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篭田 雪江(かごた ゆきえ)
2019年9月29日 19:27
テーブルにうずくまっていた私は、はっと目を覚ました。意識不明から回復したかのように。 あわてて顔をこすった。手の平がかさついていて、頬がけずられた。時計をみた。午後十時。テーブルに並んだ夕食は、新聞紙の下でとっくに冷めていた。 私は、共に暮らす彼の帰りを待っていた。 小さなデザイン会社に勤める彼は、多忙な日々を送っていた。二月に入ったここ半月は十時に帰れれば早い方で、日付が変わる頃に帰宅し