見出し画像

計算中心パターン学習と身体性

プリントによる計算中心パターン学習教室に通っていたという中学転塾生によくあるのだが、初回の面談でどこまで進んでいたかを尋ねると「中学内容は全て終わった」とか「高校内容に入った」とか答える。でもいざ授業をしてみると、あんまりできない。何ができてないかというと、問題ごとに効率の良い演算方法を選択することができない。

プリントによる計算中心パターン学習教室は教材がウリだ。しかしプリント自体がパターン別で作られているから、あるプリントにはあるパターンの問題しか出てこない。子どもはそれをとにかく見本通りに処理する。問題を眺めて多角的に解法を検討するのではなく、「ここにこうやれと書いてあるからこうやる」という処理をする。ミスったら類題反復。ここでのミスとは定型の手順のなぞり間違いのことであり、着想部分ではない。

同じ球種・速度で延々ボールが飛んでくるバッティングセンターみたいなものだ。首から上というよりも首から下を鍛えている。つまり身体性。

画像1

身体性もそれはそれで重要だ。九九でいちいち大脳を経由する必要はない(もちろん比喩として)。脊髄反射でいい(承前)。今日だって明日だってスラスラ唱えられる。一旦乗れるようになった自転車に跨って「今日は乗れるかな」なんてあらためて心配する必要はない。今日もちゃんと、歌いながらだって、確実に乗れる。目的地へ行ける。そういう身体性は学習の基礎部分においても重要だ。

ちなみに私は子どもたちに「基礎ができる」という状態を「九九を唱えるときのように力まず確実に正確に再現できること」と伝えている。

でも、受験を見据えるとやっぱりそれだけでは足りない。パターン別教材は特殊な問題構成だけど本番の試験は一般・抽象的でランダムな問題構成。そこからパターンを見抜く力を身につけなければならないが、練習でやってないことは本番ではできない。練習の質が低ければ尚更できない。

計算は与えられた数式に対して行う処理であるが、試験では自分で立式できなければならない。どんなに素晴らしい計算力が備わっていたとしても、式が間違っていたら絶対に正解に辿り着くことはない。

画像2

プリントによる計算中心パターン学習教室の指導者は受験をゴールにしていない。あるいは受験指導の素人だ。いつも先生とFC開業者を募集しているし、中学生の指導において計算だけを高校レベルまでやっちゃうなんてのはその証左だ。

いわゆる「10歳の壁」とこういう教室の教材の問題構成(図形や文章題がない)が一致してるのも見逃せない。

繰り返すが身体性も重要。
ご利用は戦略的に。

記事の写真も自分で撮っています。サポートいただけましたらフィルムを買います。スキ&フォローだけでもありがたいです。よろしくお願いします!