あああれ、ヒンディー語やねん
同期で友達でたぶん同志の中山君。
会社が始まってはじめて、
私から「友達になって!」
と声をかけた唯一の人。
すれ違った多くの人の中で一人だけ、嘘のないキラキラした瞳だった。
それから半年以上たって、
まさかの配属部署も同じで、今は斜め後ろのほうのデスクに座っている。
450分の1人の確立だと思うと、結構驚く。
ちなみに偶然、私たちを採用した人事が同じ人だった。
中山君の目はいつもキラキラしている。
なぜかはわからないが、
彼の瞳のキラキラの理由がとても気になった。
わかることは、ほんの少しだけどでもどれもいい。
インドに留学していた彼は、人の価値観や生き方にとても素直に、興味があるように見える。
今年の七夕は、「自分に嘘をつきませんように」と願ったらしい。
満員電車ではないのに、上京したばかりの中山君は
リュックを前にしてしょっていた。
「満員電車はなれへんな。」と言っていた。
ちなみに一緒に乗ったその電車は満員ではなかった。
会社への志望動機も私と似ていた。
大企業を体験してみたい、特にやりたいことはない、というかわからないしなぁ。
みたいな感じだった。
中山君は、いつも本を読んでいる。
趣味はブックオフ巡り。
多分会社の後はいろんなイベントに行っている。
アクティブに人生という旅をしている。
今日は、一人でピクニックをしたかったので、
社内で一番太陽と風を感じられる特等席でとっておきのお弁当を食べた。
気にいっているお店がある。
20分くらいたって
お弁当を持った中山君が現れた。
おお。まじか。
そう思いながらちょっとうれしかった。
中山君には、ここ数日、配属されて感じたことをすべて話せた。
話していい人だと思えたし、相変わらず、瞳をキラキラさせたまま聞いてくれた。
同じ会社の人には絶対に話せないと思っていたことがすべて話せた。
組織に旅をしに来た私がもう死に際であることをわかってくれて、
「集中治療室やんね」
と言ってくれた。
そう、正直もう細菌一つでも、入ってこられたら困る!
なるほど、その感覚わかるなあ、と言いながら
いつも通りのキラキラの瞳で話を聞いてくれる彼がとても信頼できる。
「僕も長くはいないよ。ここは、長居するところじゃないね。」
「そうだね、でも出会えてよかった。」
「さっきはチャット、ありがとう、あれアラブ語?」
「あああれ。ヒンディー語やねん。」
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