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ダンジョンズ&ドラゴンズの映画マジで面白かったのでRPG好きやファンタジー好きは観に行った方がいい(字幕で観ました)

予告映像

正直に言って劇場予告でこれを観た時(そのままではないかも知れないが脳みそ君のくだりがあるもの)、某モンスターのハンターのやつみたいにハリウッドがたまにやるお金を壮大にかけたB級映画か〜と思ってスルーするつもりだった。
今となっては私の期待値を死ぬほど下げてくれたこの予告映像に感謝している。良い意味で盛大に裏切られて、ハリウッドの本気が感じられる傑作だった。

キッカケ

ほんまか〜〜〜〜???ってなった。でも自信を持って剣と魔法のファンタジー好き太郎だと言えるし、出かける用事はあったし映画館という場所に行くだけでも楽しい気持ちになる程度には映画館好きだし駄作だったらそれはそれで良い肥やしになるか……と思って観に行くことにした。大正解だった。ありがとう、マシーナリーとも子。

感想、超面白かった

本当にビックリするくらいちゃんと面白かった。とんかつ食べに行ってとんかつを食べて大満足した気分。時間が経って思い返せば思い返すほどにあのとんかつは実はやばかったのでは……?という気持ちが湧いてくるほどにめちゃくちゃ面白かった。

ファンタジー映画にどうしても漂ってしまうある種のチープさのようなものはまったく感じないとは言わない、むしろそれを正しくカジュアルにして面白さを前面に出している。しかし作りが甘いわけでは全くもって無い。むしろ凄い。指輪物語やゲーム・オブ・スローンズのようなハードなハイ・ファンタジーの雰囲気はないんだがダンジョンズ&ドラゴンズとしてゲームファンタジー(ジャンルとしてはハイ)の完成度は完璧と言っても良いかも知れない。観ていると相当に作り込まれているのがわかる。2時間強で収めている作品としてはちょっとマジで脱帽するくらい凄かった。

何と言ってもファンタジーだったらお約束だよねっていう要素がちょいちょい出るんだが必要以上に語られない。
それがそこにあるものとしてキャラクター達が自然に受け入れている。
それがマジで最高。ファンタジーのこういう要素って面白いよね〜みたいなアピールが見事なバランスで細やかに出てくる。

背景や設定が気になる!!というものがバンバン画面に映ってくるんだが主人公であるエドガンが娘を救い出す物語に必要なもの以外は語らない。監獄も鳥人間もトカゲ人間もドワーフもホビットもエルフも異種族婚も魔法体系も建築様式も道徳的価値観もちゃんと作ってあるのがわかる程度には出てくるのだがどんな種族かなんていちいち語らない(それぞれの名称を間違っていたらごめんなさい)。

もちろん元ネタのD&Dが根底にあるからだと思うのだが、キャラクター達がその世界に住んでいるからこそなんの違和感も出さずごく自然に映画内に登場する。それでいてわからないから面白くないとなってしまわないようにちゃんと主張が強くない。強いて言うなら終盤にあるポテトを投げつけるくだりなのだがそこくらいしか無かった。あそこは誰か元ネタ教えて欲しい。それとも何か見落とした?

特に印象的だったのはサイモンとホルガの人物描写だ。
魔法使いであるサイモンはハーフエルフの設定があるようなのだが、覚えている限りだと作中で「僕も半分人間じゃない」って一言あるだけだ。でもその一言で通りで顔立ちが幼い訳だ、とか魔法使いは老齢なイメージがあるがサイモンも見た目より歳いってるんだろうなとか、うっすら耳が尖ってるからハーフエルフなのかなって察することができる。そしてそれを仲間達が必要以上にいじったりしない。ハーフエルフで魔法使いで偉大なる魔法使いの子孫でちょっとヘタレで、いつもの仲間。だから何が出来るか?何を成すか?しか話題に出ない。そして覚醒する、完全にポップ。お前は大魔法使いだよ。少年漫画好きなら全員が歓喜するよ。最高。

女バーバリアンのホルガの一貫した相棒ポジションも良い。エドガンには愛する妻がいて、ホルガにも夫がいた訳だから当然の流れではあるのだが、お互いに信頼と親愛がある仲間という描き方が素晴らしかった。女性でありながらバーバリアンだから物理で制圧しまくるのだがそれも仲間達はそうであると信じてホルガのフィジカルをただ信じて行動する。元夫とのくだりは元夫の性癖も含めて弄りが入ってもおかしくないのだが、仲間のプライベートには必要以上に踏み込まず完全に別れてしまった後は歌を歌って励ます。あまりにも良い。ホルガは強い。そして信頼できる仲間だ。最高。

もしかしたらこの二人はポリコレを意識している部分があるかもしれないと昨今のハリウッドの流れを知っていると感じるのだが、それがどうでもよくなるくらいにはツッコむ気にならなかった。(ただそういった弄りがある作品が駄目だとは言わない、時代や世俗を反映するが故に意図して入れる物語ももちろんある)

ドリックもドルイド魔法で変幻自在に変身するし可愛いしスポット参戦するゼンクもめっちゃRPGしてて格好良いし語りたいけど一から全部行きたい感じになるので割愛する。二人とも最高。

そしてなによりもエドガンがリーダーとして良い。ハーパーという高潔な精神を持つ組織の元一員でバード(吟遊詩人)というバックボーンがあるものの、結構出自が強い登場人物の中ではわりと一般通過ヒューマンである。ずっと剣じゃなくてリュート持ってるし。途中ドリックにあなたは何が出来る?って聞かれて作戦を立てられると答えるのだが、バーバリアンのホルガ、魔法使いのサイモン、ドルイドのドリックと比べて一見すると能力が無いのだが、本当にちゃんと作戦を立てる。そして絶対に諦めないし仲間を信じる。呪文破りの兜を取りに行った後、兜を使いこなせず自暴自棄になるサイモンに対して言った失敗して諦めたら、その時本当に失敗になるってのは結構よく聞く説法ではあるのだが、状況とストーリーの仕立て方が見事でちゃんと響いた。間違いなくこのパーティはエドガンのパーティだと強く感じた。メンタルマスター。最高。

それにVFXもアクションも絵作りも美術もちゃんと良かった。どれかがショボくてもあそこがなぁ……となるものだが全部良かった。ダンジョンズ&ドラゴンズの名に恥じずダンジョンも出たしドラゴンも出たしちゃんと良かった。リアルなダンジョンとゲームなダンジョンどっちもストーリー的に自然に出してくれるし、真面目なドラゴンもファットなドラゴンも魔法によるガーゴイルなドラゴンも全部造形良かったし、なにこれマジで非の打ち所がない。ボス戦闘周りは少しばかりそれ殺せたんちゃうんかってシーンもあるにはあるのだがそのくらいのご都合主義は気にしない範疇にできる。そしてオチの付け方もしっかり伏線が効いている。全体の完成度が本当に高い。マジで最高だった。感想書いててもう一回観に行きたくなってきた。

タイトルでも書いているがRPG好きやファンタジー好きは観たほうがいい。本当にオススメします。

余談

平日の地方の映画館は引くくらい空いててビビる。売上的にはヤバいかも知れないが超快適で映画鑑賞が捗りすぎて俺得状態である。潰れないかだけが心配。

追記資料

パンフレットが販売されてなくてマジかよ……となっていたのだが公式のプロダクションノートとマイケル・スタンフォードさんの記事でかなり補完させていただいた。圧倒的感謝。

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