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もしもタイムマシーンがあったら

 先日地上波で映画バックトゥーザフューチャーシリーズが放送されていました。もしもタイムマシーンがあったら、あなたは過去へ行きたいですか?それとも未来へ行きたいですか?

 過去へ行きたいと答える人たちの理由は、だいたい「もう一度やり直したいことがあるから」というものでしょう。過去を変えて、現在の自分の状況を変えたい。人間は、後悔の無いように生きようと思っても、全く後悔をしない人生など存在しないので、こういった過去へ行きたい派の理由も、非常によくわかります。

 では、未来へ行きたいと答える人たちの理由は何でしょうか。「未来を知って、現在の自分を変えたいから」「本当に今の自分の選択が正しいのか、知りたいから」「今はこんなに不幸だけど、将来幸せになれるとわかったら、生きる希望が持てるから」。過去派の理由に比べて色々あるように見えますが、共通しているのは、今の自分の人生の保証を未来の自分に求めるということです。

 このように過去派と未来派の理由を見てくると、過去派は、現在の自分に少なからず不満がある人であり、一方の未来派は、未来がバラ色であることを前提に現在の自分に一定程度折り合いをつけることができる人なのかもしれません。

 小説やドラマ、映画など、時間を超えるいわゆるタイムトラベルものについては、共感を呼ぶジャンルの一つです。こうしたタイムトラベルものが私達に教えてくれることとは、一体どんなことなのでしょうか。

 一つ目は、過去と未来についての人の意識です。

 人は一般的に、過去のことは全て体験済みの既知のこと、一方未来のことは不確定で未知のことと認識しています。しかし、過去のこと全てを、本当に知っていると言えるのでしょうか。

 この点を面白く描いたのが、冒頭のバックトゥーザフューチャーですね。過去のことは知っていると思っている分、そうした思い込みが邪魔になって、上手くいかないケースが多い。知っているという思い込みは、何かを本当の意味でやり直すためには、妨げになるという教訓になります。一度記憶を抹消した方がいいと言ってもいいかもしれません。

 また、未来については様々な分野で技術革新が進んできた現代においては、ある程度の確からしさで予測が可能になってきたと考えられてきました。しかし、今の新型コロナウィルスの感染拡大のような出来事が起きると、それはただの奢りだったのではないかと思わされます。つまり、未来を描く時、その「未来」とやらは、現在予想しえる要素でのみ構成されたものでしかなく、現在のバイアスがかかるものだということを、一つリスクとして認識しておく必要があります。

 二つ目は、タイムマシーンで時間を行き来した場合、行き来して変化する前の歴史と行き来した後に変化した後の二つ存在し始めた歴史について、どのように辻褄を合わせるか?ということです。これは時間軸をどのように捉えるかということと関連します。

 一昔前までは、時間軸は一本の直線的なものだと捉えられてきましたが、タイムサークルのようにサークル状だという説も存在し、現在では変化する前の時間軸はそのまま存在し続け、変化した後の時間軸と2つの時間軸で人は生き続けるとの考えが主流となっています。これは物理的な理論にきちんと乗っ取った説だそうです。

 このように、時間を超えて何かを変えようとしても、変えられない時間軸(元々の時間軸)が存在することは、結局現在(今)を精一杯生きるしかないという、タイムトラベルものの最終的なテーマの説得力を裏付ける要素の一つと言えます。

 タイムマシーンなんか、夢のまた夢じゃないかと思っている人へ。想像力を巡らせて、過去や未来へ行ってみましょう。そうすることで、現在を生きる自分へのヒント、教訓をたくさん得ることができるに違いありません。

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