頑張ろうっていうの、もうやめない？
この写真の状況、今現在(令和3年)30代の方なら、相当に詰んだ状況だと理解できると思う。
この10マス以上ある毒床は1マス踏むたびに
HPが10減る。
ちなみに今回のパーティーですが、HP欄が見えないのでアレなんですけれども、この毒床を何も対策せず踏み進めば、
確実に1体死にます。
もう2体もかなり重症を負う事になるのだが、あなたならどうしたい？
回復をしながら進みたいのか、それともゲームをリセットしようと考えるのか、毒床無効呪文をとなえノーダメージで行きたいのか、或いは丸腰で強行突破するか。
で、改めて質問なんですけど
全員がHP100のパーティーで、このダンジョンに入った場合、あなたは、このモンスター達に何を授け、どう行動させますか。
よーく考えてくださいね。
…皆さんね、色々考えがあると思うんですよ。
ベホマ(回復呪文)唱えながら行くとか、普通に回復道具使うとか、俺は必ずパーティーに毒床無効呪文覚えさせているから大丈夫とかね。
では更に。
コレが現実だったらどうしますか？
このパーティー達が我が子で、健常者五体満足状態がHP100。そして現実世界がこのダンジョン。プレイヤーが親だとしたら、このモンスター達、つまり子ども達に何を与え、どう育成するのかという話ですよ。
ゲームであれば
「このダンジョンにこのモンスター、うわー詰んだ！」とか言ってリセットすればいいのかも分からないけど、現実は
リセットできないからね。それ子殺しだから。
私たち親は、このダンジョンのように少なからず待ち受けている困難に打ち勝てるように、呪文覚えさせておいたり、体力つけさせたり、沢山道具持たせたりしたいはずなんですね。
そうしなければ、このパーティー同様、
皆死んでしまうから。
多分親という生き物の全員が全員、子には生きて欲しくて少しでも多くのものを与えたい。
皆そう考えていると思う。
でもそれを
全ての親が与えられるわけではないんですよ。
ゲームだから簡単にベホマ覚えさせられたり、なんならルーラの杖で高飛びも容易なんだけど、
現実はそんなんじゃねぇから。
本当は我が子をせめてベホマまでレベルアップしたかったけど、やむなくホイミ(ベホマの劣化版)状態でダンジョンに出さざるを得なかったとか、うちの子はじつはHPが50しかないとか、色々事情があるんですね。
また、うちの子は色々ダメダメだけど、とにかくルーラの杖とやくそうは大量に持たせたから、ダメならいつでも帰っておいで、とかもね。
親はみんなそれぞれ違う。戦い方も進め方もその親それぞれ。それを子どもは選べない。
このゲームがプレイヤーを選べないのと一緒で、
子どもは親を選べない。
いつだって、そう。
子どもの立場とはなにか。
このゲームの場合モンスター達が子どもたちであり、彼らは自らの授かりものに対して
選択権は一切ない。
毒床を丸腰で進まざるえなくても、それに抗うことは不可能。
そういった状況の子ども達に、頑張れってそこの大人のあなた、言えます？
私は言えないよ。絶対に言えない。
ちなみに私の親ガチャに対する考え方は
著名なこの方と全く同じ。(だから、もうこんなクソな文章読めるか！という方は、乙武さんの素敵な文章をお読みください)
親ガチャはきちんと存在して、世の中にはたくさんの幸せとたくさんの不幸が常に混在しているんですね。
だからびっくりしましたよ。
親の立場の方が、
親ガチャなんて嘆きすぎ。もっと世界を広く見て。前向きに頑張ろうって言っている方がまあまあいて。
もっと世界を広く見るべきなのは、頑張れというあなたの方ですよってね。
あのさ、虐待とか普通じゃないのは置いといて、なーんって言ってる人さ、
虐待なんてすごくありふれているからね。
そんなことないって？
よーくあなたの周りの子ども、もしくは自身の子ども時代をつぶさに振り返ってみてよ、恵まれたあなたとは全然違う環境だった子どもは、必ず近くにいるから。分かれよ、大人だろ？
私は恵まれていなかったけど頑張った。
HP100の丸腰からレベル上げして生きてきたんだから、親ガチャとか甘えたこと言ってんじゃねー！という方。
あなたみたいに強い方もいますけど、全員がそうじゃないですからね。
あとは、辛い状況を認められなくて、そのようにおっしゃる方もいるはずです。
そりゃそうですよ。私は親ガチャ大外れ負けましたなんて、辛くて認めたくないですよね。イコール俺は弱者と表明するようなものだから。
じゃあお前はどうなんだって？
私はモンスターとしてはHP100にも満たないかも知れない出来損ないでしたが、親ガチャは比較的当たりを引きました。
私にはマイノリティな側面があって「可哀想」なんて言われることも少なくなくて、その同情はちゃんと利用して生きてきましたし、なおかつ家庭は常に激しい怒鳴り合いが絶えず心理的虐待はあったけど、当たりを引いたと思ってますよ。
だって、食うに困らず学校にも行けたから。
だから、私はこの世のダンジョンを歩けるんですよ。こうして幸せに生きることができている。
それは親に経済力と、なんだかんだ酷いこと言われつつも応援はあったので、なんとかやって来れたわけです。
だからこそ感じるのです。
もし私の親が別の人だったら、こんなに人生豊かに歩めるのかってね。
そしてそれが親ガチャで全て決まってしまうなら、そんな悲しいことはないなとね。
今の子ども達が生きている日本って、かなり余裕がないんですよ。
今現在、経済的にかなり悲惨だから、割りを食っているのはいつも弱者。つまり子どもたち。
もう親ガチャでハズレを引いてしまったら、かなりどうしようもないんですよ。
だから社会で助けましょう。
親ガチャハズレを引いても、親以外の誰かが助けたらよいのだ。そうすれば親ガチャは大した問題ではなくなる。
親以外の誰かが、いつでもそのプレイに対して適切なアドバイスできたら、そもそもダンジョンに過剰な毒床がなくなれば、それだけで子どもは生きやすくなる。
それからね。
みんなレベルアップできる社会にしない？
間違ってもレベル15であのダンジョン行かせちゃうの、かなり危ういと思いますよ。
そういう事を、レベル30過ぎの大人があーだこーだ言わなきゃだめ。
ホイミとメラだけ覚えたひよっこが、こんなダンジョン進めるわけないんだから、そこ変えていきましょうよ。
それでも打ち勝て！という方。
普通に子どもが激減するから、あなたが健康でなくなった時助けてくれる人間が減り、いつかあなたに実害がきます。だれも助けてくれなくても、打ち勝てくださいね。
乙武さんは、親ガチャは当たりだけど、肉体ガチャは大外れだとおっしゃっている。
もし親ガチャも外れてしまったら、乙武さんは今生きていられるのだろうか。
あなたが親になったとしたら、五体不満足で産まれた乙武さんをきちんと育てることはできる？
つつみ隠さずに言いますが、私は自信ないですよ。
今いる子どもたちも見ながら、ひとりで風呂もトイレもいけないとおっしゃる乙武さんのお世話するのは、本当に無理ゲーです。
だから社会の助けがいるんですよ。
親ガチャはあります。
この先もずっとあります。
それは、誰一人同じ人間はいないから。
だからこそ親ガチャで受ける影響を少しでも小さくしなければならないのです。
みんなが薬草とルーラの杖をもって、ベホマやザオラル(生き返る呪文)だって覚えることができる社会を。
こうやればなんとか進めるよって時々親に変わってなんとかして、困難な親を助けたい。
で、冒頭に戻るけどさ、
授かり物(道具とか呪文とかそもそもおのれのHPとか)選べない状況で、冒頭のダンジョンに放り込まれたい？
道具なし呪文なしHP25とかも普通にあるからね。
これが現実だから。親ガチャってやつだから。
少なくとも私は、
無責任に頑張れという人間にはなりたくない。
だから今日も足掻いて足掻いて、ちっちゃなモンスター達とともにダンジョンを歩いている。
ゆっくり、ゆっくりとね。
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