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犬の思い出

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我が家の犬が出てくる詩をマガジンにまとめました。
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2021年6月の記事一覧

君といた世界

君といた世界

あのね
抱き上げた
君の後ろ頭を見ること
年老いてよく眠るようになった
君の寝顔を見ること
ゆっくり歩く君と
いつもの道を行くこと
それが幸せだったんだ

けれど
春の日に
君は
長い長い散歩に
出かけた
もう会えないんだね

あの日から
心を
真綿にくるんで
しばらく
ぼんやり
しているんだ

君から受け取った愛
愛おしい
耳に馴染んだ
君がたてる色々な音
忘れない鼻先から尻尾までの手触り

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君へ

君へ

長い昼寝
薄目を開けた君の
頭をそっと撫ぜる

君はため息をつく
それは
私も好きって返事

壁のマリメッコ
赤い花が笑っている

少し喉が渇いたね
お水を入れ替えよう
魚のビスケットと
ミルクも少し
おやつにしよう

17歳の君よ
もう少し
一緒にいれるかな

君のこと

君のこと

長くなった昼寝
目が覚めると
足が
こわばって
つっぱるんだ

マッサージをするけど
よろめきながら
水を飲む

私が部屋から出ると
敷居のところで
目をパッチリ開いて
戻るのを待つね

階段にじっとたたずむ姿は
私が小さいころ見た
うちのおばあちゃんとそっくりだとも
後追いをする幼児のようだとも
思うよ

君の若いころ
家族の言い争いが起こると
かけつけた
みんなの間をうろうろして
「諍いはやめ

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