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1/2224のエピソード

タイタニックを観た。初めて映画館で観た。大スクリーンで観る悲劇のラブロマンスは最高だった。と言いたいところだったが、ディズニープラスにて小さなスマホの画面で見た。

タイタニックを初めて見たのは、確か小学校低学年の頃。テレビで2夜連続放送がされていたような気がする。

一番記憶に残っているのは、終盤の流れ込んでくる海水の中に鍵を落としてしまうシーンだ。
登場人物と一緒に息を止めてしまって苦しくなった。それほど画面にのめりこんだ。
タイタニックとスピードが、わたしの記憶の最初の洋画である。

20年の時を経て、記憶も朧気になってきたタイタニックだが、大人になってからちゃんと腰を据えて観たことはなかった。

映画館で放映をすると聞き、観に行きたかったがスケジュールが合う日の都会の映画館は軒並み満席だった。さすが不朽の名作。
観られないと思うと無性に観たくなるのが人間の性なのだ。
最近ダウンロードしたディズニープラスで検索をかけてみると、見事にヒットした。ちなみに最近ギガホにしたのでいつでもどこでもタイタニックを楽しむことができる。速度制限の脅威から解放されたのは人類の喜びである。

京王線の新宿駅から、京王八王子を結ぶ約45分間の間でタイタニックを観ようとした、が、無理だった。
開始0.5秒で涙がボーボーと出た。

タイタニック号に、笑顔で手を振る人たちがもう無理だった。
わたしは戦争や災害など、思わぬ形で愛する人たちが離れ離れになってしまうストーリーが無理なのだ。さっきからギャルみたいに無理無理言ってるけど涙が止まらなくなってしまうということである。

というわけで家に帰ってから酒を片手に改めてタイタニックを観始めた。これで好きなだけ泣けるぞ。

わたしは死ぬほどびっくりした。レオナルドディカプリオのかっこよさに。(倒置法)

えっ…こんな人知を超えるイケメンいるんかいな…と、3秒に1回はかっこいい…と酒を煽っては呻いた。
小学校低学年の頃は、まだV6の森田剛さん以外のかっこよさが分からなかったため、改めてレオナルドディカプリオのかっこよさにひっくりかえった。

そして、どんどんとジャックに惹かれていくローズがわたしに憑依した。
そして思った。そう、女はみんなジャックのような男が好き。この世の女は全員ジャックを好きかこれから好きになるかの2択…。
それは顔の問題ではないのだ。少しだけ乱暴で、粗雑な性格を持つ一面もあるけど、頼りがいと決断力があってめちゃくちゃ優しい。結局女はこういう男が好きなのだ。
金持ちで実家暮らしの誠実な男よりも、高円寺の1Kで一人暮らししてて、あんまりお金に余裕はないけどスパスパとタバコ吸ってる、他にも女がいそうな危険な香りのする男が好きなのだ。多分、ジャックに「俺ンチでネトフリ見ようよ」なんて言われたらほとんどの女はノコノコついていく。

※トンデモ理論
※けど同意してくれるオナゴがいることを知っている

ローズの婚約者、ダセェな!と思ったけど、ジャックのあまりのかっこよさにその気持ちも海の藻屑となり大西洋に消えた。

タイタニックの話になると、ジャックとローズが船首で両手を広げてるシーンをまず思い浮かべる人も多いだろう。めちゃくちゃロマンティックな、映画史に残る名場面である。
「タイタニックめっちゃいいよねー」と、タイタニックが話題に上がるとそのように気軽に語っていたが、アラサーになって改めて見てみると、気軽に「いいよねー」なんて言えない映画だった。
「ジャックとローズの悲劇のラブロマンス」なことは確かなのだが、ラブロマンス以上の壮大なメッセージが3時間の中に詰まっている。
自分の人生の在り方、階級に分かれた人たち、家族とは何か。
「短い間で激しい恋に落ちて、二度と会えなくなる」というストーリーは、正直ありがちがけど、ここまで心を動かされるのはそれ以上の何かがあるからだ。
そして、数多くの亡くなった人たち一人一人に、タイタニックのストーリーがあったことを想像する。タイタニックという物語はこの1つではないのだ。もしかしたら、誰も知らない、誰にも知ってもらうことができなかったもっと切ないエピソードがあったかもしれない。タイタニックの映画は、1/2224のエピソードにすぎない。あと2223個のエピソードも全部映画化して欲しい、などと無理難題を涙を振り撒きながら思った。

観てから1週間以上経った今でも毎日思い出してしまうタイタニック。
毎日思い出してしまうレオナルドディカプリオ。なんかもはや名前もかっこいいと思ってしまう。
この年になり、森田剛さん以外にもかっこいいと思う人はできたけれど、多分ジャックのかっこよさは、この先この世のどこにも見つけられない。

おしまい

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