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「カキフライ」と将棋

みなさん、おはようございます。
将棋ブロガーのいっくんです。


Noteを続けるにあたって意識しているのが
他人のNoteにも目を通すようにすることを意識しています。
自分の価値観では思いつかないような視点であったり言葉遣いを
取り入れながらこれからも自分のNoteの発信にも活用していきたいです。


今回は『カキフライ理論』について書いていきたいと思います。
これは、作家の村上春樹が提唱した考え方なのですが
自分は今までこれを知りませんでした。
村上春樹も名前だけ知っているくらいでした。
しかし、この考え方は色々な場面で応用できると考えているため今回Noteとして
発信したいと思います。

わからない方向けに簡単に紹介しますと、
村上春樹・柴田元幸の著作『翻訳夜話』(文藝春秋)で
村上春樹のところにきた質問に
「入社試験で原稿用紙三昧ぐらいで自分について書きなさい」という試験問題があって、
「そんなもの、原稿用紙三昧ぐらいで書けるわけない。村上さんならどうしますか」
という質問がありました。
ここで登場するのが「カキフライ理論」です。

…そういうとき、僕はいつも言うんだけど、「カキフライについて書きなさい」と。自分について書きなさいと言われたとき、自分について書くと煮つまっちゃうんですよ。煮つまって、そのままフリーズしかねない。だから、そういうときはカキフライについて書くんですよ。好きなものなら何でもいいんだけどね、コロッケでもメンチカツでも何でもいいんだけど…
村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』(文藝春秋)

社会人になってから、異業種の交流会に参加する機会が増え、自己紹介をする機会が増えたのですが
年齢や出身や仕事内容などを紹介することが本当に自己紹介となっているのかいつも疑問でした。
それは単なる情報であり「自己」を紹介しているようには感じることができなくていつももやもやを抱えていました。

村上春樹は質問に対して茶化しているのではありません。彼は続けます。

…僕が言いたいのは、カキフライについて書くことは、自分について書くことと同じなのね。自分とカキフライの間の距離を書くことによって、自分を表現できると思う。それには、語彙はそんなに必要じゃないんですよね。一番必要なのは、別の視点を持ってくること。それが文章を書くことには大事なことだと思うんですよね。
村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』(文藝春秋)

つまり、カキフライ(第三者)と自己との「距離」を描くことによって、物語が生まれる。
その物語が自己を紹介することにつながるのだと・・・

というわけで、将棋について書いていきたいと思います。
将棋を始めて9年。
村上春樹でいうカキフライが自分にとっての将棋なわけですが
自分が将棋が好きな点は2つあげるとするなら

①自分の個性を表現できる。

②努力が結果となって現れる。

です。

①『棋は対話なり』とはよく言いますが、将棋はコミュニケーションの要素がとてもつよいです。
将棋で交わす言葉は、
対局開始の「お願いします」
投了するときの「負けました」
終了するときの「ありがとうございました」
くらいですが、対局者は自分の価値観を81のマスに全力に投影します。
序盤は「定石」と言われる最善のとされる決まった指し方があるのですが
最初から最後まで全部同じ指し手の将棋を私はみたことがありません。
その分だけ指す人の価値観が現れていることを意味しています。
何回も対局をしている相手となると、
「将棋の最善手はAだけど、この人は受けに手厚い棋風だからBという手をしてくるだろう。」
と予想できるようにもなってきて、それがまた面白いところでもあります。

②将棋は基本的に運の要素がない競技です
「基本的」にと書いたのは振り駒による先後の決定や(先手の方が若干勝ちやすいと言われている)
実践中の対局真理があったりするからですが、ほとんどは実力がほとんど勝敗に直結にします。
そこでは自分が努力したらその分だけ、レーティングという形で自分の実力を客観的に知ることができます。
将棋界で努力という言葉を聞いたら、
大方の人が現在「王座」「叡王」を保持している永瀬拓矢2冠を連想するのではないでしょうか。
揮毫する扇子の文字に
「不倒」「根性」
などを選んでいることからも永瀬2冠の将棋に対する思いを知ることができます。

数年はかかりましたが、将棋の駒を覚えるのに精一杯だった田舎中学生が、
アマチュア三段になれたのは自分の努力の結果であり将棋以外に取り組む際にも自分の自信にも繋がっています。

単に「自己」を紹介するのには苦労したのに、「他者」を紹介するとこんな筆が乗るのはとても
画期的なことでした。
次交流会に行くときは将棋の話をしてみようっと。
将棋界の回し者と思われてしまうかもしれませんが(笑)

第三者と自己の「距離」を描く=他者を紹介することで自己を紹介する「カキフライ理論」
色々なことに応用できると思いますので皆さんも是非活用してみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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