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日々読み #17


2/20 晴れ

今日は休みだった。
昨日も休みだったけれど、看取りもあってオンコールがなかなかにハードだったから休んだ気はしない。
むしろ疲労感は日勤の後よりも大きい気がする。

今日を休みにしてくれて、ありがたい限りだ。
今日は妻と近くを散歩して、駅の近くでランチを食べた。妻は意識してか、意識せずか定かではないがいつもより日常を意識して接してくれているような気がした。そのおかげもあって少しさかだった心が和んでいく感じがした。妻には感謝だ、
ランチは肉まんの旨い中華屋さんの店主が作るボロネーゼパスタとサラダだった。
中華屋さんの作るボロネーゼは、うどんとパスタの間、ごろごろ具材の肉まんの餡とボロネーゼの間みたいな組み合わせで、美味しかった。
麺は正方形の断面をしていて歯応えは面白かったが、ボロネーゼとは相性が良くなかった気がする。
パスタというよりもむしろスープ系に合いそう。

この中華感のあるソースに合わせるならむしろ平打ちのフェットチーネ的な麺の方が良いかもしれない。
それでも料理にしっかりとした知識と遊び心が散りばめられていて、楽しい料理だった。
サラダのソースもどばどばかけるような味付けのものではなくて、豆類や芋類にさっと味付けがされていて、食べていてくどくない。ときおりハーブの香りもして、最後まで美味しいサラダだった。

ボロネーゼ一つ、サラダ一つ取ってみても、あれこれ考えて、遊ぶことができるのだ。
そういう当たり前のことをまた忘れかけていた。

日々の暮らしの中での実験的な視点はよりよく、そして楽しく生きるための秘訣なのかもしれない。

これからも目の前に起こることを集中して捕まえて、眺めたり、味わったり、感じたり、あらゆる感性を総動員して、対峙する。そうすれば明日また楽しく生きるためのエッセンスが見つかるかもしれない。
明日からもまた頑張ろう。
仕事も暮らしもまだ遊ぶ余地は残されているはずなのだから。


2/21晴れ

今日は朝晩と冷え込んだが、日中は車内にいると暑いくらい暖かかった。街を見渡すといつのまにか椿や梅、菜の花が咲いていて、春がもう到来していた。

庭に植えてある梅の木が何よりも好きだというその人は、僕を見て「私はこの梅が咲く日がわかるのよ」と自慢げに言った。
何時ごろ咲きますかと聞くと、
「そうねえ、この感じだと来週の火曜日ね」と探偵さながらの顔を浮かべて教えてくれた。

そういえば、先週も来週の火曜日咲くと言われたっけ。
つぼみは着実に大きくなり、ピンクに色づき始めている。
来週の火曜日には咲きそうだ。

【今日採集した言葉】
「今日は寒いからねえ、手がはにかんじゃって、たいへんよー」

「太陽って誰が作ったんだろうね、
時間帯で決めてね、こうして、あったかくねえ、律儀よねえ」


2/22 晴れ

毎週、入浴介助をしているお風呂好きの人から
「給湯器が壊れたからお湯が出ない。」と連絡があった。
少し寂しそうな声だった。
お湯が出ないから浴室でお風呂は入れないけれど、お湯が沸かせるのであれば髪を洗ったり、体を拭いたりすることはできることを伝えた。
最初はそこまでしなくていいとのことだったが、試しに一回どうですかと聞いてみたら「それじゃあ、やってもらおうかな」と。

ケリーパッドというベッドに寝たまま髪が洗える福祉用具を持って、訪問した。

シャワーほど水圧は強くないけれど、シャンプーを使ってゴシゴシできて、暖かなお湯で流せるというのは
案外気持ちがいいのだ。シャワーの水圧はできない代わりにヘッドスパもやってみる。みるみる顔が溶けていくのがわかった。

あの顔を見れて、今日はいい日だった。
人に喜ばれるというのは嬉しいものだね。


2/23 晴れ

今日は早めに仕事を終えて、妻と図書館に行って、それから少し散歩して喫茶店へ向かった。
初めての喫茶店だったけれど、少し小さめな店内は清潔感と静けさに包まれていて、店主の人柄がわかるようだった。店内には数名すでに客が入っていたが、みんなお店の空気感に合わせて静かに過ごしている。僕らも注文を終えて、席に座るが少し静かに過ごす。別に話したければ話せばいいのだろうけど、みんな他の人の時間を考えて、みんなで心地よく過ごせるようになんとなく気を使う。そんな感じでみんなでいい空気を作っている喫茶店だった。

巷にはいろんな喫茶店がある。がやがや話せたり、自由にできたりする喫茶店など。それらの喫茶店の良さもあるが、僕は店主、客のそれぞれが空気感を共有するような喫茶店が好きだ。
喫茶店でくつろいでいる時もある程度他者をお互いがお互いに優しい気遣いができるそんな空間が僕は好きなのだ。そんな喫茶店をこれからもたくさん見つけていきたい。


2/24 くもりのち雨

今日はぐずぐずの天気だった。
今日はオンラインで面談があったけれど、それもぐずぐずな内容でなんだかぐずぐずだった。いい日ばかりではない。そりゃ、ぐずぐずな日もあるよなあと思った。
それでも今日もちゃんと自分の仕事をして、一日を終えた。ぐずぐずな中でもやりきったところはある。

ところで先日図書館で借りてきた本は、写真や美術関係の本だったのだけれど、どれもいい本ばかりで読むのが楽しみだ。
週末はぐずぐずではなく、是非いい週末を送りたい。


2/25 晴れ

久しぶりに何もない休日。朝はゆっくり起きて、コーヒーとシナモンロール、バナナチョコプロテインジュースで朝食にした。
そのあとは妻といっしょに本気の掃除をした。
大きな役割分担を決めて一斉にやる。スポーツさながら、我が家恒例の掃除は熱量が違う。
掃除がはじまる前は嫌だなあとか思ってしまうけれど、終わった後の達成感だったり、爽快感のような充実感はたまらない。 
掃除の後は窓から入ってくる風が段違いに心地がいい気がする。
そして外の空気は1週間前より春の成分が濃くなった気がする。妻のくしゃみを見ていると花粉の含有量も増えているのだろう。

お昼はスパイスカレーとも迷ったが、さくっとたらこクリームパスタを。午後は横浜に。

夜は近くのポルトガル料理屋さんで夕飯を食べることにした。緑ワイン、チーズ3種、ラムのソーセージ、ポルトガル定番の小さなコロッケ、魚介たっぷりリゾット、食後にはエッグタルト、コーヒーでお腹も心も満たった。お酒もワインを緑、白、赤と楽しんで久しぶりにアルコールでゆるまった。

アルコールでゆるまる感覚はそこそこ好きでたまには是非飲みたいと思うけれど、やっぱりたまにでいいなあという気持ちも同時に感じた。インスタを見るとナチュールワインを5〜6本飲み比べなんてことをしている人がいるが、正直すごい体力だなあと関心してしまう。今では適度な距離は取っておきたいというのだろうか、そんな気持ちだ。昔はたらふく飲んで気持ち悪くなってもまた飲みたくなっていたのにな。


2/26 晴れ

今日は午前から山の手入れへ出かけた。
切り倒したスギの木からできた丸太を山から運び出して、薪にするという仕事だった。
見た目は大きめ白菜ぐらいの丸太でも持ってみるとずっしりと重たい。見た目以上に重たい丸太を見てみると年輪がしっかり刻まれていた。
調べてみるとスギは30cmくらいの丸太になるには軽く50年ほど必要なようだ。
近くにはもっと太いスギが生えていたからスギにすれば若者なのだろうけれど、僕には十分年上だ。手に伝わる重みは時の蓄積が質量を与えているのかもと思えてくるほどであった。

それを担いで薪割り場に持っていく。薪割り場は300mほど離れた場所で、山を少し降ったところにある。前半は運び出しだけで終わったが、担いで下る、また戻るの作業は運動不足の身にはひどく堪えた。

ふとなんのためにやっているんだっけ?と思ってしまうほどしんどかったが、普段から山を散歩したり、時には山の恵みをいただいたりしているのだから手入れをするのは当然だよなあと堂々巡りの思考が頭でぐるぐるした。
仕事を終えると大きな屋敷にみんなで腰掛けて、煎餅やお茶、コーヒーを囲んでわいわいした。
地域の方々が総出でやる山の手入れだからあらゆる世代が集まって、大きな大きな家族みたいでそういうことをしたことがない僕でもなんだか懐かしい感じがして、とても落ち着くし楽しかった。

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