中央線 #19 中野駅 其の2
そういえば以前、夜の中野を、と書いていたのを思い出した。
僕は昔、駅の時計が好きだった…らしい。
駅のホームでずっと時計を眺めている子だった。
そんな話を聞いても、本人に記憶はないのだが…
ただ、その理由がはっきりと分かった。
これは確信と言ってもいいと思う。
時計は動き続けている。
基本的に、時計の長針は1分間で6度進む。
その頃、自宅にあった時計は、この長針がじわーっと進むもんで、動いてる様子がわからなかったのだ。
この6度を60秒かけて動くわけだから、子供の僕にわかるわけがない。
いや、大人になった今だって微妙なところだ。
しかし、当時の駅の時計は1分経つと、カチッと動いたと記憶がある。
この時計の長針が動く瞬間を見るのが、僕はとても好きだったんだ。
この前、会議中になんとなく壁の時計を見ていた時、長針が6度、1分カチッと動いたのに気づいた。
『見た?今、時計の針が動いたぜ』
隣の女子社員に話しかけたら、不思議そうな顔をしていた。
僕はそれを気にせずに、ぼんやりとそんなことを思い出していた。
時が変わる瞬間を、たしかに僕は見たのだ。
そして、
『夜の中野の写真を』と書いていた自分を思い出し、今日に至ったのである。
ほら、
中野ってさ、
時計屋さんが多いイメージがあるじゃない?
最後まで見ていただき、ありがとうございます。
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