短編創作100本チャレンジ』を始める前から、頭の中で考えているのが得意でした。ネームに起こすことなく、頭の中で何度も何度も話を修正して、傑作が出来上がるのを待っていました。テキストに書き起こしては直すことを繰り返して、気づいたら1年近くも創作漫画を描いていませんでした。
漫画家と名乗っていても作品が描けない、いわゆる〝描かない漫画家〟状態。
そこで始めたのが、作品を完成させることを目的にした『短編創作100本チャレンジ』です。これまで14本ほどネームを描き上げてきて、完成させる力は身につきました。いよいよ長編作品に再チャレンジと思っていたのですが、どうやらまた〝描かない漫画家〟に戻っていたようです。
「つまらない」と評価されるのが怖いのかもしれません。つまらない作品を発表して、自分の評価を下げられたくないのです。だからビビって、いつまで経っても作品を完成させられない。そんな自分が嫌になって、久しぶりに自己嫌悪に陥ります。
#毎日女子 を達成してから上り調子だった自己肯定感が、どんどん下がっていきました。
「おれはダメなやつだ」
また以前のぼくに逆戻り。いい加減にしてほしいものです。
できることなら毎回面白い作品を発表して、拍手喝采の一つでも浴びたいものです。でも、今のぼくには不可能なようです。
自己嫌悪に陥ったぼくは成長しない自分と向き合い、対話を繰り返します。なんで描けないのか。どうすれば描くようになるのか。自問自答の中で出た答えは、〝今できることを作品にしていくしかない〟ということでした。
面白いものを描く実力がないのに面白いものを描こうとしているから、いつまで経っても完成させられないのだということに氣が付きました。
今できないことはできません。いくら面白い話を作ろうとしても、今それができないのなら、それが今の実力です。受け入れるほかないと思いました。つまらない作品しか発表できないのはしょうがないのです。それが今の実力だから。
小学生の頃、台所の棚にあったハチミツの瓶が、いくら背伸びをしても取れなかったように、仕方なく床に積んであったじゃがりこを手にとって食べたように、今届かないものをいつまでも取ろうとしていても仕方ないんです。今届くものを手に取るほかないんです。
〝今できることを形にしていく〟
ぼくは期限を決めて作品を投稿することを決めました。
こうしないとぼくは、いつまでも描かないので。どんなにお粗末でも、期限がきたら出していきます。
早速今週の月曜日から、漫画を投稿しています。ネーム、いわゆるラフの状態です。面白くもなんともありません。でも出していきます。出さないと、いつまで経っても形にならないから。どんどん出していきます。つまらなくても、それが今の実力だから受け止めるほかありません。
今できることは、〝今〟できることを形にしていくことだったんです。
やっていきます。
先日公開したネーム▼
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●かいち|漫画家
20歳から漫画家を目指す。出版社に6年間漫画を持ち込むも実績ゼロ。一度は夢を諦めかけたが、ネットの可能性にかけて再起。以降ネットで漫画を公開している。自身が仮想通貨で300万円失った体験を元に描いた漫画『仮想通貨体験記』がGoogle検索キーワード「仮想通貨 漫画」で検索順位1位を獲得。エッセイ漫画『成功したいなら、成功している人の意見を真に受けろ』がTwitterで1.2万リツイートを超え、Yahoo!ニュースに掲載。その他の作品に『Decade(ディケイド)』『かいちの幸せの見つけ方』などがある。
#毎日女子 を達成するまでのエッセイ『継続できなかった僕が366日の毎日イラスト投稿を達成するまでの話』▼
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