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親ガチャとまでは言えないとしても。

「ママ、あのね、長女ちゃんたち、バッタに石ぶつけてたよ」

次女がこっそり私に教えてくれます。長女の方を見ると、仲の良い友達3人の円になって屈んで何やらしていました。

「ほんと?」

そう言って見にいくと、バッタは倒れ、付近には拳大ほどの石が3つ。

びっくりした私は「え!ちょっと!長女ちゃん、これ、知っているの?どういうこと!?」と声を荒げました。

長女とその隣に立っていた一つ下の子は、目をまんまるにして、口を半開きに私を見ています。

「どういうことか説明してくれる?」と話しかけると「石をぶつけてみようとはしたけど、私じゃない」「私でもないよ、私はやってない」と。

さらに話を聞いていくと、バッタに石をぶつけた子は、一緒に遊んでいたもう一人の子だそうです。しかし、自分達は直接石をぶつけていなかったとしても、それを傍で見ていたわけで、同じようなもの。

「なぜ止めなかったの?自分より小さな生き物は絶対虐めてはいけない。自分より小さい生き物を守りなさい」と二人に話し、次女も含めて、近くの野原に埋めました。

一部始終をもう一人の子も見ていましたが、近寄るわけでもなく、走り回っています。気にはなるのか、近くで走り回っていたので、長女に伝えるように聞こえる声で話します。

「みんなで手を合わせよう。もう2度としてはいけないよ。どうしても止められない時は、ママや他のママを呼びなさい」と。

すると、石をぶつけた本人がやってきて「石ぶつけたって、何にも怖くないよ。ナンマイダー」。

こう来たか。と、その子の母親の方を見ると、他のママ友との話に夢中でこちらを見てはいませんでした。

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『親ガチャ』。何かと話題になる言葉です。

親ガチャ(おやガチャ)は、日本のインターネットスラング。生まれもった容姿や能力、家庭環境によって人生が大きく左右されるという認識に立ち、「生まれてくる子供は親を選べない」ことを、スマホゲームの「ガチャ」 に例えている。
wiki

「親ガチャは甘えだ」という意見もあるようで。

しかし、『親ガチャ』とまではいえないにしても、親が作り出す環境や親の価値観によって、苦労するケースは多いにあります。

バッタに石をぶつけてしまった子のママに伝えるべきか伝えないべきか迷いました。本当は一部始終を見て、気がついてくれることを願っていましたが叶わず。

でも、長女や次女が小さい生き物を虐めたり、攻撃したりするのは寛容できません。

「ここは、私の価値観を通させてもらおう。もし意見されたら、親同士で話そう」と思い、「小さな生き物は虐めてはいけない。守るものだ」と4人に話しました。

話をした後も、石をぶつけた子は「はいはい、ナンマイダー」と本心か照れなのかわからない態度で終わりました。

加えてお友達のママにも、事の経緯を話し、「こういった話をしました。少し怖かったかもしれません。ごめんなさい」と、話すと一人のママは「ごめんなさい。構いません。むしろありがとうございます」と。もう一人のママは「まじで?ごめんねー。蟻とかも潰してて。やばいでしょー?笑」と。

価値観が合わないのは仕方ない。でも、きっと小さな生き物を虐めることを良いと思う人は少数派なのではないでしょうか。

家に帰り、もう一度娘たちと話します。きっと、口を半開きに目をまんまるにしていた子のママも話してくれたと思います。

もう一人の子はどうだったのか。

してはいけないこと・しない方がいいと思うことを真剣に話してもらえない子は、その行為をしてはいけないと認識することが難しいのではないかと思います。

これからしなくてもいい苦労をしてしまう可能性もあると思ったのです。

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私の両親も、一般的にルールとされていることやマナーがなっていないことをしっかりと教えてくれてはいたものの、子供が泣いたり駄々をこねたりする場面では、真剣に向き合ってくれないことがありました。

例えば、私の父親は家族間での挨拶をほとんどしません。小さかったこと、朝起きてから「おはよう」、寝る前に「おやすみ」をほとんどした記憶がありません。

他にも私が「あのおもちゃが欲しい!」と泣くと、宥めることに苦労すると、早く泣き止ませるためにすぐおもちゃを買ってくれました。

幼少期、どの家庭もそうだと思っていた私は、友達に挨拶する意味が理解できなかったり欲しかった物を持っている友達に向かって泣き叫んだりしていました。でも親が真剣に怒ってくれた覚えが残っていません(怒ってかもしれないけそ覚えていないのかも)。

駄々をこねれば欲しい物が手に入る、というのは、徐々に学んでいったものの、挨拶をする、というのは今でも意識しなければ忘れてしまうこともあります。

今、この年代になっていまだに「親が教えてくれなかったから、挨拶しなくちゃいけないことを知らなかった」とは言わないものの、小学生低学年のころは苦労した覚えがあります。

今思うのは、もう少しその辺しっかり教えてくれてたら、あの苦労はなかったのにな。と。

もちろん、自分で気が付く必要もあります。

でも小学生低学年。それどころじゃない。社会経験が少ない。気が付くまでにしなくてもいい苦労にもなり兼ねません。

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親ガチャとはまでは言えないにしても。

親の価値観が子どもの人生に影響を与えて、苦労することもあるということで。

最後まで読んで頂きありがとうございます!