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新しいシェアリングエコノミーとは?

 先日仕事で総務省主催のシェアリングエコノミー(共有経済)についてのセミナーを受けました。それがとても面白かったので、書いておこうと思います。

 シェアリングエコノミーとは何かというと、空間や物を社会的にシェアしていく市場を指していて、具体的には近隣同士で車をシェアしたり、テレワークが進んで空いたスペースを社員以外の外部の第三者も含めてシェアしたり、居酒屋などが営業時間外の時間のお店のスペースを子ども会、ママ友の集まりに提供したりといった取組みがあるそうです。

 もともと海外でいうとヒッチハイクのように「車に乗せて」というような文化がありますが、日本ではあまりそういう文化はありません。ただ、現状でもタイムズがカーシェアサービスを提供していたり、横浜市でシェアサイクルの事業を導入していたり、物自体をシェアするということは進んでいますよね。

 このように物自体をシェアするという段階から、行動(活動)をシェアすることでサービスのような位置づけが可能になる段階へ、一段階進んだ状態をシェアリングエコノミーと呼ぶのだと私は理解しました。

 セミナーでは、こうしたシェアリングエコノミーが進んだ要因に、コロナ禍も一因とされていました。その例は、Uber社です。コロナ禍で、飲食店が始めたテイクアウトや宅配サービスに利用されるようになったUber Eatsの運営会社Uber社は、元々は車の配車サービスを行っていました。配車サービスのノウハウを活かして、お弁当などの宅配サービスも始めたのです。宅配サービスを多くの飲食店がシェアするという状況が進んだのは、コロナ禍による影響ということです。

 さて、動産からサービスへというような流れは比較的わかりやすいのですが、不動産の場合はどうなのか。空いたスペースをシェアするという考え方で、Space MarketというサービスやADDRESSというようなサービスの紹介がありました。

 これらは空いているホテルの一室や地方の空いている古民家等を月額定額の料金で、全国画地、好きなだけ住めるサービスで、ただホテルに泊まるのと違って、住む者同士の共有のリビングスペースなどもあり、そこでビジネスが生まれることもあるとか。地方は元々若い人たちの人口が大都市へ流出している傾向もありましたが、こうしたサービスを利用する若者も増えており、それを契機に地方は若年層の定住を促す目論見もあるそうです。

 実際のところ、この1年は、テレワークの推進もあり、東京都は流入人口より流出人口の方が多く、人口減少となっています。シェアリングエコノミーの考え方は、ホテルや古民家のような家タイプの空間は地方になじみやすく、大都市がシェアリングエコノミーの取組みを行うとしたら、カラオケや飲食店等の営業時間外の時間を活用するという考え方の方がなじみやすいかもしれません。

 そうは言っても、このシェアリングエコノミーを一種の経済システムとして回すための仕組みづくりは、インターネット環境に依存していて、従来の不動産賃貸借における民法や借地借家法のような固い法律関係があるわけではありません。ただ、そこには新しく緩い契約関係が少しあるだけです。そこに、例えば危険負担のような、いざという時のトラブルがどのように解決されるのか、疑問は残ります。シェアリングエコノミーという新たな分野が果たして経済的な考え方だけで完結できるのか、とても興味深くこの新たなスタイルの経済を見守りたいと思います。

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