Xジェンダーについて語らせて 第3回 性自認

Xジェンダーの話をつらつら書くにあたって、これが前提になるんじゃないのという大事な項目をすっ飛ばしておりました(笑)
そもそも、Xジェンダーの人って具体的に、自分のことどう思ってるの、ってところ。

自分が身体の性別である「女性」として扱われることに違和感を覚えたのは、3~4歳のころ。
実家にあるアルバムを見返すと分かるのですが、2歳くらいまでは自分の意思というものがまだ芽生えていなかったので、赤いスカートや赤い靴をバンバン履いてます。
それが少し大人になって、自分の個性に気づいていくにつれて、「あ、これちがう」と認識していった記憶があります。
親戚から「○○ちゃん」と「ちゃん」付けで呼ばれることも、「ちがう~~~」って思ってました。
今は大人になったので、「ちゃん」付けで呼ばれても受け入れられますけどね。

子どもの頃は髪が長くて、保育園に行く前に母親に髪を結ってもらっていたのですが、鏡に映る自分を見て「うーん、自分じゃない」と毎朝思っていました。
でも、他の女の子は「見て!この三つ編み、ママにお願いしてやってもらったの!」と本当にうれしそうな笑顔で話しているのです。
そのたびに、「心から喜べない自分っておかしいのかな?」と自分を責めてました。
忙しいのに朝ごはん作って身支度をしてくれる母親に申し訳ないな、と。

リカちゃん人形をねだったことは1度もなく、仮面ライダーやウルトラマンの人形をねだってました。
祖父母には、「どうしてこの子はこんないかつい怪獣をねだるのかねぇ」と不思議がられたことを覚えています。
とにかく、かっこよくてイカツイものが好きだった。
モデルガンや剣のキーホルダーも大好きだったので、5歳ながらに厨二病発動してましたね(笑)

今でもよく覚えているのが、お遊戯会のこと。
私の時代はまだ、男子と女子で演目が違ったんですよね。
女子はフリフリのスカートを履いてダンス。
男子は、紫の着流しを着て剣舞みたいな演目だったんです。

かっこいい男着物着て剣舞とか、もう最高じゃないですか。
趣味どストライクすぎる。

だから私、先生に抗議しました。
「どうして自分はスカートを履いてダンスしなくちゃいけないんだ。やりたいことをやらせてくれ」と。



そうしたら先生に、
「あなたは女の子だから」
と返されたんです。


は?
理由になってねーよ。



そこから私は、身体も男子になりたい、と願うようになりました。
中学生くらいまでかな。
ジェンダーとは関係ない話ですが、当時所属していた女子テニス部のメンバーからいじめられていたこともあり、女子という存在が怖くて、嫌いになった時期があります。
それと、元々抱えていたジェンダーへの違和感もあり、本当はめちゃくちゃ男子校に行きたかったんです。
幸いいじめが1か月くらいで収まったので、女子への嫌悪感はなくなりまして、高校は女子校に進学することになります。

あと、声。
私の声、女性の平均よりもかなり低い。
福山雅治さんの桜坂ならかなり高クオリティなモノマネができるレベル。
この声の低さでフリフリの格好している自分、気持ちわりーーー!とも思ってました。
だから余計に、メンズ服に目が行く。

中学時代はセーラー服、高校時代はブレザータイプの制服だったのですが、どちらもスカートでした。
でもそれは、普通に履けたんですよね。
そこはジェンダーよりもルールを優先することができた。
この経験から、「あぁ、自分は心の底から男になりたいわけではないんだな」と気づきます。
たぶん本当に男になりたかったら、スカート履いて熱出してたと思うから。
あ、性別適合手術をされた人の中にも、学生時代は身体の性別の制服を着ていた方もいらっしゃると思います。
あくまで私の場合は、という話です。

高校時代は、自分の性についてあまり悩んだ記憶はありません。
まぁ、みんな女子だからね。
ものすごくかわいい子も、ものすごくイケメンな子もいた。
ジェンダーがどうのこうのよりも、どんな個性を持っているかが大事だった。
だから、人間関係では自殺しかけたことがあるくらい悩んでた。

大学時代はとにかく落語落語落語。
落語に出会って、ようやく自分の声を好きになれました。
違和感なく男性を演じられる声。
その分、女性を演じるのは今でも苦手です・・・。
でも、ひとりで男性も女性も犬も猫も幽霊も演じられる落語って、本当に自分に合っているなと思います。
なんにでもなれる。
あと男性とも女性とも恋愛をして、そのたびにジェンダーと向き合った時期でもあります。
自分が自分らしく生きるヒントを見つけた、すごく大切な時期。

このくらいの時期に、ようやく、自分のジェンダーについてはっきりしました。
女性であることを押し付けられると悲しくなる。
女性専用車両が息苦しい。
かといって男性とは違う。
試しに男子トイレに入ってみて、「あ、ここも俺の場所じゃない」って思った(笑)
周りに全然気づかれなかったのが割と衝撃的だったけど(笑)


自分は女性でも、男性でもない。


そして見つけた、「Xジェンダー」という言葉。
これで自己紹介しやすくなったな~~~と、肩の荷が降りました。
子どもの頃よりもジェンダーについて悩むことは本当に少なくなり、年がら年中「自分はXジェンダーだ」と思って暮らしているわけではないのですが、自分の性に名前があること、そして自分と同じような人がこの世界にいることを知って、すごく安心しました。

でも人に聞かれない限り、俺Xジェンダーなんですよ~とは言わないだろうな。
なにがどうあったって、俺は俺なだけ。
というのが、今の正直な気持ちです。




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