ドナルド・トランプがNY州地方裁判所に出頭、開示された起訴状内容の異常さ

ドナルド・トランプが2023年4月4日にアメリカのニューヨーク州地方裁判所に出頭し、正式に逮捕された。
トランプを起訴したニューヨーク州地方検察から提示された起訴状には「34のビジネス記録の改ざんに関する重罪」とされた。

だが、単なる「ビジネス記録の改ざん」だけでは刑が軽すぎるために起訴できない。
そこで、「他の犯罪を隠すためにビジネス記録を改ざんした」とされているのだが、その「他の犯罪」が何かが起訴状には一切記載されていなかった。

通常、起訴状というのは、国民に刑罰権を行使するという重大な権利侵害を行うという性質上、どういう犯罪を犯した疑いがあるのかというのが明確に示されなければならないということが憲法で示されている。
にもかかわらず、今回のトランプに対する起訴状は「何の犯罪を隠すためにビジネス記録を改ざんしたのかは明らかにしない」という内容であった。

トランプに対する起訴状の一部

https://thehill.com/wp-content/uploads/sites/2/2023/04/Donald-J.-Trump-Indictment.pdf


では、「ビジネス記録の改ざん」というのはどういうものか、実際に2016年のアメリカ大統領選挙をトランプと戦ったヒラリー・クリントンが行った「ビジネス記録の改ざん」の例を見ていこう。
ヒラリーは当時、ヒラリーの対立候補であるトランプに対してロシアゲート疑惑を捏造するために約一億円相当の費用をFusion GPSに支払って調査を行っていたのだが(いわゆるSteel文書)、これを顧問弁護士に対して支払っていたことを理由に「法律相談費用」として計上していた。
だが、これは正確にはトランプという対立候補に対する調査費用と報告するのが正しいとして「法律相談費用」ではなく「対立候補調査費用」として「ビジネス記録が修正」された。
このような「ビジネス記録の修正」を「ビジネス記録の改ざん」として、トランプは起訴されている。
なお、ヒラリーの「ビジネス記録の改ざん」はショボい事件として不起訴とされているが、何故かトランプは起訴されている。
刑事裁判手続きというのは公平でなければならないのだから、このような内容でトランプが逮捕・起訴されるならば、ヒラリーも逮捕・起訴されるべきではないだろうか?

今回のトランプ逮捕劇により、多くのアメリカ人は「トランプ逮捕は単なる民主党による政治的弾圧だ」としており、ある調査では無党派層の約75%が「今回のトランプ逮捕は政治的に不当な逮捕だ」と答えているようだ。

エルサルバドルの大統領は「アメリカは今後、外交の上で『民主主義』を唱えることは不可能になった」と答えていることは注目に値するだろう。

しかも、裁判というものは公平公正かつ迅速に行われることが原則であるにも関わらず、トランプは次回の裁判所によるヒアリングは2023年12月4日とされた。
通常の裁判手続きでは次回のヒアリングは1か月後の2023年5月頃となるはずだが、何故か8か月後の2023年12月4日とされており、明らかな時間稼ぎに使われている。

トランプは2023年4月4日の同日中にフロリダからニューヨークに飛び、ニューヨーク州の裁判所でヒアリングを受け、そのままフロリダに帰ってから演説を行った。
そこでトランプは、「まさかアメリカでこんな愚かなことが起こるとは思ってもいなかった。自分が大統領選挙に出ると宣言したその日からスパイされる対象となり、私や私の周りに様々な攻撃が行われ続けてきた。それに対して、民主党バイデン政権は明らかな数多くの凶悪犯罪をしているにも関わらず、一切刑事的な追及がされていない。このままいくとアメリカという国は地獄に落ちてしまう。不正選挙も公然と行われており、アメリカは第三国に落ちぶれてしまったのだ。第45代大統領の私は起訴され、私は全て無罪であることを主張した。その私に対して『罪を認めれば90日間の監禁で済ませてやる。罪を認めなければ10年以上の禁固の刑に処するぞ!』と脅してきたのだ。話にならない!本当に私は不当に扱われているのだ。まるでアメリカはソビエト連邦共産主義国のようだ。アメリカの捜査機関と司法はアメリカを破壊しようとしているのだ。」と語った。


結局、トランプはニューヨーク州地方裁判所に赴いたものの、トランプを逮捕しようとする罪状の具体的は明らかにされなかった。
現在のところは罪が確定したわけではなく、逮捕はされていない。
だが、通常の民主主義国の手続きが行われなくなった捜査機関と司法行政はどのような暴走をするかはわからない。

以上のように、トランプに対する不当逮捕の実態は、①逮捕理由を不当に隠蔽した不当逮捕、②不当に刑事手続きを長引かせる不法手続、ということを通じ、2024年アメリカ大統領選挙に向けた不当な政治工作であることがわかる。
バイデン民主党政権は、民主主義の手続きをあからさまに大きく逸脱してでも政敵トランプを弾圧しなければ、自らの生命を維持できないと認識し、断末魔をあげ続けているようにしか見えない。
非民主主義国に成り下がったアメリカ民主党の政権運営の末路に今後も注目である。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?