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書評:有機化学と軌道概念


読んだ本

藤本博・山辺信一・稲垣都士 著、有機化学と軌道概念、第1版第1刷、化学同人、1986年

分野

有機化学、物理有機化学、量子化学、有機軌道論

対象

軌道論をきちんと理解したい人

評価

難易度:易 ★★★★☆ 難
文体:易 ★★☆☆☆ 難
内容:悪 ★★★★★ 良
総合評価:★★★★☆
良著

内容紹介

公式サイトをみつけられず

感想

 有機軌道論を本格的に学ぶことができ、なおかつ比較的新しい貴重な本。本腰をあげて読む必要はあるかもしれないが、それに見合う価値は十二分にある。同じ立場にある本として、福井謙一 著『化学反応と電子の軌道』や、I・フレミング 著『フロンティア軌道法入門』といった名著に囲まれており、少し肩身の狭い思いをしている。ただ、『化学反応と電子の軌道』に関しては、今となっては古臭さが否めず、難易度もかなり高いので、棲み分けができているように思う。しかし『フロンティア軌道法入門』に関してはかなり読者層が似通っているので、当書を読まずに『フロンティア軌道法入門』だけを読んでいるという方は多そうである。ただ、『フロンティア軌道法入門』はあくまで日本語に訳した本に過ぎず、日本人が執筆した当書のほうが読みやすいと個人的には感じた。また、上記3つの中では最も新しく (といっても40年近く前だが)、文体や図などは見やすいものとなっている。

購入

 学部時代、神保町の明倫館書店で購入したと思う。私が大学の図書室で初めて読んだ軌道論の本が稲垣都士 他著『フロンティア軌道論で理解する有機化学』なのだが、これを読んで軌道論にハマってしまった。ただ、学部の頃の大学の図書館には軌道論に関する書物があまりなく、そこで明倫館にて入手したのが当書である。今思えば、本の難易度的にはちょうどいい順番で読んでいたらしい。

類似図書

  1. 福井謙一 著、化学反応と電子の軌道、丸善

  2. I・フレミング 著、福井謙一 監修、竹内敬人・友田修司 訳、フロンティア軌道法入門、講談社サイエンティフィク

  3. 稲垣都士・池田博隆・山本尚 著、フロンティア軌道論で理解する有機化学、化学同人

  4. 友田修司 著、分子軌道法、東京大学出版会

  5. 山口達明、フロンティアオービタルによる新有機化学教程、三共出版

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