過度に自分を追い込む必要はありません。
がんばれない自分に悩む人は多いと思う。
がんばろうとは思うけど、
どうしても自分を追い込めない。
そんなどうしようもない自分が嫌いで、
心のどこかでは、
「厳しい環境に身を投じれば、きっと自分は変われるはずだ」
と信じてる。
やめておいた方がいい。
そんな人は、
厳しい環境に身を投じない方がいい。
きっと、耐えられない。
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一部の成功者はよく言う。
「極限状態まで自分を追い込めば、あとはやるしかない。」
成功者の言うことだから、
自分も同じことをすれば成功できるんじゃないか
と、思うかもしれない。
が、
あの成功者が言ってることだから、正しいだろう
と思ってマネをすると、えらい目に合う。
成功者といえど、1人の人間。
自分とは性格も境遇も趣味嗜好も、全く異なる人物だ。
「極限状態まで追い込めばがんばれる。」
というこの理屈、
「極限状態」というのは具体的にいうと例えば、
安定した収入源を経って時間を確保したり
激安ボロアパートに引っ越してお金を浮かせたり
わかりやすくいうとそんなところだろう。
この理屈、
屈強な精神力の持ち主である一部の人には通用するだろう。
しかし、
もしあなたが、がんばれない自分を変えたい。
と思って、それらの環境に身を置いたとして、
本当に耐えられるだろうか。
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ボクがまさにそうだった。
ボクは現在、漫画活動に勤しんでいるが
自分を追い込めるタイプでは決してない。
以前は、そんな自分が嫌いだった。
「なんでボクは、自分を追い込むことができないんだろう」
そんなことでよく悩んでいた。
でも、そんなボクでも
夢は叶えたい、
成功したい
という欲は一丁前にあった。
だから、
成功するためには成功者をマネしよう
と安易に考えることがよくあったのだ。
成功者のマネが良い方に転ぶこともあったが、
もちろん良くない方に転ぶことも多々あった。
良くない方に転ぶ全ての場合は、「自分に合わなかった場合」だった。
漫画業で独立する前は、
カラオケ店でアルバイトをしていた。
漫画業で食べていきたいと考えていたボクは元々、
アルバイトに時間を取られるのが嫌だった。
雇われて働く時間があったら、少しでも自分の漫画で資産を作りたい。
そう考えていた。
しかし、アルバイト脱却のために
睡眠時間を削ってがんばったり
食事を削ってお金を浮かせたり
ということは、長くは継続できないタイプだった。
そんな、追い込めない自分がなによりも嫌だった。
あるときから、
漫画の仕事をチラホラ頂ける機会が増えてきた。
安定して生活できるには程遠い金額だったが、
毎月5〜10万円は稼げていたと思う。
そんなとき
ボクは思い切ってアルバイトを辞めた。
漫画の収入があればなんとかなる
と思ったのだ。
当時の考えとしては、
・人生を変えるには思い切った行動をとるしかない
・成功者が「追い込め」と言ってるから間違いない
・極限状態に追い込めば、もっと必死に漫画の仕事をとったり、描いたりするはずだ。
こんな感じだった。
アルバイトを辞めた時点では貯金もいくらかあったが、
同時期に引っ越しをしたので、
その引っ越し費用で貯金もほぼゼロになった。
正直にいうと、この引っ越し費用を計算に入れていなかった。
アホである。
正確には、
引っ越し費用を支払ってもまだ15万円ほど余裕はあったのだが、
家具家電を買い揃えたらほとんどなくなってしまったのだ。笑
アルバイトを辞める前の半年ほどは、
知人の家に居候をしていたため。
自分の家具家電は一切なかった。
恐ろしいことにボクは、この家具家電代を全く計算に入れてなかったのである。
机と椅子とパソコンと布団があれば生活できると思っていたのだ。
そんなこんなでボクは、
意図してか意図せずか、
貯金ゼロで安定した収入源を経つ
という極限状態に身を置くことになった。
それでもやっぱり、
なんとかなると思っていた。
極限状態に身を置けば、
自分を追い込んでもっとがんばれると信じていたのだ。
しかし、いざそんな生活をしてみると、
精神をやられた。
安定した収入がないことが怖くてたまらなくなった。
漫画作業もやる気が起きず、中途半端な日々が続いた。
そしてついには、
何もする気が起きなくなってしまったのだ。
机に向かう気も起きず、1日布団の上で過ごす日もあった。
ただただ空を眺め、
「明日が怖い」
と思っていた。
ボクは極限状態に身を置くことでむしろ、
普段よりがんばれない身体になってしまったのである。
結果、
お金はなんとかかき集め、乗り切れはしたのだが。
アルバイトを辞めてから毎月がそんな感じだった。
精神状態は明らかに異常。
良く生き延びてこれたものだと
自分でも思う。
たしかに、時間を使えるようになった分、
いろんなことが前に進んだ。
漫画での収入は徐々に増え、
独立から7ヶ月目でようやく
漫画で月30万円を稼ぐことに成功した。
あのときカラオケのアルバイトを辞めていなかったら、
もしかして今ごろは
漫画で稼ぐことに注力せず、アルバイトの給料でグダグダ暮らしていたかもしれない。
アルバイトを辞めたから、これだけのスピードでここまでこれたのかもしれない。
は
が、
ボクは極限状態に身を置いて地獄をみた。
だから、
同じように極限状態に身を置いて自分を追い込もうとする行為を、安易に勧めることはできない。
おそらくボクは、あなたと同じただの一般人だから。
自分にだらしない等身大の人間だから。
✳︎
ムリに自分を追い込まなくても、幸せを掴むことはできる。
自由な時間に何をするかで人生は決まる。
雇われている時間以外の時間で、自分の資産を作ること。
キチンとコツコツ資産を積み上げれば、成功は掴めるのだ。
だから、ムリに自分を追い込む必要なんてない。
精神状態を良好に保てるペースで、資産を積み上げていけばいいのだ。
自分のペースで進んでいこう。