全ての花は愛せない花守のこと

全ての花は愛せない花守。

そもそも花守ではないのかもしれない。

博愛主義ではない花守。

歪で偏っている。

極端で偏狭な尖った愛情しかなく、偏愛者として生きている。

花守にとって花は色々と思っている。
傲慢な花、高慢な花、驕慢な花、自堕落な花、自分を高く売り付ける花、自分を安売りする花、自分を値踏みして他者を値踏みする花などがいることを知っている。

花守は冷酷だ。

そんな花は勝手に生きて勝手に咲いて、勝手に咲き続けたり勝手に枯れていれば良いと思っている。

栄華を誇る花は勝手に盛えていればいいと思っている。

我関せずの花守。

花守は自分も男の端くれとして男の醜悪さ、悪徳さ、不様さを抱えていることを見に染みて理解している。

偉そうなことは何ひとつ言えないことを十分に理解している。

だから花に近づかない。

傷つけるのも傷つくのも嫌だから。

きっと花を傷つけてしまう。

そうして自分も傷ついてしまう。

花守ではないかもしれない。

自分でそう思っているだけなのだろう。

一輪の花を想っている。

傍にいたいと想っている。

想っているだけの花守なのだ。

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