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言葉だ、ことば、コトバ─言葉を信頼できる子にする─

子どもの希望と親の希望が違うとき、よくありますよね。
「歯磨きの前に絵本を読むか、歯磨きしてから絵本か」
「今トイレに行くか、行かないか」などの細かいことから、
サッカーを習うか習わないか、というような少し大きなことまで。

最近、こういう場面で親側の希望を伝えると、
「ちょっと、待ってて。今、考えるから」と、
ひとさし指をほっぺにあてて、3秒ほど考える息子の姿があります。


そして。


「うーん、やっぱり、先に絵本読みたいかな」とか
「うーん、やっぱり、トイレは行かないかな」とか、
「うーん、やっぱりやりたくないかな」とか、
考えた結果を教えてくれます。


考えても、息子の希望が覆ることはありません。笑


でも、そんな息子の姿を見て、ほっと安心した自分がいました。
それは、自然に湧き上がってきた、自分でも意外な感情でした。
それで「どうして、私は安心したのだろう」と考えました。


それで分かったことは、私は息子に「言葉には、重みがある」
と、分かって欲しかったのだということでした。
そして、こういう場面を見て、息子が言葉を信頼し、
言葉を基盤にして、人とコミュニケーションをとる姿勢が身についてきた
という実感がもてたから、嬉しかったんだと思います。


私は、かなりの適当子育てですが、
「これだけは」と気を付けてきたことが、いくつかありました。


「大人の言動を一致させる」
「口先で子どもを騙したり惑わしたり、怖がらせたりしない」
「泣きたいだけ泣かせる」


ということです。


「大人の言動を一致させる」というのは、
子育てにおける鉄則の1つですが、実行するのはちょっと難しい。


でも、これができるかどうかで、
子どもが言葉を信頼できるようになるか
どうかが決まる。


そして、子どもが言葉を信頼して
コミュニケーションの基盤に据えられるかどうかで、
そのあとの子育てが軌道に乗るかどうかが、
まったく違ってくるんじゃないかという、直感がありました。


結構、子どもの中には(そして大人になってからも)、
「言葉が滑ってしまう」人っていますよね。
言葉が入っていかない子。
もちろん、発達的な特性で音声のコミュニケーションが
マッチしない子はいるんだけど、それとは違って、
言葉を「意味があるもの」として、基盤に据えられない子どもや大人。
「ダメなものはダメ」の言葉の重みが、伝わる子と、そうでない子。
言葉で、本当に人を殺すことも出来るのだと、分かる子と、分からない子。


大げさかもしれませんが、大人が「言葉を軽く扱わない」ということが、
こういうことに繋がるんじゃないかと思います。


食べて良いと言ったからには、ちゃんと食べさせる。
遊ぶと言ったからには、ちゃんと一緒に遊ぶ。
連れて行くと言ったからには、ちゃんと連れて行く。
自分が怒っているなら、ちゃんと「怒っている」と伝える。
疲れてるなら、「疲れているから遊べない」と伝える。
約束を守れなければ、「守れなくてごめんね」と謝る。
自分の都合でイライラしてしまったなら「あなたは悪くない。ごめんね」と謝る。
分からないことは「難しいね、分からない」と伝える。


それから、これも大事だと思うのですが、
「口先で子どもを騙したり、惑わしたり怖がらせたりしない」ということ。


暴れさせたくないからって「お店の人が怒るよ」とか、
触らせたくないからって「触ったら、もうお店に来れないよ」とか。
「走ったら、もう遊びに来れないよ」とか。絶対、嘘ですよね。


そういう、意味の分からない因果関係を作るのって、
本当によくないと思うんだけど、みんなどう思ってるんだろう。


あなたは、本当に「お店の人に怒られる」から、
子どもを暴れさせたくないのですか?
本当に、そうですか…?自分の胸に手を当てて考えて欲しい。


私だったら、「お行儀が悪い子とは、一緒にご飯は食べたくない」
と伝えます。
本当にそうだから。
お店で危険なほど走り回るなら、
「危険で迷惑だから、歩いてください」と伝えます。
「歩けないなら連れて帰る」と、先に約束をして、
守れないなら連れて帰ります。


お店の物に触ったからってもうお店に来れないって、
よく分からない因果関係ですよね。
そういうことを簡単に子どもに言う人って、
案外多いんだなって、思います。


「お店の物に不必要に触ることは、お店に迷惑になる。壊す危険性もある」
「壊したりしないか自分が心配になる。そして、心配だともう連れてきたくなくなる」ということですよね?
そしたら、そうやって説明してあげましょうよ、と思います。


そういう積み重ねで、子どもが言葉を信頼できるようになるかが決まる。
言葉で人を殺すことも、生かすことも出来ると、分かるようになる。


私はそう思いますが、あなたはどう思いますか。

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