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『外道の流儀〜若頭は男装の二代目を溺愛する〜』第1話(創作大賞2023漫画原作部門応募作品)

<あらすじ>
小野寺凛子は平凡な女子大生。
ある日、離れて暮らしていた父の葬儀にて、実は父は極道のトップだったことを知る。
若頭である鷹村伊織から、父からの遺言状を渡され、そこには『二代目となり、明鏡会を救ってくれ』と書かれていた。
父の死の真相を知りたいと思った凛子は承諾する。
長い髪をショートカットに切り、男装をして『明鏡会二代目 小野寺凛』を襲名することに。

伊織は凛子を、自らの磨き抜かれた体術や射撃の腕で守る。
常に側に寄り添い、寝る時まで添い寝をする。
美形な伊織からの溺愛っぷりに、毎日心臓がもたないほどドキドキしてしまう凛子。

男装の二代目とそれを守る若頭の、バイオレンス極道溺愛ラブストーリー!


<アピールポイント>

異世界転生などのファンタジーは違い、読者が想像しやすい現代東京にて、「日常の中の非日常」を描きたいです。

流行りの溺愛ものではありますが、ロマンチックなラブシーンだけでなく、極道同士の泥臭いバイオレンスな戦闘シーンもありつつ、大切に守られるヒロインが見どころです。
現実世界では「悪い男」な極道のヒーローに、ドキドキさせられるストーリーにしたいです。
一見頼りないけれども芯のあるヒロインと、ヒロインに一途なヒーローは、読者の支持を得ると思います。

また、ヒーローの伊織だけでなく、他の男キャラもクセのあるイケメン揃いですので、ぜひ推しを見つけて欲しいです。
組内の五人の男同士の友情や絆も見どころです。

キラキラしたラブストーリーは多いですが、個性的な極道たちの戦闘や、父の死の真相を探るミステリー要素も楽しんでいただきたいです。

<登場人物>

小野寺凛子(おのでらりんこ 20歳 女)

平凡な女子大生。栗色のロングヘアー、華奢。
母親は物心つく前に他界し、父親から幼い頃遠い親戚に預けられていた。
父親の葬式にて、初めて父が鏡明会の極道のトップだったことを知らされる。
父の仇を取るため、明鏡会の二代目として就任してほしいと伊織に言われ、
女だからと舐められなよう、ショートカットにし胸はサラシで潰して男装をし、『小野寺凛』として就任する。
命をかけて貴女を守る、という若頭の伊織にドキドキする毎日。
引っ込み思案でおとなしい性格だが、一度決めたことはやり抜く芯の強さも持つ。

鷹村伊織(たかむらいおり 22歳 男)

黒髪黒目、切長の瞳で高身長の美形。
明鏡会の若頭として、若くして就任している。
冷静に物事を分析する能力と、時に冷酷に任務を遂行する行動力で信頼されている。
親に捨てられ孤児だったところを、義弘に拾われ育てられたことから、義弘と明鏡会に忠誠を誓っている。
義弘亡き後は、娘である凛子を命懸けで守る。
体は細いが鍛え上げられており、あらゆる格闘技を使え、射撃や剣道の腕も一流。
明鏡会を侮辱された時と、凛子を傷つけられた時は常人ではないほどの力を発揮する。
さらりと甘い言葉を言ったり、過保護なまでに世話を焼くことから凛子はいつもドキドキしているが、本人に自覚はない。

小野寺義弘(おのでらよしひろ 43歳)

白髪混じりのオールバック。体格が良く、常に煙草を吸っている。
凛子の父親かつ、明鏡会の会長。
いろいろな事情を抱えた若い男たちを明鏡会に入れており、人望は厚い。
渋谷のセンター街前交差点にて謎の死を遂げる。

神田陽平(かんだようへい 21歳)

金髪でピアス、見た目はヤンキー。
キャバクラのボーイや夜の店の用心棒をしていたが、女の子に乱暴な客を半殺しにして何度もクビになり、途方に暮れていたところを義弘にスカウトされた。
明鏡会の狂犬と呼ばれており、喧嘩っ早い。
明鏡会ではキャバクラの元締めを仕切っている。
女の子にはすこぶる優しい。心を開いた人には懐く素直な性格。
凛子のことは、「女の子が会長なんて、みんなで守らなきゃな!」と思っている。

橘 統(たちばなみつる 26歳)

細身の長身、関西弁。
常に笑みを浮かべており、毒舌。
貧乏な家庭で育ち、奨学金で進学した高学歴な元一流銀行マン。
詐欺まがいの商法で儲かっている客の金を着服し、捕まったところ、刑務所で義弘に出会う。
仮想通貨や株で儲けるのが上手く、明鏡会の資金繰りをしているインテリ。
凛子のことは「苦労人なお嬢ちゃんやなぁ」と思っている。

松原浩一郎(まつばらこういちろう 30歳)

筋肉質で、左目の傷を隠すため眼帯をしている。
寡黙で、普段何を考えているのかわからない。
低い声で厳ついため誤解されがちだが、ぶっきらぼうで心優しい。
建設業の職人として働いていた際、現場監督が外国人の職人に厳しく当たっていたのを見て、殴ったため傷害で捕まったところ、刑務所で義弘に声をかけられる。
凛子のことは「……亡き会長の娘さんは大切に扱わねば」と思っている。

諏訪蒼真(すわそうま 22歳)

色白で垂れ目、細身。
幼少期に親から虐待され、真冬に家に入れてもらえなかったトラウマがある。
夏だろうといつもパーカーを着ており、異常なまでに寒がり。
実家を燃やしたため少年院に入り、その後は「宇多川の放火魔」と呼ばれていた。
渋谷の路地裏で倒れていたところを、以前凛子に助けられたことがあり、それ以来盲目的に彼女を慕っている。
凛子のことは「君のために死にたい」と思っている。
伊織とは凛子を争って恋のライバルなため、水面下で仲が悪い。


■場所:明鏡会事務所

凛子<もう決めたから、後悔はしない>

洗面台の鏡の前で、自分の長い髪を切る凛子。
胸はサラシで潰し、シャツを着てジャケットとズボンを履く。
ショートカットになった髪を整えて、扉を開く。

扉の向こうには、黒服のいかつい男達が並んでいる。
その中央の椅子に座る凛子。

伊織「これより、明鏡会襲名式を始める!」

黒服の男達が凛子に向かって全員頭を下げる。

伊織「本日より、初代、小野寺義弘様がご子息、小野寺凛様が、明鏡会の二代目となる!」

その声で、黒服達は拍手をする。

伊織は一歩前へ出て、緊張して座っている凛子の目の前に立ち、ひざまずくと手を取って甲にキスをした。

伊織「この鷹村伊織。命をかけて、二代目をお守りいたします」

顔を上げ、微笑みながら強く頷く伊織。

凛子<そう。私はこの誓い通り、命懸けで守られることになるーー>


外道の流儀〜若頭は男装の二代目を溺愛する〜
扉絵:凛子を後ろから抱き締めて銃口を向ける伊織


■場面転換 凛子宅、夕方

凛子「ただいまー!」

凛子<私は小野寺凛子。都内に住む女子大生>

家に上がり居間へと行くと、落ち込んでいる叔父と叔母の姿。

凛子<……だったのだ。この日までは。>

凛子「ただいま、どうしたの2人とも。暗い顔して…」

叔父「凛子……落ち着いて聞いてくれ」

叔母「ああ、なんてこと」

叔父「義弘が、お前の父さんが死んだらしい」

凛子「えっーー」

驚いて鞄を落としてしまう。


■場面転換 回想シーン

凛子<幼い頃から仕事が忙しかったお父さんの代わりに、叔父さんと叔母さんの家で育てられた私は、正直あまりお父さんとの思い出がない>

プレゼントを抱えて幼い凛子の頭を撫でる義弘。

凛子<ただ毎年誕生日は必ず会いに来て、プレゼントをくれた>

優しく微笑む義弘。

凛子<そして、毎年必ず言うのだ>

義弘「凛子、俺はお前を必ず守るからな。命をかけて」

幼い凛子は照れながら、父に抱きつく。

凛子<命をかけるなんて大袈裟だなって幼心ながら思ったけれど。嬉しくて仕方がなかった。優しいお父さんの笑顔が好きだったーーー>


■場面転換 葬儀場、雨

義弘の遺影が飾られている、小さな葬儀場。喪服を着た凛子が手を合わせている。
棺の中の義弘を見つめて、涙を拭う。

叔父「お別れは済んだか。次は火葬だから・・・」

凛子「うん・・・」

立ち上がると、何やら外が騒がしい。
窓から外を見ると、入口に黒塗りの車が止まっており、男たちが降りてきた。

橘「ごめんください、こちらは小野寺義弘さんのご葬儀場でお間違い無いでしょうか」

アタッシュケースを持った背の高い男が叔父に尋ねる。

叔父「そうだが・・・あ、あなた達。葬儀は親族だけで行うと連絡したはずだが?」

困惑する叔父に、首を振る橘。

橘「そうはいきません。ここにいる皆、故人には生前大変お世話になりましたのでね。これは香典です」

叔父に銀色のアタッシュケースを渡す橘。
開けると、中にはぎっしりと札束が詰まっている。

叔父「な…!? い、いくらあるんだこれ!?」
凛子と叔母も驚いて声も出ない。

金髪の青年、神田が入り口から棺に駆け寄る。

神田「叔父貴ぃぃぃ! 嘘だと言ってくれよぉ・・・!」

棺に覆いかぶさって大泣きする神田。

凛子<だ、誰なのこの人たち!?>

突然のことに頭が追いつかない凛子。

入り口が開き、喪服姿の伊織が入ってくる。

美形な彼に目を奪われる凛子。

伊織は棺の前に行き、義弘の顔を覗き込むと、深く礼をした。

凛子<―――その人は、澄んだ瞳をしていた>

凛子と目を合わせる伊織。

伊織「あなたが凛子様ですね。義弘殿から預かり物をしております」

喪服の懐から封筒を取り出し凛子へと渡す。

恐る恐るその封筒を開いて、便箋に書かれた文章を読む。

凛子「これって・・・・・・」

伊織「義弘殿の、遺言状でございます」

凛子<遺言状―――!?>

頭の中で、公園で遊んでくれたり誕生日を祝ってくれた父親の優しい顔が駆け巡る。

遺言状の文章には、

『凛子。お前がこの手紙を見ているということは、俺はもうこの世にはいないだろう』

『黙っていたが、俺は明鏡会を束ねている。忙しくて、ずっと寂しい思いをさしてすまなかった』

『馬鹿な父親の、最後のお願いだ』

遺言状を読んでいる凛子の心臓がドクン、と跳ね上がる。

凛子「うそ、でしょ・・・・・・?」

『お前が二代目となり、明鏡会を救ってくれ』

信じられないと凛子が顔を上げると、伊織と目が合う。

伊織「私は鷹村伊織。孤児だった私を、義弘殿が育ててくださいました。そして凛子殿。ずっとお会いしたかった」

棺の前で泣いている神田、叔父とアタッシュケースを前に話している橘も、
伊織と凛子を振り返り見つめる。

伊織「あなたは我々の希望だ。私が、命をかけてお守りいたします」

伊織を見つめて、昔の父親の言葉を思い出す凛子。

義弘『凛子、俺はお前を必ず守るからな。命をかけて』

凛子<――まさか私が極道の二代目となって、この人に守られることになるなんて、思ってもいなかった>


第一話完

↓続き  第2話

↓続き 第3話


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