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朗読OK版「stand.fmの歴史」

本コンテンツの取り扱いについて

2022年2月17日に、オーディオコンテンツ「stand.fmの歴史」(Kindle版/ダウンロード版/note版/stand.fm版)を販売します。その序章と2018年、2019年部分を、まるまる無料公開します。下町ロケットなどビジネスドラマやノンフィクション好きの方に、とくにお楽しみいただけると思います。ぜひ、朗読配信や朗読ライブにご利用ください。

stand.fmとは・・・ラジオのような音声配信を手軽にできるアプリです。日本の音声配信は地上波ラジオアプリのradikoや、アップルが世に送り出したポッドキャスト(特定のアプリというよりは配信方法)が有名ですが、stand.fmは、独自の配信形式で、音声コンテンツを広めようというアプリです。ライブ機能、BGM機能、収録編集機能、コメント機能、月額サブスク、有料配信など、世界にも類をみない充実した機能で、音声配信業界に挑戦している音声配信アプリです。株式会社stand.fmが提供しています。

●無料公開の背景
stand.fmという音声プラットフォームでラジオ配信をしています。そこが盛り上がればいいなあという思いで、3分の1を無料公開しました。また、わたし以外の人のナレーションも聴いてみたい、また別な世界が広がるのではと思いました。

じっさいに、Kindleなどで販売している電子書籍やオーディオブックのそのまんまの冒頭部分です。Kindleでお試しによめるサンプルよりは格段に長く、10分くらいの朗読コンテンツにできるかと思います。

●ノンフィクションです
本書は公開された情報を基に構成していますが、一部著者の主観による表現も含まれます。ファンの方や正確性を重んじる方には、不快に聴こえるかもしれません。そのようなリスナー様が予想される場合は、朗読はおこなわず査読のみにとどめてください。

●商用/非商用ともに朗読フリーです
公開してます本原稿の全部または一部は、営利・非営利とわず無断で朗読・配信が可能です。許諾や事前連絡や報告なども不要です(教えていただければ拡散に協力いたします)。ただし、朗読をオーディオコンテンツとして販売する場合は、本家と明確に違いがわかるよう「【ooo読み上げ版】stand.fmの歴史」と朗読者名を入れるなどして、違いを明確にしてください。

●著作権は放棄していませんがクレジット表記などは任意です
本原稿そのものを、複製、転載、配信、送信可能状態にするなどの行為は禁止しております。著作権は放棄していません。ただもちろん、声や音声といった部分は朗読者様の著作物と認識しておりますので、そちらの権利を主張することはしません。

●伝わりやすさ重視で軽微な改変はOK
朗読時には、読みやすさを重視した軽微の改変、言い回しの統一、誤字脱字などの訂正、そうした範囲においての、無許可で改変・改ざんをしてでの、朗読や配信は可能です。むしろ、朗読者様のリスナーさんが、理解しやすいかたちで、本論を歪曲させない程度で、心地よく朗読していただければと思います。

●原作としてコミックなど二次創作もOKです
stand.fmさんという実在する企業様なので、厳密にはそちらの許諾も必要なのかもしれませんが、二次創作(営利/非営利ともに)などの原作として引用もOKです。

●使用の例
わたしが販売している本家版との違いを明確に、わかるようにしてください。

・YouTubeなど動画配信プラットフォームでの朗読投稿や朗読ライブ配信 OK(収益化もOK)
・stand.fmやポッドキャスト、Twitterスペースなど音声配信アプリや朗読収録配信やライブでの朗読 OK(収益化もOK)
・stand.fmから他のポッドキャストへの配信など、マルチ配信 OK(ポッドキャスト広告など収益化もOK)
・朗読した音声を販売する、または有料会員のみに朗読(クレジット表記は任意) OK
・テレビ/映画/地上波ラジオ/図書館などリアルの朗読イベント 非営利/営利 ともにOK
・Kindle出版する NG
・本家とまったく同じ名前で販売する NG
・本原稿をそのまま第三者に配布や販売、複製、公開する NG
・著者であると偽る NG
・クレジット表記は任意です。

本文内で、紹介しました製品名および商品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。

それでは、本編をどうぞ。

#朗読 #朗読OK #配信OK #収益化OK #ノンフィクション #オーディオブック #無料 #朗読フリー #クリエイター #ドラマ #事実をもとにした

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学べるコンテンツシリーズ
「stand.fmの歴史~スタエフの戦略と音声配信業界に挑んだ5年間」

はじめに

stand.fm、スタンドエフエム、通称スタエフ。

まるで地上波FM放送のような名前のアプリが、2018年に誕生しました。

しかし、このアプリが誕生する前でも、YouTubeやツイキャスのラジオ配信などは存在しました。また、ポッドキャストなどの音声配信に特化したサービスも存在はしていました。そして時代は、ヒカキンさんやフィッシャーズさんなどユーチューバーが注目されているまっただなか。
そんな中stand.fmは株式会社newnの試験的プロジェクトとして立ち上がります。ですが、やはり蓋を開けてみると思ったようには成長できない、苦難の日々が続いたそうです。

時代はうつり、音声に、注目が集まるようになっていきました。すると、stand.fmはまたたく間に成長をとげていきます。
しかしそれでも、競争はより激しくなり、競合も機能をどんどんと追加していきます。そんななか、彼らはどのようにして、成長し、ユーザーを獲得していったのでしょうか。

本コンテンツでは、stand.fmの成長と発展の歴史を、公開情報を元に歴史をたどり、そこから未来を考えていきたいと思います。とくに、stand.fmで配信している人のヒントになれば幸いです。

あなたが、stand.fmで配信しているならば、よりstand.fmへの愛着が深まることと思います。
また、リスナーとしてstand.fmを楽しんでいる人であれば、これからも続々と追加される新機能に、より期待が高まることでしょう。
stand.fmがもっと楽しめるように、そして収録時にはウィキペディアに項目がないstand.fmのウィキペディアになれるよう、目指して本コンテンツは制作をはじました。
わたしと一緒に、stand.fmの過去と未来を見てみませんか。

2018年 胎動

海外で高まる音声ブーム、産声をあげるも苦難が続く

stand.fmが産声をあげる2018年より少し前の時代から、見ていきましょう。

まずは海外。

海外ではポッドキャストが元々ブームでした。AppleがiPodを発売したときに実装していたポッドキャスト。その頃に、第一次ポッドキャストブームがおとずれます。そしてクラウドが出はじめた2010年代中盤に、サウンドクラウドといった第二次ポッドキャストブームがおとずれるのです。
そんななか、2014年には世間の注目を集めるある有名な音声番組が登場します。
「シリアル」というポッドキャスト番組で、犯罪調査をテーマとする番組でした。そのクオリティの高さから多くの視聴者に支持され、放送業界の賞をとるほどまでに話題になりました。

2013年にはPatreonというクリエイター支援のためのサイトが立ち上がります。
収益化方法をもたない、多くのポッドキャスター達がこのPatreonを使い、ファンから直接収入を得る方法に、次第に集まっていくようになりました。その収益から、ポッドキャスターは、さらにハイクオリティな番組制作を作るという好循環を生み出し、成功事例が増えていったのです。
Patreonは数年にわたり資金調達を達成し、ユーザー獲得をし機能追加も進め、着実に成長をとげました。

そしてその後、ポッドキャスターが収益を得るならPatreon、というほど、重要な役割を担うようになっていきました。2019年頃には、月に数百万円を稼ぐポッドキャスターも生まれるなど、ドリームもみられるようになったのです。

次に国内。

2016年末にキズナアイというVTuberが登場し、脚光をあびるようになると、2017年にVTuberブームがおとずれます。彼女たちの動画コンテンツは、そのほとんどがトークです。ですので、stand.fmのような音声配信とも、じつは競合する存在になっていきました。

2016年にはAppleのAirPodsの第一世代、いわゆる完全ワイヤレスイヤホンが発売され、注目されることになりました。この頃から、耳活とよばれる、耳からの情報収集が注目されるようになっていきました。
2017年にはアマゾンやGoogle、LINEなどが、スマートスピーカーを発売し、ボイステックに注目が集まりました。

このように、2016年から2017年にかけて、耳のすき間時間に、注目が集まる下地ができていったのです。

2018年、現在のstand.fmの共同取締役代表である中川綾太郎さんと河合真吾さんは、株式会社newnという企業にいました。

中川さんは、女性向け大手メディアを運営する株式会社ペロリを立ち上げるなど、スタートアップ界隈では、とても有名な人でした。河合さんは、そのサイトを500万MAUまで成長させるほどの開発を、たった一人で担当するなど屈指の開発力の人です。

その二人が、これまでの流れをふまえ、2018年に新たな消費者向けサービスを立ち上げたなかの一つとして、stand.fmが産声をあげました。中川さんはのちのインタビューで、消費者向けのサービス、ヒーローが生まれる場所をつくることに、強い憧れがあると、語っています。

2018年当時日本でも、音声配信サービスがいくつか立ち上がっているのは知っていたそうで、もっと音声コンテンツを簡単に作れるサービスが増え、音声配信するクリエイターが増えればいいのにと思っていたとのこと。そこで、中川さん、自ら作ってみることにしたのだそうです。

2018年5月3日に、stand.fmというインターネットのURLアドレスが取得されました。
同年6月19日特許庁に、stand.fmという商標を出願します。そしてついに2018年10月、stand.fmはサービス開始をすることになりました。

その数カ月後、stand.fmがサービス開始します。

ただ、詳しい日にちが公開情報からは見つかりません。中川さんがのちのインタビューで10月頃と答えていましたが、他方ではある内部の開発者のプレゼン資料によりますと、2018年12月とあります。それぐらい当初は自然な流れで立ち上がっていたのだと想像できます。

さて当時たちあがった番組を今でも聴くことができます。
2018年の頃の番組を検索しますと、執筆時点では3つの番組が見つかります。いずれも、2018年の年末に配信された放送がいまでも視聴可能です。当時はBGM機能がありませんでしたが、トークそのものは、今のstand.fmと全く遜色がない仕上がりになっています。

しかしそれらの番組の更新は、10回程の配信でフェードアウトしてしまいます。
やはり国内ではまだ音声配信に注目が集まっておらず、あまり反応はなかったのでしょうか。数字が伸びなければモチベーションはなかなか続かないものです。

ちなみに、2018年11月20日に公式Twitterが投稿した初めてのつぶやきがこちらです。
「1タップで配信できる、有名人や憧れの人の声が聴ける、音声プラットフォームアプリstand.fmの公式Twitterアカウントです。ぜひアプリをダウンロードして、使ってみてください。」

2019年 創生

第三次ポッドキャストブーム

2019年になりますと、海外で、象徴的な出来事が起こります。
スウェーデンの大手音楽ストリーミングサービスSpotifyが、ポッドキャスト大手アプリのAnchorを買収したのです。Anchorは簡単な操作でポッドキャストを録音・配信できます。
当時、多くのポッドキャスターが利用し拡大をつづけていました。それを、世界的に広がっていたSpotifyが買収したことでポッドキャストにふたたび注目が集まることとなりました。
国内でもアーリーアダプターとよばれる人達が、Anchorを使いポッドキャストをはじめるようになりました。国内で、第三次ポッドキャストブームの到来です。

2019年のstand.fmは、サービス開始後、インフルエンサーを中心にステルス状態で展開していたと中川さんはインタビューで語っています。それでも、ライブ配信機能を追加するなど、アップデートは続けられていました。

インフルエンサーを中心に声をかけていたとありますが、実際、公式Twitterがオススメ番組として紹介していた放送は、とてもきれいな女性のサムネイルが多く、明らかにInstagramを意識したものが多かったです。

またSPP(公式パートナープログラム)よりも先に、公式パートナー制度というものが立ち上がり、影響力を持つインフルエンサーや著名人が声をかけられたようです。
そのなかのひとり、ツイッターで影響力を持つある女性(現在20万フォロワー超え)は、当時のTwitterでこのようにつぶやいています。
「公式パーソナリティになって二ヶ月リスナーが千人突破し総再生回数が5万回を超えました。」
ただそれでも彼女は、2020年に、別の地上波系大手の音声配信サービスへ移籍してしまうのでした。

現在トップユーチューバーとして有名なパパラピーズのジンジンさん。
彼も2019年にstand.fmを利用しはじめます。しかし彼の影響力を持ってしても、なかなか再生回数が上がらなかったのかもしれません。残念ながら彼の更新も、同年中に止まってしまいました。

今ほど音声市場が、盛り上げを見せておらず、配信者も集まらず、自分たちでコンテンツを制作するなどの模索の期間が続いたと、ある記事では語られています。それくらい、まだ一般層への音声配信の広がりは、限定的だったのです。

ステルス状態で番組充実を目指す日々

そんななか、海外ではポッドキャストが大きな盛り上がりを見せていました。Patreonでの成功です。

2013年に立ち上がり着々と成長を遂げてきたPatreonは2019年には巨大なメディアに成長していました。
そこではリスナーが毎月一定額をポッドキャスターに支払い応援するというスキームができていたことは前述したとおりですが、こんな成功者もいます。
男性三人組が配信する「ラストポッドキャスト」という番組。このポッドキャスト番組には当時12,000人近い支援者がいて、毎月約620万円もの収益があったのです。ユーチューバーならぬポッドキャスターという夢の職業が、海外では誕生していたのです。

stand.fmは国内で、コンテンツを充実させるべく、また新規のユーザーを獲得するべく、地道に公式パートナーを増やしたり、声をかけたりするという活動が続きました。

ユーチューバーとして有名な筋肉アルアルさん。彼もTwitterでこう述べています。「stand.fmさんというアプリの中でラジオをさせていただくことになりました。」また、有名アーチスト・ゴリラアンセムさんのミュージックビデオにスポンサードすることもありました。ゴリラタックという楽曲のYouTube動画は大きな再生回数を見せていました。

ただ地道ながらも、ねばりづよく配信者獲得のための発信をしてきたことは、のちの2021年の芸能事務所21社とのコンテンツ契約に結びついていったのかもしれません。

機能追加も定期的に行われました。主なアップデートは次のとおりで、現在のstand.fmにだいぶ近くなっていきます。

ライブ配信
レター(URLが変わった)
レターのTwitterでの見ばえの良いグラフィック(OGPの改善)
複数の下書き保存
instagramストーリーズへシェア
アカウント登録
自動再生
BGM機能

そして2019年8月25日には、待望のAndroid版がリリースされました。10月8日にはAndroid版でも、収録とライブ配信に対応しました。

2020年の成長期へとつながる礎ができたのでした。

公式Twitterの投稿変遷

公式ツイッターですが初投稿は2018年の11月です。当時は現在とかなり異なる投稿していました。
例えばサムネイル。担当者が自作をしたのか、わかりませんが正方形の画像と共におすすめの文章が投稿されていました。
Radiotalkよりも早くGIFアニメーションによるOGPも実現していました。冒頭のトークを自動で文字起こしし、アニメーションにしキャッチ力を高めてる画像を投稿していました。

2019年にはレター機能のアドレスも変わり、OGPも見栄えがよくなりました。現在のようにエピソードの末尾に/letterとつくのではなく、letter.stand.fmというサブドメイン方式で運用をしていました。

その後インスタグラムを開設し、インスタグラム用の正方形の画像2枚を並べる投稿が増えていきました。

2020年にはstand.fmの番組やエピソードを紹介する、投稿が増えていきます。いっぽう、2021年には多機能になっていったstand.fmの「この機能を使っていますか?」といった機能紹介や解説が中心になっていきました。ただ、この頃から、ライブでのトラブルや迷惑行為などの注意喚起をする投稿も、散見されるようになりました。ユーザー数が増えることは、こうした負の側面もあるため、運営さんはほんとうに大変だと頭が下がります。

そして現在、stand.fmの快適な使い方やおすすめ機能、そしてアップデート内容をおしえてくれる、私たちにとってなくてはならない存在になっています。

これからもがんばってください!

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学べるコンテンツシリーズ
「stand.fmの歴史~スタエフの戦略と音声配信業界に挑んだ5年間」

著者:吉田喜彦(クリエイターエコノミーニュース)
Kindle版:https://amzn.to/3uMhnKQ
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この記事は吉田喜彦個人が書いています。