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読書感想- 猪瀬直樹著 『公(おおやけ)』

グーテンターク!みなさんこんにちは!今日はいつもと違い読書感想です。私はイギリスとドイツで1年交換留学を経験し、欧州に憧れ、縁あってドイツに落ち着いてから20年近くたちますが、日本の外に出るからこそ、日本を知る必要性を感じてきました。日本人としてのアイデンティティと向き合わざるを得ないからです。特に近現代史です。日本の歴史教育は時代を切り離して教えるばかりか、近現代を疎かにするので自分で学ぶしかなく単なるイデオロギーの話にならない本質に迫る猪瀬直樹さんの作品群はずっと読んできました。

出されている作品は全部好きですが特に好きものをいくつかあげると『ペルソナ 三島由紀夫伝』や『昭和16年夏の敗戦』『土地の神話』、『道路の権力』です。

そんな猪瀬さんが作家の集大成として出されたのが猪瀬直樹著 公〈おおやけ〉 日本国・意思決定のマネジメントを問う (NewsPicksパブリッシング) です。

昨日読み終えて猪瀬作品の総決算としてとても読み応えありました。まさに日本国の研究の仕上げといえる作品です。猪瀬さん自身が公を強く意識しながら人生を歩まれてきた自伝でもあります。

コロナ禍の中で日本政府の意思決定はなぜあのようにグダグダになるのか、首尾一貫ではなくときに不可解にすら見えるのか。ヒントは日本の近現代史にあり、猪瀬さんは最近の事例を分析されていますが、これまで書かれた作品でも様々な切り口で日本国の本質的な課題を探ってこられました。

そこに行政改革の実行者としての問題意識や成果を加えてまさに猪瀬さんの人生を振り返りつつたどり着かれたのが、日本国の意思決定マネジメントの本質を理解する鍵としての「公(おおやけ)」という概念です。

これは「私(わたくし)」のみ追求してきた現代日本人への強烈な問題提起であり、本質に目を向けるためのヒントであると感じました。

ドイツに住んでいるものとして特に注目していただきたい点は、猪瀬さんがドイツのモニカ・グリュッタース 文化大臣の言葉を引用し、「公」の説明とされていること。その部分を引用します。


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“ドイツのグリュッタース文化大臣がアーティストやクリエイターを「生命維持のために不可欠な存在」と言い切って、真っ先に給付金を支給したところに「公」の意味のヒントがあることを示したい。 「ほんの少し前まで想像だにしなかったこの歴史的状況において、我われの民主主義社会は独自で多様な文化および(独自で多様な)メディア界を必要としている。クリエイティブな人びとのクリエイティブな勇気が危機を乗り越える力になる。我われが未来のためによいものを創造するあらゆる機会をつかむべきだ。アーティストは不可欠な存在であるだけでなく、いままさに生命維持に必要な存在なのだ」”

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大臣発言全文はこちら、lebenswichtig生命維持に必要なという部分はここから。

Deshalb gilt: Künstlerinnen und Künstler sind gerade jetzt nicht nur unverzichtbar, sondern geradezu lebenswichtig.“ 

これからの時代を生き抜くためにはクリエイティブの自分なりの定義が出来るようにならねばと本書を読んで強く思います。あとマスメディア(特に新聞とテレビと電通) はもうダメだなとも。

それでは

最後まで読んでいただきありがとうございました!

Bis dann! Tschüss! 

ビスダン、チュース!(ではまた〜)😊






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