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ダブリング・ボーカル
曲ができて1週間ほどで、DTMでカラオケのアレンジも完成した。その音源と譜面をボーカルの女性に送って、ボーカルの単体の音源のデータを待った。
当初、バンドが目指した音は、①クラシカル・エレクト、② 踊れるテンポ、③エフェクトのかかったボーカル、の3つの要素をクリアする音。
届いたボーカルの音源をカラオケと重ねる前に、ボーカルの音程を一音づつ、修正を加えていく。この作業が根気のいる作業で、神経を擦り減らす。
この作業を理解しているボーカルなら、何ら問題は起きなかったのかもしれない。女性ボーカルは、20年近く音楽活動をしているというので、全面的に依存してしまったのが、微妙な意識のズレを生む結果につながったのだろう。
結論からいうと、作業に終わりが見えないので、早々、ボーカルにダブリングのエフェクトを加えた。
結果、ボーカルに厚みが出て、微妙なボーカルの音程のズレが隠れた。しかし、その分、ボーカルの透明感が失われてしまった。当然、ボーカルの彼女から、クレームのメールが届く。
こうして少しづつ、二人の間の意識のズレが、広がって行った。
作曲3年のぼくには、ボーカル歴20年、しかも、ボイス・トレーナーでもある彼女に、
「音程がずれている箇所がかなりあるので、録音し直してくれますか?」
とは、言えなかった。その一言を言ったら、それで終わってしまう気がして……。
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