2018年12月30日(日)

朝6時くらいに一旦目が覚めて何となく眠れずまた久方ぶりに家から一歩も出ずに過ごせる一日でいつ昼寝しても構わないという余裕があったから無理に寝付こうとせずYahoo!ニュースをぼんやり見ていた、ガムの市場が決定的な要因がないにも拘らず落ち込んでいるようだった、個人的には毎日オフィスグリコでだいたい昼過ぎに買って14粒を2時間くらいで食い尽くすという日々を送っているから低迷していることに違和感があった、書籍も同じことが言えて個人的な購入量と市場規模は反比例しているようだった、だからどうしたという話だった。"!"の後はスペースを挿入するのが散文における一応のルールとなっているらしいのだが【Yahoo!】と舞城王太郎の小説においてはそのルールを免れるとのことだった。

それで舞城王太郎の【されど私の可愛い檸檬】がベッドの横に落ちていたから拾おうとしたが手に取られたのは長嶋有の【私に付け足されるもの】だった、所収の【Mr.セメントによろしく】のなかで「プラモデルの箱をふわっと開けた」というのがすごくて、確かに(特にミニ四駆とか入ってるタミヤの)プラモデルの箱は「ふわっと」開けられるし、「ふわっと」開けられる箱はプラモデルの箱以外にはないのではないか、蓋を取るというよりは底がふわっと落ちて行く感覚、そこにばっちり「ふわっと」という感触を差し込めるのが敏感だった。

久方ぶりに家から一歩も出ずに過ごせる一日ではあったが家から出て過ごしても構わない日なので外に出て市ヶ谷などで諸々やって戻って漫画を二冊買った、瀬野反人の【ヘテロゲニア リンギスティコ〜異種族言語学入門〜】と澤江ポンプの【パンダ探偵社】だった、前者は異世界異種族異文化の生活の細部を構築する想像力と多和田葉子的な言語・翻訳に対する具な考察がとても良くて言葉が通じる不思議さを思わずにはいられなかった、あとススキがしっかり漫画的可愛らしさを保っていてこのキャラ配置が漫画としての読みやすさを担保していて、ともすれば難解な言語学的考察に傾倒した内容ばかりになるところを食い止めている素晴らしい按配に思われた。後者はちょっと細くて歪んだ手書き感のある線で描かれている絵も、本来ならばそこそこシリアスな内容であるにもかかわらずベースとしては湿っぽくなりすぎずに柔らかい雰囲気が保たれているところも、変身病という人間が徐々に動物に変化していくというまあありがちな発想だけれどもそこに留まらず人間的な自我云々とその裏に潜む動物化による恩恵の描き方、また動物化が進行する際の絵的な演出の妙もよくてかなり好みの漫画だった、2018年ベスト級、今年読み始めた漫画家という括りではベストかもしれない。

結局忙しくて競輪グランプリに賭けることはできなかった、脇本が最後の最後に踏み切れず3着にも入れなかったのは意外だったし車券を買ったところで確実に外していた、脇本三谷も脇本浅井も買っていたかもしれないが三谷浅井は多分買えなかった。
#日記 #エッセイ #小説 #創作

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