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Rockは生き様、5人の男たち
私の音楽を根底で支えている人格に、影響を及ぼした5人の男たちを紹介したい。
一番目は、国際報道カメラマンのE氏。故人である。大学を卒業して最初に入った会社で出会ったころ、彼に聞いた。
「妻子がいるのに、どうして危険な戦場の取材に行くんですか?」
すると彼は、
「女房子供を食わしてやれれば、男は何をしていても良い」
という回答が、即座に帰って来た。
「もう一つ。どうして、いつも、従軍は一人なんですか」
その頃の彼は、従軍取材には毎回、一人で入っていた。決してクルーを組まなかった。
「大学の探検部時代、友人と川下りをして、彼は不幸にも亡くなった。私は生き残った。以来、行動は一人でするようにしている」
と。その三年後、私は「モスクワオリンピック後の大攻勢があると言われていた、内戦のアフガニスタンへ従軍取材」に出発した。
二番目は、女性セブン元編集長のY氏。私が週刊誌記者としての駆け出しの時、彼は担当デスクだった。彼は毎週私に難しい取材テーマを押し付けてくるので、うまくいかない。胃の痛い日々が続いていた。たまりかねて、ついに彼に詰問した。
「デスクは毎週、僕に難しいコメント取りの仕事ばかり押し付けますけど、簡単に取れると思っているんですか!」
すると彼は苦笑しながら、いとも簡単に答えた。
「取れれば良いな、という程度にしか思っていない」
「えっ。……わかりました。ありがとうございます」
コメントを取るのに毎週、張り込み、追っかけ、直撃で胃痙攣寸前。そんな、胃が痛くなる日々を過ごしていた。しかし、彼のその一言で、私の苦悩の根源が、一気に氷解した。とは言っても、私の胃の痛みは無くならなかった。アドバイスを受けた後も、取材には必死だった。
その他にも記者として重要な心構えを、教えてもらった。
例えば、取材。
「喧嘩をするなら、大物とやれ」
もう一つは、企画の発想。
「お前が電気料金を滞納しても、面白くない。でも有名芸能人が電気代を滞納したら、それは記事になる」
今も、いろんな意味で、アドバイスは生きている。(続く)
創作活動が円滑になるように、取材費をサポートしていただければ、幸いです。