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アフリカの雪 ~個人的に選ぶロック名盤10選

「ねぇねぇ神楽さん何か良いバンドありませんか?」昔からこんな事をよく聞かれるのだけど、その度に私はNIRVANAの「NEVER MIND」でも聴いとけ、って答えるのだけど、大抵は「聴いてみたんですけどあまり良くなかったです.......」みたいな返事が返ってくる。そう、あまり良くないのだ。あのアルバムは自殺やドラッグに塗れた90年代アメリカの鬱屈した時代性とバンドのバックグラウンド、アイドルグループやクラブミュージックが隆盛していた当時のロックに対する空虚感、その中でグランジ・ムーブメントを起こしたカリスマ性込みで評価されるべきアルバムで、今の時代に聴いてもあまり良くないように感じるのである。そりゃONE OK ROCKやマキシマムザホルモンやWANIMAやKing Gnuやofficial髭男dismやYOASOBIを聴いた方がカッコイイのだ。

NIRVANAの影響力は大きい。以降のロックの在り方に影響を与えた。メタリカが「ロード」「リロード」という歴史的駄作をリリースした。メタリカと言えば「メタル・マスター」か「通称ブラック・アルバム」のどちらかが話題になるが、全米1位に輝いた「ロード」「リロード」はまったく評価されていない事は興味深い。あのスレイヤーやメガデスまでもがミドルテンポの曲主体になった黒歴史もあるくらいだ。

同じくボブ・マーリーやセックス・ピストルズ、ボブ・ディランを聴いてもあまり良いとは思えない。いや、私は好きですけどね(笑)音が古臭く聴こえるんでしょうね。

では今聴いてもカッコ良くて私が選ぶ名盤は何かと考えてみた。そして10枚を選んでみたのだ。もしも無人島にCDを持っていくなら.......だ。しかし、無人島に行くなら間違いなく音楽は聴かないだろう。もしも……じゃない。無人島には一生行かないし音楽どころの話じゃない。もしも無人島に行けば音楽など聴かずただただ絶望するのは言うまでもない。言うまでもないのだ。

ちなみにリンクが貼ってあるがアフィリエイトではないので私には一銭も入ってこないのだ。CDを買う人も少ないだろうし気にしない。私にとって「書く事」は自己満足なのだ。そもそもTwitterそのものが自己満足と自己顕示欲の象徴ではないか。それでもTikTokよりはマシか。ありゃダメだ。加工し過ぎて顔の原型を留めていない。

前置きが長くなったが1つ進歩した事はYouTubeやリンクの埋込みを会得した事実である。noteって便利だな。

今回はAmazonミュージック等のサブスクで聴けるアルバムを選んでみた。マキシマムザホルモンはサブスクでは聴けないのである。したがってホルモンの「ぶっ生き返す」は残念ながら選ばれてない。最近、Hi-standardがサブスク解禁になったので歓喜したが.......。では行ってみましょう!以下、順不同。

1.レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「カリフォルニケイション」1999年



レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(通称レッチリ)は名前だけは聞いた事はあるけど、実際は藤原竜也主演の実写版DEATHNOTEの主題歌になった「ダニー・カリフォルニア」と「SNOW」くらいしか知らない、という人が多い。これはエアロスミスの曲がアルマゲドンの主題歌、ボン・ジョヴィの曲がなかやまきんに君の「It's My Life」しか知らない人が多いのと同じなのである。

そこでレッチリを1枚だけ聴くなら間違いなく私は「カリフォルニケイション」をオススメしたい。レッチリは80年代から活躍しているバンドで、それこそ作品ごとにアプローチ方法が異なり、アルバムごとに印象が変わるという事は申し上げておく。

その上で一貫しているのが彼らが「ファンク・メタル」であるという事だ。それがもっとも完成されたのがこのアルバム「カリフォルニケイション」である。タイトル通りというかカリフォルニアの哀愁が感じられるアルバム。

「レッチリってもっと激しいバンドかと思ってました.......」こんな事を言われる。とんでもない。彼らはファンク・メタルのパイオニアなのである。2012年ロックの殿堂入り。

ちなみにギタリストのジョン・フルシアンテ。現代3大ギタリストの1人に数えられているが、ソロ活動が盛んだ。レッチリのイメージで彼のソロ作品を聴いたら斜め上過ぎてぶっ飛ぶよ。なんだ?こりゃ……みたいな(笑)

2.レディオヘッド「OKコンピューター」1997年



商業的には「KID A」や「IN RAINBOWS」といったアルバムが成功しているし、私もレディオヘッドと言えば「KID A」がもっとも好きなアルバムだ。そういえば作家の村上春樹氏も絶賛していた。しかしデジタル色が強い「KID A」は当時から「これはロック、ロックじゃない論争」があり賛否両論だし(マヂカルラブリーかよ!)、1曲気に入らなかったら全部受け付けない可能性がある。ライブを観たらわかるのだが、全部生演奏で間違いなくロックなのであるが.......。

そこでロック・ファンに名盤と名高いのが、この「OKコンピューター」なのである。これは「鬱ロックの最高峰」と呼ぶべきアルバム。とにかく暗い。終始、陰鬱な空気が流れる。ひとりで没頭するには最高の音楽である。メロディも良く捨て曲も無い。何年かに1度、本当に聴きまくりたくなる。間違いなく名盤。今、聴いてもまったく色褪せない。聴けば死にたくなる。

3.KORN「LIFE IS PEACHY」1996年



いまだ現役ヘヴィロックの重鎮である。リンキン・パークやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを選ばず、あえてKORNである。そういや、リンプ・ビズキットというバンドもいたな。ちなみにリンプ・ビズキットと呼んでるのは日本人だけだから。海外ではリンプ・ビスキットと呼ばれている。つまり日本語に訳すとリンプ・ビスケットなのだ。そのまんま大麻入りビスケットという意味だ。(諸説、大麻ではなく精子入りビスケットというスラングもある)日本のマスコミは馬鹿だな……って思う。当時「足を引きずった犬」みたいに訳していたのを見たよ。犬?そんなのは曲を聴いていれば容易に聴き取れる。リンプ・ビスキット・スターイル!って歌ってるではないか。同じようにアーク・エネミーがアーチ・エネミーになったり、クイーンズ・ライチがクイーンズ・ライクになったりセーム・シュルトがセミー・シュルトになったりグルジアという国名がジョージアになったり時々、発音が変わる。話が逸れた。

さてKORNだが現代に至るまでサウンドアプローチ方法は変化していってるが、基本的に音楽性は変わっていない。そしてこのアルバムは2ndアルバムで全米初登場2位であった。もっともブレイクしたのが3rdアルバムだが、それはキャッチー過ぎるし、1stアルバムはまだKORNらしさが完成していなかった。

この2ndアルバムはもっとも尖っていて狂っていた時代の初期衝動のKORNだ。今はデブだが当時は見た目もカッコ良かった。このアルバムを聴いたら他のKORNのアルバムが物足りない。厚みのあるうねる5弦ベース、リズムキープがトリッキーなドラム、ノイジーなギター、KORN史上最も狂ったジョナサン・デイビスの咆哮。激しいだけではなく、苦しくもあり悲しくもある。KORNはこの1枚だけで充分なくらいだ。しかし、未だにアルバムを出すごとに全米ビルヴォードチャート10位以内にランクインするのは流石としか言いようがない。私も初期のKORNを知っているので物足りないと思いながらも、毎作品チェックしているのである。

最近でもワンポイントで上だったり下だったりファッションとしてadidasのジャージ着てる人多いね。このバンドの影響力は計り知れない。

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4.ストロークス「IS THIS IT」2001年



ストロークスらしさが一番感じられるのが1stアルバムと2ndアルバムであり、どちらも甲乙付け難い。3rdアルバムはちょっとヘヴィロックの要素やメロディを導入し、4th以降は80年代ディスコ要素も取り入れだいぶイメージも変わった。それぞれのアルバムの良さがあるが、やはりストロークスといえば荒々しいガレージロック、中学生でも弾けそうなシンプルなギターリフ、単純なベース、特徴のないドラム、そこに歪ませたジュリアン・カサブランカスのヴォーカルが乗ると、まさにレトロ感満載のロックンロール!となる。それがこの1stアルバム。シンプル・イズ・ベスト。シンプルで何が悪いと言わんばかりの開き直り。

アークティック・モンキーズと並び2000年代ロックンロール・リヴァイバル・ムーブメントの代表格だが、キャッチーな分だけストロークスを押したい。YouTubeを観るとまるで70年代の映像を観ているかのような錯覚が草生える。映像を観るだけでバンドの狙いがわかるし、実際に成功した。また、ストロークスは1stが最高傑作だと思うが、他のアルバムもそれぞれの味わいがありクオリティが高い事を付け加えておく。

5.オアシス「モーニング・グローリー」1995年


モーニング・グローリーとは朝方に見る事が出来るロール状の雲の事らしくオーストラリア等の広大な大地では巨大なモーニング・グローリーが見られるそうだ。

で、イギリスを代表するロック・バンド、オアシスのアルバムである。いや、もう代表曲の1つ「Don't look buck Unger」が入ってるだけでもこのアルバムだな。商業的にも最も成功したアルバム。しかし、名曲が多いのでオアシスに関してはベスト・アルバムをオススメしたい。バンドが解散してからソロでそれぞれアルバムを出しているが、やはりオアシス時代の楽曲に匹敵するものは無いように思える。オアシス自体もバンド末期は不仲からか、あまり良い作品が作れなかった。これは初期の名盤。オアシスらしい「ビートルズ的」な泥臭い王道ロック。

6.ウィーザー「OK HUMAN」2021年


ついに頭が狂ったか、と思われるかも知れないがロック名盤にウィーザーの最新作を入れてみた。ウィーザーは90年代から活躍する「NIRVANA以降」のパワーポップの代表格。パワーポップって語感からよく「パワフルなポップ」と誤解されるが本来は「グランジ・ムーブメントを通過した後のポップ・ロックの在り方」みたいな意味があり、グランジ影響下にある荒削りなサウンドが特徴だ。だからグリーン・デイもたまにパワーポップと呼ばれる。NIRVANA以降だからだ。同じように「ネオ・ロカビリー」や「ネオ・アコ」みたいなジャンルもある。ネオは「70年代パンク通過後」という意味だ。ロカビリーやアコースティック音楽は昔からあったけど、パンク通過後のサウンドはこうだ、という意味。話が逸れた。

ウィーザーの特徴は泣き虫ロックとか揶揄される泣きメロだ。ウィーザーのアルバムを1枚選ぶとしたら、どれも名盤で甲乙を付け難いのである。そこで最近ハマっているウィーザーの最新作。これこそウィーザーの最高傑作ではないか……と思えてきた。このアルバムを聴いて気に入れば過去作を聴けば良いのだ。一般的にはデビューアルバムが最高傑作と言われる事が多い。最もポスト・グランジの芳ばしさが燻る。もしくは2ndアルバムの「ピンカートン」それらと比べても今作はまったく引けを取らない。珠玉のメロディとシンプルなオルタナティブ・ロックの傑作。

どうでもいいけど、Alexaに「ウィーザーをかけて」って喋りかけると、なぜか聞き違いでウィー・ザ・キングスの楽曲をかけられて、お陰様でWe The Kingsが気に入ってしまった。

7.MUSE「アブソリューション」2003年


MUSEはイギリス出身で1994年結成だから、それこそキャリアの長いバンドで、グラミー賞にも何度もノミネートされながらことごとく逃してきた。本国イギリスでは人気はあったのだが、ようやく2015年の「ドローンズ」で全米初登場1位に輝いた。アメリカで認められるまでに時間がかかった。そのへんはレディオヘッドやU2やコールドプレイとは違い苦労した。しかし、アメリカで売れるという事は本来のMUSEの良さが失われる事でもあるのでファンとしては複雑だ。やはりMUSEの魅力といえば過剰なまでに装飾された重厚なサウンドとスパニッシュを彷彿させる哀愁漂うメロディだ。それが最も感じられるのが、このアルバムと言えよう。MUSEのアルバムは駄作もありすべて良いとは言えないが、初期のアルバムは名盤が多い。一聴の価値あり。

8.システム・オブ・ア・ダウン「トキシティー(毒性)」2001年

マキシマムザホルモンが影響を受けたバンド……というか当時凄まじい人気があった。多くのバンドに影響を与えたカリスマ。最近、再結成して2020年には新曲も出したSOADこと、System Of A Down。このアルバムは2ndアルバムで全米初登場1位。その後3rdアルバム、4thアルバムも全米初登場1位を記録し、グラミー賞まで受賞し壇上で奇声を発し人気絶頂のまま突如解散してしまった。その後はそれぞれのメンバーがソロで何作かリリースしたけれど、やはり再結成は嬉しいものだ。ラウドロック、メタル、ヒップホップ、アルメニア民謡から来る中東的なノリ。オリジナリティの塊みたいなバンド。とにかくこのアルバム、そして名曲「チョップ・スイ」を聴けばすべてが詰まっている。1曲の中で曲調が目まぐるしく変化する。ラストは圧巻、急にメロディが開けてくる。突き抜けた感性を感じられる。

9.ユースレスID「リデンプション」2004年

イスラエル出身の雄、ユースレスID。ノリが良いメロディック・パンク・バンドのアルバムを選ぶのを考えた時、グリーン・デイなら「インソムニアック」かな、オフスプリングなら「スマッシュ」か「アメリカーナ」NO USE FOR A NAMEならベスト・アルバムでも聴いておけば……って考えた時に最もエキサイティングな体験をさせてくれるバンドがこのユースレスIDかな……と思い選んでみた。このバンドのどのアルバムもハズレは無い。ただ、この「リデンプション」以降は徐々にストロング・スタイルというかメロディが男臭くハードになっていく。それはそれで良いのだが。逆にこれ以前のアルバムは甘いメロディが臭くポップ過ぎて受け付けない可能性もある。甘さとハードさが両立されたアルバムがこの「リデンプション」と言えよう。とにかくメロディが素晴らしいバンドだ。グリーン・デイやオフスプリングやフォールアウト・ボーイよりもこのバンドを押させてもらう。悩みは滅多にアルバムが出ない事だ。いつもこのバンドの動向を気にしている。いつかライブも観たい。当時はイスラエルのバンドなので入手自体が困難だった。今はサブスクがあって便利だ。

10.シガーロス「アゲイティス・ビリュン」1999年


アイスランド出身のバンドでシガーロスとはアイスランド語で「勝利の薔薇」という意味がある。また「アゲイティス・ビリュン」とは「良き船出」という意味で全編アイスランド語で歌われている。これはまだマシでその後のアルバムは造語で歌われたり、曲そのもののタイトルが無題だったり……。

アイスランド出身のアーティストはBjorkやムーム、カラシ等良いアーティストが多い。極寒の氷河の世界が生み出す大自然の壮大さというか、スケールの大きなサウンドである。ヴァイオリンの弓で弾くベースが厚みと広がりを持たせている。映画音楽のような壮大さだ。一歩間違えればレディオヘッドのパクリと揶揄されそうなギリギリのラインを壮大さで超えてきた。ある意味レディオヘッドよりもクセの塊みたいなものだ。さらにBPMが超絶遅い上、1曲が10分近くある長い曲が多い事からスローコアとか呼ばれていた時期もあった。正直、前半の曲は感動するが終盤少しダレる。曲調のせいだ。ロックと呼んでいいのか、むしろクラシック音楽に近いのか。しかし、バンド編成を見ればロックそのものだ。レディオヘッドと並び「鬱ロック」の最高傑作。眠くなるのでドライブのBGMにはならない。世の中にはこんな美しい音楽があったのか……と溜息が出る。ちなみに他のアルバムはグラミー賞にノミネートされた「()」(無題)や「タック」というアルバムが同じくらい良いが、他は駄作も多い。まず最初に聴くべきはこの作品。音楽に没頭する、という表現が最も似合う麻薬に似たサウンド。

以上、10枚のアルバムを選んでみた。すべてサブスクで聴ける。ちなみに私はAmazonミュージック・アンリミテッドを利用している。Amazonプライム会員なら月額780円だ。Alexaに話しかけて再生出来るので便利だ。7000万曲聴けるらしい。一番安くて一番良い。Spotifyは6000万曲だそうだ。LINEミュージックも6500万曲聴けるそうだが、私が聴きたいマイナーなバンドの曲がほとんど聴けない。大きな声では言えないがLINEミュージックに関しては嘘ではないだろうか……と思っている。

上記の10枚はマイナーではないので全て聴けるはずだが、体感的にAmazonミュージック・アンリミテッドが痒いところに手が届く感じがする。いずれにせよ、サブスクは便利だ。

布団に包まりながら長々と書いてみた。ぜひ、いいねをポチって欲しい。モチベーションに繋がる。Amazonミュージックのプレイリストは下にあります。よろしくお願いします。





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