人生を賭けた〝チキン・レース！〟

　３０代後半のベーシストの友人の近況。
「最近は、ベースの音作りにハマってて……」
「D T Mのスタジオ・ワンを使って、曲作りやってたんじゃなかったっけ？」
「そう思ってたんだけど、ベースの音作りにハマって」
「D T M用のソフトって、使い込んでナンボでしょ」
「そうなんだよね。使い込まないとね」
「DTMの新しいシステムや新しいテクニックを使いこなせないまま終わってしまって、宝の持ち腐れになってしまう」
「確かにそうなんだけど」
「ベースの音といえば、最近、スガシカオに戻ってしまって。例えば、〝黄金の月〟とか、ベースがかっこいいよね」
「プラック系のR＆Bの感じですよね」
「そう。良いね、カッコいいよ」
「10代の後半、メタルに凝っていて。それを最近になって、YouTubeとかで、聞いて。バンド名は、セックス・マシンガンズって言うんだけど。そのBPMが210で」
「えっ、210BPM!　それって、ガガガガガって、感じ！」
「そう。よくこんなベース、弾けたなって」
「それって、モーター回してたんじゃないの。マブチモーター・２１０っとかって」
「良いね、マブチモーター210！　ガガガガガガって。できるわけねーって」
　30代後半のオヤジ。いつまで少年のままで、いられるのだろうか。
　人生を賭けた〝チキン・レース〟だ！