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美を友として麗しい世を送った者…

「美を友として麗しい世を送った者のみが、往生できる」と岡倉天心は「茶の本」に書いている。この人はどこまでもストイックで激しい論理を展開する。良いか悪いかは別として、私は好きだ。

 だから、ついつい何度も「茶の本」を紹介してしまう。そろそろ周囲は、白けていそうだけれど、そんなことでメゲていては、表現者は務まら無い。

 実は、この一文の前には、もっと目を背けたくなる様な文章が記載されていた。あまりの過激さに紹介するのを躊躇ってしまった。詳しく知りたい方は自分で買い求めて、自らの目で確認してもらいたい。こいつは一体、何様だと思っているんだ、と怒りに震え憤懣やるかたなしと胸を掻きむしられるような思いに囚われるだろう。しかし、この一点は踏まえておいていただきたい。それは、この本の想定読者である。文明開花のなったことはおろか、当時の日本そのものを知ら無い様な欧米人を対象に、日本人が初めて英語で書いた本であることを。そのことを大前提として、読んでいただきたい。

 そう思うと、まだまだ表現として手ぬるいかも、と思ってしまうのは、私だけだろうか。

 なんだかんだで、死後極楽往生できるのは「美を友として麗しい世を送った者のみ」なのだそうだ。

 そうなると私は、そうは成れない第一人者であることを、宣言しておきたい。

創作活動が円滑になるように、取材費をサポートしていただければ、幸いです。