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いのちの削ぎ落とし

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短編、掌編小説など。
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2020年10月の記事一覧

掌編「鈴虫の鳴く部屋で」

掌編「鈴虫の鳴く部屋で」

「ねえねえ、あれ、見てよ」
 左隣で車いすを並べてこいでいた加奈が、声をひそめておれの腕に軽く触れた。
 おれたちは大通りから細い路地に入ったところにある公園の脇を通りがかっていた。コンビニで今日の晩飯や酒、菓子、そして加奈の愛してやまない成人向け雑誌を買って、ねぐらであるぼろアパートに帰る途中だった。
 公園は周囲をイチョウの木でぐるりと覆われていた。イチョウはすでに目が痛くなるくらいどぎつく色

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