ブラックボックス
少し前まで
何をどうすればどう喜ぶか
何をすればどう怒るか
手に取るように分かったのに。
今はもう、君が何にどう反応するかさっぱり分からない。
アイスを食べれば「美味しいね」と笑っていた君
今年はアイスを食べながら
「どうして僕たちは毎日生きてるんだろう?」なんて言っている。
それはまるでブラックボックス。
君の人格というブラックボックスが完成して、その仕組みを私はうかがい知ることもできない。
その箱は、君が生まれてから、君と私で一緒に作ってきたもの。
私がどんなふうに君に触れたか、どう笑いかけたか、そしてどんなふうに怒ってしまったか。
私のあらゆる関わりを反映して、その箱は完成したんだろう。
でも今となっては、どんな仕組みであろうとも、どんな形になろうとも。もう、私には手出しができない。
その箱は、他の70憶のどの箱とも違う。
君だけの、大切な箱。
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