書評:研究室で役立つ有機実験のナビゲーター
読んだ本
上村明男 訳、研究室で役立つ有機実験のナビゲーター、第3版、丸善、2018年、370頁.
分野
有機化学、実験化学
対象
有機系研究室に配属されたB4
評価
難易度:易 ★☆☆☆☆ 難
文体:易 ★☆☆☆☆ 難
内容:悪 ★★★★☆ 良
総合評価:★★★★☆
初心者向け有機化学実験書の双璧をなす
内容紹介
実験を行ううえでもっとも重要である基礎的な技術や知識についてまとめた入門書として好評を博した書籍の第3弾。実験ノートの取り方など「いまさら、そんなこと当たり前?」ということから、サンプルの作り方、日頃何気なく行っている操作がなぜ必要なのか、どのようなときに実験は失敗するのか、ということを細かく丁寧に解説。実験時の疑問や曖昧な部分を解決できるよう、実際の実験に直結する知識やテクニック、研究生活に必要なノウハウがふんだんに、そしてちょっとおもしろく説明してあるのも本書の魅力。研究室に配属されたばかりの学生はもちろん、いまさら聞くに聞けなくて困っている先輩学生も頼りにできる一冊。(引用:研究室で役立つ 有機実験のナビゲーター 第3版 - 丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社 (maruzen-publishing.co.jp))
感想
もはや私が評価するまでもなく有名な実験書であり、初心者のための有機化学実験書の中では、上村明男 訳『研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ』(以下、定番レシピ)と双璧をなすと勝手に思っている。『定番レシピ』は題目の通り、反応のレシピをまとめた本であるのに対して、当書は基礎的な実験手法をまとめた本となる。なので、反応の条件や操作を知りたければ『定番レシピ』、ろ過や蒸留、再結晶といった実験の基本的テクニックを知りたければ当書を読めばいい。
当書の最大の特徴として、文体の柔らかさがあげられる。一般的な実験書は、実験項を日本語にしただけのような、”硬さ”が感じられる。一方、当書は口語で書かれており、もはやここまで崩していいのかと心配になるレベルである。それ故に、初心者にとってはとても優しくわかりやすい内容となっており、当書を超える初心者用実験書は中々見当たらない。
また、内容も非常にきめ細やかに書かれている。有機化学の研究室は、どちらかというと昔ながらの師弟関係のように、見て盗んで学ぶテクニックのようなものが多く存在する。実験している側も、わりかし感覚的に操作を行っていることもしばしばで、中々言語化して伝えるというのが難しいのである。しかし当書は、”見て盗む”ような細かなテクニックまで、多くの図を使ってきめ細やかに解説してくれる。もしこの本を読破すれば、かなりの実験知識が得られるだろう。
購入
B3の時に新品で購入した。周りにおいつくためこれで必死に勉強していた記憶がある。
参考サイト
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