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プロダクトマネジメントであまり語られないオペレーションの重要性

プロダクトマネージャーの役割に「オペレーション構築」が含まれているシーンはあまり見たことがありません。 PM の事を話す時によく使われるプロダクトマネジメントトライアングル にもオペレーションに関する言葉は出てこなかったりします。

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プロダクトマネジメントトライアングル - 参照

とはいえぼくはきちんとしたオペレーションを構築できないとちゃんとしたプロダクト作れなくないんじゃないかなって思うので、今回はこの辺について書いてみようと思います。

自分はプロダクトマネジメントのミッションを 顧客の重要な課題を解決するプロダクトを作り、適切に資産へ計上すること と定義しています。プロダクト開発には時間がかかり、なおかつ UI として表現できるスペースには限界があります。

そのため複数の顧客課題を解決する機能を開発し、それを必要なタイミングで利用できる状況になっていないと、事業の成長に伴って現れる重要な顧客課題解決に対して、常に開発がビハインドしている状態になってしまいます。

そのためプロダクト開発によるアウトプットは 中期で活用可能な、必要な時に使える 状態にして、ソフトウェア資産として適切に計上されている必要があると思っています。逆にこの状態になっていないものはプロダクト開発の失敗じゃないかなと。

必要な時に使うための、オペレーションエクセレンス

学生起業時・メルカリ・メルカリ退職後の業務委託のお仕事を通して、中期で活用可能な汎用性ある機能開発を意識していて、要件に入れ込んでいる方々はたくさんお会いしてきました。この部分のアウトプットは UI として表現されて目につくため、自然と意識するというのが実態の様な気もします。

他方「必要な時に使える状態」を意識して要件にまで落とし込んでいる人には 1 人しかお会いした事がありません。同僚の要件に対してフィードバックの機会をもらった時に「これじゃ運用回らないと思う」と指摘しても実際にリリース時に運用が整備されていたあまりありませんでした。

必要な時に使える状態を実現に必要なオペレーションが、適切に構築されていない事の弊害は組織のアジリティーが落ちていくという言葉に尽きるかなと思っています。具体例を挙げたら枚挙に暇がないなと思いつつ、ここでは 3 つ程あげてみます。

・作業が職人化していき、タスクの属人化が進む
・時間が経つにつれて仕事の作業感が向上していくため、退職リスクが高まる
・インシデント発生時などの速度が求められる対応時に作業に時間がかかる。し、担当者が捕まらないと作業が出来ない状態になる

なぜオペレーションの重要性は見過ごされるのか

プロダクトマネジメントにおける、オペレーション構築の重要性が認識されないのかって所だと、「PM の役割が広すぎる」事にあるのかなと思っています。

ぼくが話してきたプロダクトマネージャーがやってる事は「プロダクトを顧客に届ける役割」「プロダクト自体を開発する役割」の 2 つがありました。そしてそれぞれの役割をやるに必要なケイパビリティには異なっている部分があります。

最近だと前者は「プロダクトマーケティングマネージャ」と呼ばれて新しい職種として応募が始まってたりします。PMM が得意な人はより今の社会のトレンドとかマーケット観みたいなものが必要だと思っています。新しいものに敏感で皆が乗っかって来そうなものを考える必要があります。

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プロダクトマーケティングマネージャの役割 - 参照

「プロダクト自体を開発する役割」に必要不可欠なのは、事象を適切なレベルまで抽象化して構造を理解する事だと思っています。そしてこれこそがオペレーション構築に必要なケイパビリティだと思っています。

構造化が得意な人はエンジニア出身者に多い傾向があります。実際、プロダクトマネージャーになるにはエンジニアリングスキルは必須と言われるのは、構造化というケイパビリティによるものなのかと思っています。

他にもオペレーション構築が今まで軽視されてきた理由には オペレーション構築しても評価されにくい という部分も大きいと思っています。コストを下げる作業でトップラインが直接的に伸びないことが評価されない原因かなと。

他にもオペレーションは泥臭いし社内に閉じるから転職の時にも評価がされないとか理由は山程あるのかなと思います。とはいえ歴史的に海外に出てる日本企業の強みはオペレーションエクセレンス(TOYOTA とかリクルートとか)にあることが多いですし。品質管理のフレームワークである「QC 7 つ道具」も日本の自動車製造業者のオペレーションを模倣してるものが多いし...

ちなみに、リクルートが海外企業の買収してやることの 1 つは、リクルート流のオペレーションとマネジメント手法をインストールする事そうです。それをやるだけで売上はどんと伸びるんだとか。

なんでプロダクト開発時には、関係するオペレーションもやったほうがいいよね。そこは日本人の国民性としての強みのはずだし、そこで企業の差別化は図れると思うんだよねっていう話でした!

まとめ

・プロダクトマネジメントでは 顧客の重要な課題を解決するプロダクトを作り、適切に資産へ計上すること が大事だよね
・そのためにはプロダクト開発におけるアウトプットは 中期で活用可能な、必要な時に使える 状態にしないとね
・「必要な時に使える」状態にするにはオペレーション構築が大事だよね
・だからプロダクトマネージャーをやるならオペレーションも少しは考えてみるとより良いプロダクトが作れるかも!

お酒と映画と読書が大好きで夜も眠れません。たくさん働きます。 プロダクトマネージャー ← 受託開発会社代表(コーディング/セールス/PM)。 fintech / プロダクト / 映画の呟きが多め。 ストーリーあるものが好き。