ロシアとドイツを結ぶ海底天然ガスパイプライン・ノルドストリームが爆破されたことに関する考察

2022年9月26日にロシアの天然ガスをドイツに送っている天然ガスパイプラインであるノルドストリーム1とノルドストリーム2の3か所が爆発した。
3か所が同時に爆発したことから、明らかに自然による爆発ではなく、何者かによる破壊工作が行われたとみられている。

ドイツはエネルギー資源のほとんどをロシアに頼っていた。
しかも、ドイツは第二次世界大戦のときにロシアと全面的に戦争した国だ。
ドイツは最終的にはアメリカに負けたのか、ロシアに負けたのか、アメリカ、イギリス、ロシアなどの連合軍に負けたのか、そのどれともいえるわけだが、そんなロシアにエネルギー資源の供給を頼るというのはとても不思議だ。

ドイツがほぼロシア一国にエネルギー資源を頼ることが危険であることは、ずいぶん前からいろんなところで指摘されており、特に近年では米トランプ大統領が独メルケル首相に「ロシアにエネルギー資源のほとんどを頼っていて、もしロシアとの関係が不安定になったらどうするのだ」と指摘された際にも関わらず、メルケルは笑って何も答えなかったという。

エネルギー資源をどこの国から供給するのかというのは、安全保障上の最も重要な問題だ。
日本が大東亜戦争/第二次世界大戦に踏み切った最大の原因がエネルギー資源のほとんどをアメリカに依存しており、そのアメリカからエネルギー資源の供給を止められたからだ。
その反省があり、日本は戦後、エネルギー源の供給先をできる限り分散させることを努力した。
外交音痴で無能な政治家・官僚が目白押しの日本でさえ、分散しているのである。

日本に出来てドイツに出来ないはずがない。
エネルギー供給源を分散しない危険性をドイツが把握していないはずはない。
では、何故ドイツはエネルギー供給源を分散していないのか。

もっともらしい理由は「ロシアのエネルギー資源が安いから、近いから、便利だから」というのが考えられるが、ロシアという国の脅威を考えれば、「世界トップレベルの強くて怖いヤクザから超重要なエネルギー資源のほぼすべてを依存する」というのは狂気の沙汰でしかない。
安全ほど一度失ったら高くつくものはないのに、何故ドイツはそこまでして危険を冒してきたのかについての説明が必要だ。

何故ドイツはそのような状態になっていたのか、それは「そのように仕向けられてきたから」だと考えるのが素直ではないかと思う。
ドイツという世界トップレベルの超経済大国が首元にナイフを突きつけられた状態を続けるには必ず理由があると考えるのがインテリジェンスの常識だ。

そして今回、ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプラインが致命的に破壊されたのだ。
それまでは、ドイツがロシアを経済制裁したことによって同パイプラインの使用が中止していただけである。
だが、今回の爆破によって、同パイプラインの使用がほぼ不可能になったということになり、ドイツはロシアからのガスの供給が事実上、非常に困難になったといえよう。
そう考えれば、どういった勢力が何の目的で破壊したかが見えてくるのである。

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