アメリカにおける中絶問題の過去の経緯と現在の更なる複雑な背景

アメリカでは歴史的に宗教的な問題から中絶に対する議論はとてもデリケートな問題であり続けた。
しかも、とてもデリケートな問題であるにも関わらず、政治家に対しても「中絶について賛成か、反対か」という質問を求められてきた。

通常、複雑な問題について回答する場合には、どういう条件なら賛成だとか、反対だと言った回答をしないと誤解を生みかねないものだ。
だが、アメリカでは大抵、「中絶に賛成か、反対か?」という単純な質問が投げかけられ、それに対する回答の如何によって、人々の分断が行われてきた。

一般的に、伝統的なアメリカ人は宗教的な理由から「中絶は反対」と主張してきた。
一方で、都会で働く女性を中心に、「中絶をするか否かは女性として選択する権利として与えられるべきだ」と主張する者も多かった。

「中絶によって胎児の命を奪うのは胎児の人権を侵害している」と言われれば、反対しない人はほぼいないだろう。
一方で、「望まない妊娠をしてしまう女性もいる。男性は妊娠することがない一方で、女性は妊娠して産むか否かの決断を迫られる。そのような問題に男性は向き合ってもいないにも関わらず、女性から一方的に中絶をする権利を奪うのは不当だ。」という意見があり、正に的を得た主張だ。

「胎児は既に人間と同等なのだから、胎児を殺すのは人殺しだ」というのも間違っていないし、「強姦などによって、望まない妊娠をした場合も中絶を認められないのは女性の人権を侵害している」というのも間違っていない。
まさにこれがアメリカで中絶問題をややこしくしてきた所以である。

だが、そもそもアメリカでは日本と同じように妊娠3~4か月の早期であれば、広く中絶が認められているし、「中絶禁止」と言われているのはそれ以降の胎児の中絶であることが多い。
つまり、アメリカにおける「中絶禁止」は日本における「中絶可能期間を過ぎた期間における中絶禁止」と同じことであり、日本の基準で見れば、アメリカにおいても広く日本に近い中絶の権利が認められていることもあるのだ。

そんな中で、アメリカの左翼リベラル派である民主党は一貫して「中絶は女性の権利の為に必要な権利だ」と主張して来たわけだが、最近、彼らが徐々に本性を現してきた。
つまり、アメリカの左翼リベラル派たちは中絶の権利を主張する目的として、実は「女性の権利のため」ではなく、「胎児を殺す口実を作るために中絶を合法化させたい」だけであったことがわかってきたのだ。

最近、悪魔崇拝寺院は米ニューヨークに「宗教的中絶クリニック」という名の施設を開設したと公開した。
この施設の目的は「母親が胎児の命を絶つための道を拡大して中絶儀式を提供する」とし、「胎児の命を絶つときに生じる不要な感情を追い払うための保護の儀式を行う」と説明している。

このようにアメリカでは「中絶は胎児の命を絶つために禁止すべきか、母親の中絶する権利を守るべきか」という議論が続いてきたわけだが、近時では中絶する権利を主張するリベラル派は「胎児を殺す権利を与えろ」と直接的な主張をするようになり、「実は女性の中絶する権利を主張していたのではなく、胎児を殺すという野望を達成するためのものであった」ことがわかってきている。

しかも、左翼リベラルが支配する地域では、母親のお腹の中から生まれてすぐの子供も「未だ胎児である」と主張して、出産したと同時に殺すことも合法としている。
日本人の感覚からすると、「そんなのは中絶ではなく、単なる赤ちゃんを殺している殺人行為だ」と思うと思うが、アメリカでは左翼リベラルによって、そのようなことが行われているのである。

中絶するという選択肢を得たいという女性たちは悪魔崇拝者たちに利用されているというのが、現在のアメリカにおける中絶問題なのだ。
そのような悪魔崇拝者たちの悪しき野望と陰謀が存在するため、より「中絶反対派」の愛国保守派たちは強く「中絶反対」を訴えるのだが、悪魔崇拝者たちの野望に気付かない多くの若いリベラル系の女性たちは「中絶する権利が奪われようとしている」という感情が強くなっている。

アメリカにおける中絶問題はざっくり説明すると以上のような状態なのだが、問題の複雑さ、根の深さ、命をどう考えるかという難しい問題であることがわかってもらえるかと思う。
しかし、そのような問題でさえ、左翼リベラルによって武器として利用されているという現実もあるのである。


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