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一つの欲望が消え「看脚下」を実感した瞬間

 近頃、ずっと気に掛かっていたことに一区切りついた。諦めることができたと言った方が正しいだろう。そうなると気分が一新して気が楽になった。気持ちがスッキリして、次の一歩を踏み出す気力が湧いてきた。自分にとっては、この上なく、いい状況である。
 どうして踏ん切りがついたのかというと、自分を誤魔化したのではなく、自分の気持ちの赴くままに突き進んでみたのである。当然、経済的にも痛手を負った。だが、それ以上に気持ちが晴れたことが、私にとっては大きな収穫だった。そのおかげで、自分の足元を再確認できたように思う。
 ある日のお茶室の掛け軸の禅語に、
「看脚下」
 という一言が掛かっていた。迷った時には自分の足元を見よ、と先生が説明していた。
 私の状況とは、ちょっと順番が逆かも知れない。実際には、迷いが失せた時に自分の足元がよく見えてきた、そんな感じだ。気に掛かっていた事に思いを遂げるため、出来る限りの力を尽くして満身創痍になった時、初めて気持ちが晴れた。心から一つのことに諦めがついた。心がスッキリした。その時、邪念が無くなって、次の一歩がはっきりと視界に入って来た。
 諦めた事の後遺症は多少なりとも残った。それも、時間が解決してくれると信じている。
 生活の目標、日々の目標、仕事の目標、家族の目標。そして、死ぬまでに叶えたい、人生の目標。

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