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【雑感想】 月、ザ・クリエイター、キラー・オブ・ザ・フラワームーン、シックスセンス、メメント、Fight Club、ターミナル、ローズメイカー 奇跡のバラ

しばらく映画感想を書いてないうちに映画館で観たものも公開期間を過ぎてしまったりしっかり書こうとしすぎて手が進まなかったりしたが、備忘録としては残したいので初見の過去作も混ぜて雑に書いてしまおうと思う。

ネタバレは含んでいるので未見の方は気をつけて欲しい。


障害者施設で働くことになった元作家の女性を主人公に、人形劇を作っており妻である主人公を先生と呼ぶ定職に就いていない旦那(作中内で管理人の職に就く)、障害者施設で働く小説家志望の女性、同じく障害者施設で働く元画家志望の男性、ほか同僚たち。森の中にある障害者施設という日常とは離された空間でそれぞれの人間模様が交錯する中、元画家志望の男性は意思疎通の取れないものは人間ではないとし障害者の大量殺人計画を実行する。

某ゆきさんもポストしていたが、結局は傍観者でしかない我々に刺さる。私は親戚に障害を持つ方がいたり、小学校の時分に障害持つ方々の学級があったりとわりと身近に感じられる要素があったので色んな記憶がフラッシュバックしながら見ていて苦しかった。また、東京は相模原で起こった実在の事件をもとにした作品であり、東京に住んでいる時に友人が相模原に住んでいたのもあり事件のことは覚えていた。それでも自分の世界の外の出来事だと認識してしまっているのだということが実感してしまい、背負って病む訳にはいかないがこの己の薄情さは理解せねばならない。

形にしてはいけないと思いつつ心のどこかでよぎってしまう考えを正面から言語化してくる問答は事件の犯人をただの異常者と断ずるには早計が過ぎると現実と作品の交差を眼前に突きつけられる。非常に重たい内容ではあるのだが命の在り方を問いかける様々な視点は鑑賞して良かったと思える名作だった。

ザ・クリエイター

AIが進化しすぎた結果、人間に反旗を翻した世界で、AIの根絶を誓っている主人公が属していた連合国側と共存は可能であるとAIと共に生活している国々との戦争の話。そのなかでAI側の重要人物を暗殺しようと計画を進めている中で発見された成長する子供のAIという特異な存在を巡り、物語は進んでいく。

序盤の主人公が改めて強襲作戦に同行するあたりの上陸シーンで流れる音楽のシーンと曲調のアンマッチさが攻殻を意識したように見えて少しニヤリとした。あとは脳死状態にある創造主を殺してもらうために主人公が導かれたという件は良かった。

映像のクオリティは高く、AI対人類というSFではわりと擦られている話を全部盛りな勢いで話に詰め込んだのは良かったが、いかんせん戦闘シーンや人間ドラマ的なシーンがSFエンタメ作品を見慣れている身からすると目新しさが無く、最近小説を読んだ伊藤計劃や映画であればアバターなんかのさらりと練られた設定や機械群を出してくるほどのパワーは感じられなかった。

キラー・オブ・ザ・フラワームーン

開拓時代以降のアメリカを舞台にし、アメリカ人が石油資源を持つ部族の利権を乗っ取るために起こした事件と人間模様を描いた話。

久々にレオナルド・ディカプリオの作品を観たのだが演技好きだなぁ!となった。老けても格好ええ。
ひたすら作品のディティールが良い。作品中に漂う時代の空気感が心を当時に連れて行ってくれる。生まれも育ちも日本人だから全然知らんけども。
月と同日に劇場で観たのだが違った意味で人間とは……と考えさせられる作品だった。叔父は悪い人だなぁとは思うが、ほぼ全員が善人とも悪人とも言えない。それぞれが人間らしい打算の元で行動した結果、どうしようもない結末になってしまった。子供達だけは罪がなかった。こういう国の闇の歴史的な話は感想を書くのが難しい。不勉強により正しく歴史認識を持っていないので浅くなってしまう。

シックスセンス

説明するまでもない超有名作品。見えざるものが見えてしまう少年と児童カウンセラーの主人公の交流の話。

小さい頃に金曜ロードショーとかで観た記憶があったが全然覚えてなかったので改めてアマプラで鑑賞。ブルースしぶ〜ってのと少年の困り眉が絶妙。
あまりにも綺麗な物語の道筋だった。物語のエンタメとしては怯えるばかりであった少年が能力を自覚的に行使することで殺人事件の真相が暴かれるシーンがキャッチーである。なおかつ自身の母親が長年のわだかまりを解消することで起こる感動。幅広い年代や胸中の人に対して、何を持って刺すかというのが明確に形作られている。見事。
細かい筋はまったく覚えてなかったが大オチはもう知っていた気がする感覚で観たので、まぁそうなるやろなぁ……となったがエンドロールへの入り方がこんな鮮烈なのかと思ってビックリした。悲しさを感じつつも幸福を祈らされる。本当に見事だなぁ。

メメント

記憶が10分しか保てない男が起こす事件を逆再生で追体験していく。

クリストファー・ノーランの出世作、なのか?そういうイメージがある作品。彼の作品はどれも観ていてうおー!どうなるんだどう繋がるんだ!となり続ける。私がこんなところで書かなくても世界で認められた天才的な監督と脚本だと思う。

人と話したくなるタイプの映画だが一人アマプラで観たので観終わった後に感想を観に行った。綺麗に二分していてウケた。気持ちはわかる。でも結局記憶をなくす男がただ人を殺し回ってるだけみたいな感想は結構違うと思う。それすらもわからないのがこの映画の肝だ。そして男が記憶を無くしてわからないように視聴者もわからなかった最初の15分ほどに感じた圧倒的な困惑こそがこの映画の真の価値であるというのが終盤にわかるという構造が素晴らしい。映画としては冒頭だけでは何もわからず、最後まで見ることで理解できるのだが、この映画の本質は冒頭に感じており、終盤でそれを理解する。すごい。どの作品を観ても思うが本当にどうやって生きてきたらこんな脚本が思いつくんだ。

Fight Club

仕事に忙殺される主人公がある日、自分の理想とするワイルドな男と出会い、日常の裏に潜むファイトクラブという組織を秘密裏に結成する。ただ純粋に殴り合うだけだったはずの男たちは徐々に社会に対して過激な報復を行い出す。

どんどん話の規模がデカくなって駆け上がっていく様は単純にワクワクする。いつのまにか自分の手を離れてしまい困惑するも、それもすべて自分自身によるものだったというミステリー仕立てなところも良い。
現代版ジキルとハイドと書かれている感想があったが、簡潔に説明するならそれが合っているだろう。人に薦める時にそれを言っちゃうと台無しだろうが。
ただわりと思いっきりオチを示唆するシーンが多かったのでオチは読めたが、エンタメで面白かった。主人公が相棒にビールを渡されるシーンをアニメキャラにしたコラを度々見たことがあったので、この映画だったのかと少し笑った。

ターミナル

祖国のクーデターによりパスポートが無効になってしまった男性が空港から出られなくなり、そこで生活するうちに出会う人々との様々なお話。

うっすら内容を知ってるがちゃんと観たことなかったので鑑賞。スチュワーデスの人、結局不倫相手に戻るんかーい!ってのと空港の責任者のハゲは結局いいやつ風にしたけど解決しとらんやないかーい!ってなった。

主人公は当初の目的は達成できたし、それぞれの心には違う何かがきっと芽生えているのだろう。コメディ&感動な感じなのかな?と思って見始めてわりと間違ってないシーンもあったが思ったよりスッキリしなかった。

ローズメイカー 奇跡のバラ

閉園間際のバラ園のおばあちゃんと女性従業員、更生プログラムでやってきた元ギャングな青年、不憫そうなおっちゃん、薄幸の少女の5人でバラ園を立て直すお話。

主要な面白ポイントは、更生プログラムのメンバーがバラ園での生活を通して信頼されることや人の愛を感じること、ギャングの青年が実は才能豊かであるというギャップ萌え、バラ園の立て直し奮闘劇、金儲け至上主義の経営者の鼻を明かすこと(私には悪い人だとは思えないが)、あたりになる。こういうお話、わかりやすくて面白いよね!という感じ。普通に好きです。

バラ園なんて日本の一般家庭出身の身としてはまったく知り得ない経済圏の話だったので興味深かった。人の営みには歴史があり、それを支えてきた技術があり、これからの時代を生きていくための情熱があるのだなぁと感じ、ストーリーラインの外で舞台設定自体の部分でそういう風になってるのか〜おもしれ〜となりながら観ていた。実際知識としては入り口に過ぎないだろうが一瞬でそこに連れてってくれる映画ってすごい。

そういう系の楽しみ方だとアジアンドキュメンタリーズのドキュメンタリー群を観たいんよなぁと思いながらまだ入会できずにいる。絶対おもろいだろうけどサブスク増やすのが怖い。悩むー。

もうちょい観た映画はあるのだが一旦こんなもので。また次回。

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