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映画『ロストケア』 誰もが見るべき映画だと実感した理由。

松山ケンイチさんと長澤まさみさんが主演の映画『ロストケア』。
きっかけは完全に実力派の俳優陣に惹かれて、見たきたのだが。
想像をはるかに超えた、この映画が本当にすごかった。(語彙力)

映画の最中から、自分が理学療法士として実際にみてきた

  • 介護される側・する側のそれぞれの苦悩

  • 言葉に出来ない感情

  • どうしようもない介護現場の闇

がまさに描かれていて。

本当に

「いつ、誰が当事者となるかわからない」

からこそ、一人でも多くの人に見てほしいと思った深い作品でした。

※ネタバレしないような内容ですが、少しでも内容をいれたくないという人はぜひ見終わってからお読みください。

理学療法士としてみた現実がリアルに重なった

ある日突然転んでしまった
ある日突然脳梗塞(脳出血)になってしまった
ある日突然難病になってしまった

なんらかの理由で病院や施設に入る。

でも、病院は治療が終われば退院。
施設は、期限が来れば退所。
(※長期入所や終末期を除いて)

  • 病院の中

  • 施設の中

などいわゆる「守られた状態」から、良かれと思って自宅に退院(退所)した瞬間から始まる介護生活。

■ 1日の流れ
朝起きて
着替え・顔洗い・歯磨き
3度の食事や内服
トイレ(トイレまでの移動)
お風呂(体を洗ったり、お湯に使ったり)
ベッドや布団に横になる

当たり前に看護師・介護士・リハビリスタッフが行なっていたから保たれていたことも、全て本人やその家族だけに一気にのしかかる

介護経験がある方でも大変なのに、その多くがいわゆる

介護経験のない人々

この介護生活は本当に言葉には表せないくらい大変で。

仕事として「終わりがある任務」ではなく、
死ぬまで続くのが介護生活。

この実態に触れたのは、私が理学療法士として訪問リハビリを担当し始めた頃。

ある程度の資金力があり、自費でいろんなサービスを使いながらうまく在宅生活を送っている人ももちろんいますが。

多くが

独居老人(身寄りなし)
家族と同居でもほぼ日中は一人
家族関係が良くなく、介護は見込めない
介護者はいるが老々介護で共倒れ寸前

など。

「だれかがどうにかしなきゃいけない」

現状なんだけれど。

とても、すべてを救えるほどの時間的な余裕や資金力、マンパワーが足りない。

結果、衛生面も、安全面も、経済面も
そのすべてがギリギリ。

もはや、破綻している人もいる。(結果孤独死となって発見されるなど。)


介護の現場と社会の温度感

こんな現場は、介護に関わった人以外は知る由もなく。
ただただ、

自分が当事者

とならない限り、わからないのが今。

高齢化が加速する中で、本当に大変なのは何?
だれかが、しくみを変えなければ・・・!
どうにかしなければ・・・!

と痛感しながらも、理学療法士の私も担当する患者さんや利用者さんの対応で精一杯。

それも、限られた勤務時間でできることしかできない。
(多くは、訪問リハビリの場合は一件あたり20〜40分)

リハビリの後に認知症で家から飛び出していきそうな方
おそらく、全然ご飯が食べられていない方
誰かがいないと今にも転んでしまいそうな独居の方

どうにもならないのが現状。

こんなことは、今の社会では全然知られていないですよね。

自分の家族が介護が必要となったら、情報を提供できる程度。


私の祖父の話

そんな中、先月肺がんで亡くなった私の祖父。

直前まで、90代の夫婦二人の田舎暮らし。
なんでもできる祖父はみんなの尊敬の的であり、介護が必要になるなど想像もされず。もちろん介護保険の申請もしていない状態。

亡くなる前の月まで、息子である父と妻の祖母、近くに住む叔母の3人で力を合わせた在宅での介護生活でした。

しかし、その介護生活も簡単なものではなく。
理学療法士として、やってあげたいことは盛りだくさんなのに。

介護とは無縁に生きてきた私の親戚は、介護保険サービスなんて無知。

介護=いよいよ何もできない

といったマイナスイメージが払拭できず。

もともとプライドもポテンシャルも高かった祖父への介護サービスの提案から一苦労でした。

祖父への介護サービスの利用を促す私はもはや、

祖父を「何もできなくなってしまった」とレッテルを貼るような嫌な存在

となってしまうんです。

90歳まで律儀に支払ってきた介護保険。
介護サービスを使えば、もっと介護者の負担も減らせるし、安全に在宅生活ができる。

ただ、介護の情報が少なすぎる現代だからこそ
マイナスイメージばかりが強くなり、なかなか導入できない。

祖父母の家は東北の田舎なので、
なるべく行けるときに会いにいき(コロナ禍が本当に苦だった)
こまめに電話で連絡をとり

タイミングを見計らって、慎重に介護サービスを提案し、素敵なケアマネージャーさんにも恵まれて、なんとか在宅生活が送れる状態になっていました。

時には、私が提案する介護サービスの内容が受け入れられず衝突する場面もあり。きっとお互いに辛かった時期もありました。

祖父の死後に言われた一言で感じたこと

結果的にはその大半を在宅で過ごし、亡くなった祖父。
でも、ずっと私は自分の提案した内容に

本当によかったのだろうか・・・

と自問自答していました。


しかし、祖父の死後、葬儀を終えた後に主介護者でもあった父から

やれることは全部やれたから。悲しいのはあるけど悔いはない。なんか自然とスッキリしているんだ。

という言葉を聞いた時。

あぁ、よくわからないけど、よかったなぁ。

と思ったんです。

介護の過酷さを左右するもの

  • たまたま私が理学療法士だったから

  • たまたま私が在宅リハビリや介護の分野を経験していたから

たまたま持っていた経験や情報で支えになる部分があったから
今回の祖父のような結果になっているわけで。

中には、

どうしていいかわからず
誰にも頼れず
介護の限界を超えてしまい

介護疲れで予期せぬ事件や事故につながってしまうこともある。

両者の何が違うかというとただ、

  • 必要な情報があるかないか

  • 頼れる存在があるかないか

  • 相談できる人がいるかいないか

だけな部分もあるなぁと思うんです。

これから私にできること・したいこと

この映画をみて、本当に思ったことは。
微力かもしれないけれど、情報を持っている人が少しでも誰かのためになること。

だれかのために必要な情報を発信していくこと。

そして、

介護の情報がもっと当たり前のように
マイナスイメージではなく、手助けになる方法として

必要な人に届くように。

なんらかの方法で伝えていきたいなと強く思いました。


今回は、そんな個人的な想いとなりましたが、、、
最後まで読んでいただきありがとうございました。

ぜひ、ロストケアおすすめなので見てみてくださいね!


#映画にまつわる思い出


最後まで読んでくださりありがとうございます^^! こんな感じでダイエット・美容からキャリアの話まで、ちょっとためになるようなお話をお伝えしていますので、また読みに来てくださいね❣️