見出し画像

日々読み #24

4/11 晴れ
今日も一回り年上のご近所さんの話を思い出していた。
捉え方一つで感じ方とか、受け取り方が変わる。
それをご近所さんは音楽で例えて教えてくれたけど、僕はケアに身を置いている時間の方が長いから、ケアに引き付けて考えてみた。
高齢の方の話って異様に前置きが長かったり、話の途中で話が切り替わったり、主観と客観が入り混じったり、主語が抜けて誰の話なのかわからなくなったりする。同年代の人と話をするのとは少し違って、正直捉えにくいところがある。捉えにくい話を拾っていくのは大変だけど、それは一種の捉えにくい音楽を聴いてるとしたらどうだろう。そうしたら捉えにくい話も前衛的な音楽に生まれ変わる。
そうやって捉えることができたら、ただの捉えにくい話から少しポジティブなものに切り替わる。
言葉が僕を生きやすくしてくれるそんな感覚だ。


4/12 晴れ

ケアをしていると相手に腹が立つこともある。
なんでこの人はわかってくれないんだろう、こんなに丁寧なケアをしているのにつねってきたり、怒ってきたり、なんのためにやっているんだろう、イライラするなあと思うことがある。僕らも人間だから少しはそんな気持ちになってしまう時もある。

それでも僕は暴力を手段を使うことはないし、使ってしまったら僕らのいる意味は無くなってしまうと思っている。それでも介護施設での暴力事件とかは地続きで決して他人事ではないと思っている。
僕は暴力という手段を使わないけれど、代わりに言葉で捉え方を変えて、感情の高まりを溶かしていくということはしている。
例えば自分に対して攻撃的な人がいたとして、なぜそういう振る舞いや行動をしてくるのだろうかと前提を考えると案外落ち着けるものだったりする。

その人もこのタイミングではないとか、やってほしいのはそうじゃないとか、やり場のない思いがどうしようもないとか、そういう行動の前に起きる感情があるはずなのだ。それを探すことに一生懸命になっていると、怒りはいつのまにかどこかへいってしまう。
むしろそうやって考えることでよりその人と真正面からも向き合う気持ちが生まれてくる。
このことに気づけたあたりからケアがしやすくなった。
これはケアだけではないことだと思う。
その人の行動が起きるその前の感情に目を向けよう。そしたらみんながみんな人に優しくなれるのではないだろうか。


4/13 晴れ

昨日は数ヶ月風呂に入っていない人の入浴介助をした。
入るまではめんどくさいから入らないと言っていたけど、実際に入ると気持ちよさそうにしている。今日は入浴剤を使ったから余計に気持ちよさそうだ。
なんだか千と千尋の神隠しに薬湯で神様を綺麗にするシーンがあったなあと少し愉快な気分になった。
お風呂が持つ癒しの力は侮れない。
ーーー
ケアの場面で人の話を聞くことはかなり多い。
そして時に、この人の考えは自分の考えと全く合わないなあと思う場面に出会うことは多い。
看護師になってすぐの頃、自分とは考えが全く違う患者さんがいた。
その人の考え方はあまりにも息苦しいもので、自分の考え方で自分の生きづらさを積み上げていっているような人だった。
その人をなんとかしてあげたかったし、もっと楽に生きて欲しかったから、その人の話を否定したくなった。

もし僕がその人の話をうんうんと頷いて聞いてしまったら、その人の息苦しい考え方を肯定してしまったり、その人の考えがそのまま自分の中に入ってきてしまって自分が引きづられてしまうのではないかと思い悩んでいた。

でもある時人にはその言葉に至るまでの感情がある。
ということに気づいた。


4/14 晴れ

「声にならない声を聴く」、「ないがしろにされている声に耳を傾ける。」どちらもケアの本質なのだろう。
ケアとはと問われればこの二つの答えはかぎりなく答えに近いものだと思う。前者の言葉は学生の頃から知っていた言葉だったが、最近は言葉の重みを、感じれるようになってきた。どちらも作業の途中のような文体に気づく。それは多分ケアは一生わからないことの連続だからなのかもしれない。

そもそも見えなくなっている声の存在に気づくところからケアは始まるのだと思った。そのためには想像力が必要なのだろうと思う。配慮や優しさは想像力がないとできない。相手のことを想像してみる。
今日はそれを徹底してみようかな。
ある人は想像力を鍛えるには小説を読みなさいと言っていた。


4/15 雨

今日は雨だ。妻は仕事が重なっているようで、土日を返上して仕事している。今年独立したばかりなのに、ちゃんと仕事をもらって自分のやりかたで仕事を進めていく妻に驚かされる。
独立したら全て自分に返ってくる。やったことも、やらなきゃいけないことも、嬉しいことも、嫌なことも全部。それをひっくるめて彼女は自分でやっていくことを決めた。本当にすごい。僕も負けないようにしなければ。

4/16 晴れ

今日は少しだけ早めに起きて、パンケーキを食べた。
メイプルシロップが家になかったから、はちみつとバター、余っていたあんこをのせて、コーヒーと食べた。
組み合わせが楽しい。

そのあとは掃除をした。2人で住み始めて1年経ったからかお互い掃除の手順が頭に入っていて、自然に息が合って掃除ができるようになっていることに気づいた。
2人で住むことが板についてきたのだと思えて嬉しかった。この先も混じり合ってお互いに変化していくのだと考えると面白い。この先の2人のかたちも楽しみだ。


4/17 晴れ

今日は仕事の熱量が高い人と話した。
こんなに熱い人はなかなか居ないなと思った。
少し熱すぎるくらいだったけれど、仕事へ真摯に向き合う気持ちや姿勢が清々しくて不思議と嫌な感じがしなかった。よく漫画である優しい炎みたいな感じなのかな。
僕はこういう人が少し苦手なのだけれど、少しだけそっちの世界も見てみたくなった。
また新しい刺激が加わる。またチームの中で自分の在り方が変化してくる。その変化の中で自分をまた更新していく。出会った出来事や人から栄養を得て、また成長していこう。
半年後は少し暑苦しくなっている自分になっている可能性がある。まずはチューニングから始めてみよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?